ようこそ!ゲームの世界へ! 4

 

女性1

「他のみんなの目的なんて、知ったこっちゃ無いわ!
あたしはどうしてもこのゲームをクリアしなきゃいけないの!
どうしてもよ!

何でそんなに必死になるのかですって。
……必死にもなるわよ。
あたしの父さんはね、もうずっと病で伏せってる。
私が子供の頃からずっと、ずっとよ!
最近じゃ医者にも見放されて、ただやせ衰えて死ぬのを待つばかりになってる……。
あたしは、そんな父さんを助けたいの!

お金や名誉や世界なんていらない!
あたしはただ父さんだけが側にいればいい!

だからこのゲームに参加したのよ。
あんたには何度も助けられて、感謝してる。
でも、勝者の座は譲れない。
あたしからあんたに仕掛けることは出来るだけしたくない。でも、もしあんたから……だとしたら、その時は容赦はしないわ。

あたしは…父さんのためなら鬼にも悪魔にもなってやる!」 

女性2

「本当になんてところなの!
連れてきたボディガードたちも頼りになる者は一人もいないし!
何が私を命をかけて守る…よ!口ばっかり!
一人は欲に負けて私を裏切るし……。
おとなしく私を守るボディガードのままでいれば、何もあんな惨い最後を迎えることもなかったでしょうよ。

ああ、本当になんてところなの……。
気持ちの悪い魔物はでるし、滅んだはずの恐竜もいたわ。
途中に点在している街には人は見当たらないし、いてもまるで石像のようにただ立っているだけ…。
このゲームの招待状を受け取って集まった大勢の人も、今は何人残っているのかしら。
ここに来るまでに私も護衛の大半を失ってしまったけれど…。

ああ、でも、そんなの当たり前のことだわよね。彼らは私を守るために集められた、いわば私の家の奴隷と同じだもの。
彼らが私を裏切れば、どうなるかくらい身に染みて知っているでしょうし。

でも……裏切ったあの男のように、今は従順な振りをしている彼らも、最後にはどう豹変するか判らないわね…。
今のうちに考えておかなくては……。

ああ、それにしても、気持ちが悪い所だわ。
こんな所早くクリアして、帰ってお風呂に入りたいわ。
まったく、役に立たない男たちばかり。帰ったらお父様に言ってみんなクビにしなくちゃ。
本当に、なんてところなの……」

 

男性1

「オレの目的だとぅ!?決まってるじゃねぇか!金!金だよ!
金さえあればなんでも出来る!何でも欲しいものが手に入るんだぜ!?

しがねぇチンピラの立場から、大ボスの立場にもなれる!
オレを見下してバカにした奴らを足下に平伏(ひれふ)させる事だって可能さ!
金もない、地位もない、醜いと蔑んだ女たちも、金さえ見せびらかせば媚びを売ってくる!
本当は触れられるのも嫌なくせに、金のためにしたくもない笑い顔でオレの機嫌を取ろうとすり寄ってくるのさ。
金さえあれば、オレはなんでも出来るんだ。そう!何でもな!
人の命だって思いのままになるだろうよ!
地獄の沙汰も金次第ってな!

なあ……オレはそのためにも勝たなきゃいけねぇんだ。
このゲームとやらをクリアして、一人勝たなきゃいけねぇんだ。
誰にも負ける訳にはいかねぇんだよ。
だから……なぁ?…判るよなぁ……(嘲笑)」

不問

「うーん…やっぱりちょっと電波が届きにくくなってるのかなぁ。
非力な僕じゃ力業には叶わないと思って、対処法探すために携帯端末持ってきたけど……。
そろそろこれも用済みかな。

ここまでは何とかやって来れたけど、このステージクリアしたら次は最終ステージな筈だから、みんなも必死になるだろうしなぁ。
残るのが何人か判らないけど、ここまで脱落せずに生き残ってきた人たちだから、今までのように口八丁手八丁では行かないだろうし……。
どうしようかな。
もう騙し打ちは難しいだろうし、お姉さんたちに媚びを売るのも飽きちゃった。
そろそろこれを使う時が来たかな…。
万が一の時のために持ってきたけど、これから役に立ってもらうよ。(ちゅっ)

このゲームをクリアしたら何でも思い通りになるなんて、すてきな事じゃないか。
パパもママも僕にはうるさいことばかり言ってたけど、僕が勝ったら僕の自由な世界に変えてやる。
大人なんていらないよ。
ピーターパンの世界のように、子供だけって言うのも面白いよね。
僕たち子供だけで世界を作っていくのさ。
何でもありな、自由な僕たちの世界をね。
ふふふ……楽しみだな」