近寄らないで【黒お嬢様】   

 

今回セリフには一切感嘆符(! ? など)を入れていません。
演じる方によって感情の入れ方が違うと思うためです。
静かに、胸に秘めた復讐心を表すもよし、感情のままに叫ぶもよし、あなたのお好きなように演じてみて下さい。
むろん棒読み調子でも構いません。
このセリフはあなたの演じ方によって、何通りもの感情表現が可能になるのです。

 

     

  「ああ、いや。髪もドレスもボロボロだわ。
  こんな、こんな事って。どうしてこんな事に。

  いやよ、来ないで。
  近寄らないで。私のいうことが聞けないの。

  どうして。どうしてこんなことするの。私が何をしたっていうの。
  私はあなたが好きだった。
  初めてあなたを見た時から、ずっとあなたのことが好きだったのよ。
  あなたは召使いだったけれど、だからずっと私の側にいて欲しかった。

  だから。だからあの子と仲良くしているあなたを見ているのが嫌だったの。 
  私には見せない笑顔であの子のことを見るあなたが嫌だった。
  それよりも、なんの取り柄もないあの子があなたに近付いて笑っているのが許せなかった。  
  あの子さえいなければ、あなたはまた私の側にいるわ。
  そう思って。

  だって、使用人なんていくらでも変わりがいるじゃない。
  あの子さえいなくなればいいと思ったのよ。
  死ぬなんて思わなかった。本当よ。
  殺すつもりなんて無かったわ。

  いやよ。来ないで。
  お願い。許して。
  許して。

  いや。いやよ。

  いやぁ」