七不思議

里沙:作

 

 

注意: 「w」は言わずと知れた笑いの意味です。どういう風に演じるかは演者様にお任せ。

001 いちろー 「いやー、面白かった。映画「都市伝説」!色々とこう、怖面白いというか、よく出来てたな。
それにしても、よく見つけたな?これ、結構古い奴だろ?でも、凄く見たかった奴なんだ。ありがとなー」
  ひかる 「いまいちすっきりしない話数もあったけどな。ああ、たまたま姉貴が持ってて残しておいたらしいDVDだから、気にするな」
  いちろー 「学校の七不思議って奴が面白かったな。そう言えば、学校毎にその学校にまつわる七不思議ってあるじゃん?ま、大体似たようなものだけどw」
  ひかる 「あるなぁ。音楽室のベートーベンの肖像画が笑ったとか理科室の骸骨が動いたとかw」
  いちろー 「動く二宮金次郎とかトイレの花子さんとかw」
  ひかる 「俺の小学校は講堂の天井には秘密の部屋があるって言うのがあったな。毎年それ信じた悪ガキどもが入っちゃいけないって所に入り込んでこっそり調べ回って、見つかって先生に怒られてたw」
  いちろー 「あー、俺の所なんて、小学校は昔戦場だったとかで、そこ埋め立てた跡だから、夜になると首のない鎧武者が出るとか噂されてたなぁ…。時々火の玉が浮かんでるとか。
実際は戦場なわけなくて、ただの畑だったらしいけど」
  ひかる 「小学校の火の玉って、結構学校で飼ってた金魚とか小鳥とかが死んだらバックネットの裏とかに埋めたのが、何かの化学反応でリンが出て、それが燃えたとかじゃなかったか?
あー……そう言えば、姉貴から聞いたおもしろい七不思議合ったな…」
  いちろー 「面白い七不思議?何だそれ」
010 ひかる 「俺と姉貴、10歳違うじゃん?俺がまだ小さい頃、今の実家に引っ越してきたんだけどさ、それまでは姉貴、違う県の学校に通ってたんだよ」
  いちろー 「へぇ。知らんかった。どこの県よ」
  ひかる 「S県だったかな?まあ、昔はその姉貴が通ってた小学校の話をよく聞いたんだけどさ、今日みたいに七不思議の話になったわけよ」
  いちろー 「昔はよく夏に怪談とか、超常現象とか、怖い話とかテレビでやってたらしいからなー。」
  ひかる 「うん。それでだと思うけど、姉貴から聞いたっていうその小学校の七不思議が

1,理科室で骸骨がビーカーでお湯を沸かしてカップラーメンを作っている。

2,蒸し暑い夜にプールで骸骨が泳いでいる。

3,放送室のマイクを使って骸骨がカラオケをしている。

4,校庭の鉄棒で骸骨が懸垂(けんすい)をしている。

5,体育館で骸骨が自分の頭でバスケをしている。たまに骸骨の頭にひびが入っている。

6,図書館で骸骨が本を読んでいる。そう言う時は片付けられていない。

7,夜の2時に校庭で一人ボケをするとどこからか突っ込みが返ってくる。骸骨の仕業らしい。

と言うことらしい」
  いちろー 「なんじゃそりゃーwwwwwwちょ、骸骨が懸垂って…どこ鍛えるんだよww鍛える所ないじゃんww-ボケに突っ込む骸骨って…見てみてーww」
  ひかる 「な?笑えるだろ。けど、これにはまだ続きがあってだな、その同じ校区の中学校には

3,小学校の骸骨が夜中の音楽室でピアノをひいている。ピアノに合わせてワケの判らん歌も聞こえる。

5,校長室の歴代校長の写真から、バイクが好きだった校長が夜中に飛び出してバイクで走り回る。偶に小学校の骸骨とツーリングしている。

と言う一部変更の七不思議がある」

  いちろー 「小学校の七不思議が中学校に飛び火してんのかwwていうか、校長がツーリングって、どんだけ〜www」
  ひかる 「まだあるぞ。極めつけは小学校中学校のある町内の噂話。

1,とある釣りスポットで夜中小学校の骸骨が自分の骨をルアーにして釣りをしている。

2,夜中に小学校の骸骨がランニングしている。ラジオ体操もしていた。時々たまに二台のバイクでツーリングしている。

3,夜中に町立図書館で骸骨が本を読んでいる。読まれているのは主にかわいそうな児童文学らしい。すすり泣きが聞こえたりする。

どうだ、すごいだろ」

  いちろー 「骸骨、アグレッシブすぎ!wwwwは、腹いてーwww」
020 ひかる 「普通七不思議って不思議怖い話だと思ってたんだが、それ聞いて爆笑してなー…」
  いちろー 「そりゃこんな七不思議聞いたら誰でも爆笑もんだろーwwどんだけその骸骨はその町で動き回ってんだよw有名すぎww」
  ひかる 「こっちに越してきてから小学校の七不思議聞いたことあったが、まともすぎて全然面白くなくて、「つまんねー」って言ったらみんなに総すかん食らったこと合ったわw」
  いちろー 「いやー、でも、俺その小学校に行ってみたいわw有名な骸骨見てーよw」
  ひかる 「小学校に行けば今でも骸骨標本はあるんじゃね?けど、七不思議通りアグレッシブに動き回るかどうかは疑問だけどな」
  いちろー 「ま、確かにそれはないと思うけどなw」
  ひかる 「お前の所には変わった七不思議とかなかったの?」
  いちろー 「えー?俺の所はあまり聞かなかったなー。一つや二つあったけど、似たようなものだぞ?
二宮金次郎が夜中にダンスを踊ってるとか、理科室の標本が動き回ってるとか、3階の西側突き当たりのトイレの一番奥は流れる水が血のように真っ赤だとか」
  ひかる 「それはそれで気持ち悪いな…」
  いちろー 「あ、あと、理科室の骸骨は、本物の骸骨の標本だってのもあった」
030 ひかる 「あー、それはどこでもあるなー。ガキの頃は本物に見えちまうもん」
  いちろー 「まあ、ぶっちゃけうちの学校の骸骨標本って、本当に本物だったんだけどなw学校OBの誰かが死んだ時、標本にしてくれって献体に出したらしい。
名前なんだっけな…聞いたはずなんだけど、みんな「こーちゃん」って呼んでたから、それしか覚えてねーや」
  ひかる 「えっ?!」
  いちろー 「え?」
  ひかる 「………」
  いちろー 「………?」
  ひかる 「まじ?」
  いちろー 「マジ」
  ひかる 「…………」
  いちろー 「ぶはっww…なワケねーじゃんwそれ、法律か何かの違反だろーwよく知らんけどww ま、こーちゃんって呼んでたのは本当だけどさww」
040 ひかる 「だよなーっ!びっくりしたーw」
  いちろー 「お前のビビった顔wwなんだよ、本物だったら怖いのかよww」
  ひかる 「ビビってねーよ!有り得そうでちょっとだけ驚いただけだっての!」
  いちろー 「へぇへぇ。そう言うことにしておいてやるよwwさて、そろそろ時間だし、帰るとするかな」
  ひかる 「もうか?もう少しいればいいじゃん。俺一人暮らしだし、訪ねてくる奴もいねーし、誰に遠慮もいらねーぞ?」
  いちろー 「ありがたいけどさ、やっぱ帰らねーとまずいしなー。このままふらふらしてたら、マジで困ったことになるじゃん?」
  ひかる 「まあ…それもそうだけどさ。ふらふらしてる俺が言う事じゃないけど、お前は帰った方がいいかもな…。待ってる人もいるんだろ?
にしても、3日なんて短いよなー。もう少し羽目外して遊びたかったんだけど、仕方ないか」
  いちろー 「また今度呼んでくれよ。そしたらまた来るからさーw」
  ひかる 「任せろ。毎年呼んでやるぞw」
  いちろー 「……お前もさー、帰ろうとか思わないの?もう何年にもなるんじゃね?」
050 ひかる 「んー……まあ、な。俺もそろそろ帰らなきゃいけないかなーとか思うんだけど、なかなか踏ん切り着かなくてさ。まあ、そのうちにな」
  いちろー 「んじゃ、その気になったら帰れよ?あんまり未練残してても、良いことないぞー」
  ひかる 「未練てなんだよwwんなこと言うなら、送ってやらねーぞ」
  いちろー 「それは困る。迷ったら困るじゃんよー。それでなくても俺、方向音痴なんだしさー」
  ひかる 「だったよなー。お前、それで単車でひっころんだんだっけ」
  いちろー 「『ありゃ?この道違うわ。さっきの二股を右だったかー。Uターンするか』で、ハンドル切った途端、落ち葉踏んでガシャーンごろごろ…」
  ひかる 「落ち葉踏んで転がるってのもお前らしいと言うかなんというか…。まあ、ご愁傷様でした」
  いちろー 「言ってろ。それじゃ。そろそろ本格的に逝くわー。この3日間楽しかったぜ。ありがとなー」
  ひかる 「こっちこそ、色々楽しかったよ。まさか本当にまたお前と会えるなんて思わなかったしなw
また来年、呼んでやる。その時は今回よりもっと騒ごうぜ」
  いちろー 「来年、まだお前がいたらの話だなwそれじゃ、頼むわー」
060 ひかる 「ああ、ちょっと待て。上手くやらないと、変に火が大きくなって、火事にしちまうから……っよっと、これで良いか。
ホレ、送り火、焚いたから、迷わず逝けよー」
  いちろー 「さんきゅーな。んじゃ、またなー」
  ひかる 「おお、またな。

…………って、何だあいつ、萎びた茄子の馬に乗って帰るのか…。あ…手綱捌き間違ってやんの…。あーぁ、振り落とされてまあ…。単車でひっころんでおっ死んだのも、あいつに取っちゃなるべくしてなったって所か?
まあ、でも楽しかったな。あいつが死んでから、物足りなかったしな。
俺も人のこと言えねーけど…。
さて、俺はいつになったら成仏出来るんかねー?
やっぱ未練が残ってちゃ無理っぽいかなー?
まあ、こんな誰も来ない廃墟で1人静かに浮遊霊しててもたいくつだし、来年またあいつを呼ぶまではそこら辺でもふらついてくるかー。

あー…小学校の七不思議、確かめに行くのも良いなw骸骨とカラオケでもいっちょ行きますかww」