桧洞丸

 

6月16日

桧洞丸のホームページ検索数がどんどん減ってこの山に登る人が殆どいなくなった事を教えてくれる。

山の力を回復するには調度良いのかも知れない。そう思う自分もこの6月の梅雨には登っていない。

今回はバイケイソウの花を見たくなってここに来た。

登り始めても誰ともすれ違がう事がない。あのゴーラ沢でさえ一人だった。この山も慣れてきたので危険な個所は分かっている。何も心配する事は無かった。

展望園地に予定通り到着し、水とお菓子を口に入れのんびりしていると女性が一人で登ってきた。挨拶をしたが無視されてしまった。

どうも警戒されているようだった。直ぐに出発した。

所々で山つつじを見つける。シロヤシオやミツバツツジと違い人気がないようである。結構映える色なのに可愛そうである。

梅雨前線の影響でキリが掛かっている。6月はなかなかベストな天候に恵まれない。

でもその分は苔や葉の緑が鮮やかである。

木道に到着すると目的のバイケイソウの茎が伸びていた。これだけの本数があるのだから1本位は花が咲いているだろうと思った。

しかし、行けども行けども同じ状態である。

又、頂上付近のは一部茎が切られているようになっていたが、風で折れたのかもしれない。

茎も全ての草から伸びてはいない。半分以上が枯れて倒れているか、マルバタケブキにとって替わられていた。この草のあわれさだった。茎を伸ばしながらも既に地面に近い葉は殆どが枯れていた。

今日は父の日、自分と入れ替えて考えてみた。

結局、登ったのが2週間近く早かったのかもしれない。花はまったく咲いていない。

又、次回に期待を掛けて下山した。

西丹沢の自然教室で案内の方と話しをした。バイケイソウは黄色い華が7月中旬頃咲くと教えて頂いた。多分中旬では遅いのでは無いかと思った。

又、犬越路の近くにぶなの大木があることや、桧洞丸の頂上のツツジの種から新芽が出てこない事を聞いた。新芽が出ない主要因は写真を撮る人がツツジの根元まで進み、土を硬く固めてしまうからと話された。

カメラを抱えた自分が恥ずかしくなった。

6月30日

一枚の写真の為に登る。

目的の為に無理を冒す。雨の山など面白くもないのに、でも明日はもう外せない。この花は、また1年後を待たないとチャンスがないと、一寸追詰められた自分が居た。確かに、ツツジに比べると開花に関する自分の知識もなく、山全体に植生している植物でもなく、頂上のほんの限られた部分にしか無いのでチャンスが凄く少ない。

たった1枚で良いから撮りたい。合羽を着て傘を持って木道の真中で三脚を立て開花した1枚を撮って下山する。

そんな気持ちの前日だった。

 

バイケイソウの花

しかし、車のラジオからは当日(6月30日)は雨の予報が外れ,曇りが続く予報に替わった。登山者は昨日の天気予報を信じたのか誰も居ない。この山が貸切になった。最高に贅沢な気持ちになり、木道では大きな声を上げたくなった。

でも、求めていた花は未だ2分咲き程度でもう1週間早かった。低温が続いたので無理をする必要はなかった。

頂上のバイケイソウは殆ど茎が伸びていなく、見所は木道の中間地で穴が空いた大木の付近だけだった。前回見た木道の登り際も風で折れたらしく立派なバイケイソウの茎は見当たらなかった。

 

初めて見たバイケイソウの花、確かに梅雨の間に咲く花なので、その期間にこの山に訪れる人は少ない。見た人も少ないのが分かった。すごく慎ましい感じの白い花だった。そして、木々に守られた一部でしか開花を見る事ができない危うい花である。