北丹沢12時間山岳耐久レース

(釜立沢から姫次へ)

駐車場は一杯

整備された道

 

04年7月4日(日)、『第6回北丹沢12時間山岳耐久レース』が開かれた。この大会の開催については、登山者の間に賛否両論ある。今回訳あって、この大会のお手伝いで参加する事になった。いつものように集合時間の5時20分ギリギリに到着。朝食も取ってなければ、補助食料も準備できていない。 ギリギリに来てコンビ二に寄って欲しいと言うのも気が引けて我慢、ガマンと言い聞かせた。

 
 

釜立沢登り口

標高950m

 
 

大会スタートは7時、彼らが来る前に我々お手伝いは準備を完了していなくてはならない。最短距離の釜立沢から姫次へ6時半に出発した。 青根の東野の三叉路を上に登り、中学校脇を通って、登り口まで車で来たが、道は細く落石の危険も十分にあった。只車止めの所だけは舗装整備されていた。写真左の沢の左側を登り始める。

凡そ30分も歩くと涸沢になり、そこを横切る。それから数分進み標高950m辺りで沢から離れて進むようになる。沢の直ぐ上にはベンチがあり、写真下左の『八丁坂ノ頭 1.1km』の道標がある。また、ここの沢の一部は幾分左右に折れ曲がり良い構図である。

 
 

最初のベンチ

緩い登り

 
 

ここで小休止となった。会のご婦人が用意したリンゴを食し、お腹は幾分落ち着いた。わざわざ皆の為に重たいものを持ち運ぶその気持ちに感謝した。7時40分、左に金網が見えてからは 、なだらかな登りに変わった。

 
 

釜立沢分岐

八丁坂ノ頭分岐

 
 

7時50分、分岐に到着した。ここから黍殻小屋までは僅かである。役割分担に従って半数の人と別れる。

 
 

唐松林

雑木林

 

8時15分、唐松林を右に見て進むと八丁坂ノ頭(写真右上の道標)の分岐に到着する。それまで続いていた唐松林は、この辺りでは無くなっている。尚、八丁坂ノ頭 から東野に下る途中の笹藪には、”熊の巣があるので注意するように”と教えられた。

榛ノ木分岐

ブナの下の看板

 

8時40分、左手に赤いビニールテープがあった。メンバーの女性が、『ハンノキマルへの道』と言ったが瞬時にはそれがどこか分からなかった。しかし、”榛木”の文字が浮かび上がり伝道からの”榛ノ木丸”と気が付いた。 此処に出るのかと妙に関心して進んだ。

それから僅かに歩くと、大きなブナの下に『からまつの話』と書いた看板があった。

 
姫次

看板から直ぐに姫次に着いた。諦めていた富士山も何とか見えて、低温の雲が檜洞丸を這うように進んでいた。(8時45分)

”東野から釜立沢を進むコース”は風巻ノ頭から登る道に比べると非常に歩き易い。釜立沢の2時間10分に対して、風巻を経由するルートは3時間10分と1時間程余計に時間がかかる。蛭ヶ岳の小屋の方もこのルートを使うらしい。

さて、前泊組の人に弁当を渡し情報交換をして大会の準備に入った。黍殻非難小屋で泊まった彼らは”箱根姫蛍”を眺め楽しい夜を過ごしたとの事だった。 この話を聞いて『山ホタル』を見たくなってしまった。

*『ヒメボタル』でインターネット検索すると興味深い情報を得る事が出来ます。 凡そ我々はホタル=水際と思ってたが、世界的にはそれは珍しいと言う内容も書いてあります。また、蛭ヶ岳山荘の企画で『箱根姫ホタルルを見る』と言う企画がある ようです。

ヒメボタルのURLはhttp://www.geocities.co.jp/NatureLand/3513/hotaru/hotaru02.htm

上位ランナー

 

さて大会である。 以前は自分も完走できるのではと思っていたが、年と共に体力が落ち”*山の標準時間”を守る事も難しくなってきた。この大会は高度差2600m、距離43.86kmで、それぞれの標準時間が6.5時間(登り)と11時間(距離)で合計17.5時間が必要となる。しかし、この大会は12時間で完走しなければならない。その過酷さは簡単に想像可能である。

*山の標準時間とは、登りは400mの高度差が1時間、移動は4kmの距離を1時間で計算し、その合計時間を言う。

 

女性1位

トンボ

 

昨年度1位の鏑木さんは昨年このコースを4時間20分38秒で完走した。2位を30分も離しての優勝であった。その走りを期待して待ったが、今年は昨年2位の望月さんが私の前を一位で走り抜けた。カメラを構えても”あっ”と言う間に通り過ぎて、後ろ姿を撮る事になった。

同じ場所で9時から18時までランナーと登山者をズーと見続けて、色々な人と合った。クリスマスソングを大声で歌いながら走りぬける人、見るからに女性と見間違うランナー、60歳代でスリット入りのミニスカートを穿き胸にはブラジャーを着けたお爺さんも前を横切った。 いくら釜立沢を登ったからとは言え、山は町なか以上に不思議な人が居るものだと驚いてしまった。

 
 

最終ランナー

テレビのインタビュー

 

815名が参加したこの大会で完走者は523名、その最終ランナーが16時半前に私達の前を過ぎた。

17時過ぎに第3関門の姫次で体力の限界からリタイヤした2名と下山した。一人の方は62歳で、毎日5kmのジョギングで鍛え昨年は第2関門でリタイヤし、今年こそはと頑張ってきた人である。

この大会に参加する皆は、完走を目指して日々努力している人たちである。私の前を過ぎるとき『有難うございます』、『お疲れさまです』とそれぞれが皆声を掛けて行く。自然保護を優先するか、ランナー達の楽しみを考えるのか、大会の是非については難しい問題であるが、 私はまた何らかのかたちで応援をしたいと思った。