ブナの森(臼ヶ岳)
 

玄倉ダムを過ぎると、朝の雨が薄い雪布で不動・蛭ヶ岳を被った。

 
  ツララ

2月14日、暖かい日が続き丹沢山塊では雪の白さが目立た無くなっている。今回が今年最後の雪の丹沢になると思う。

玄倉を歩き出すと日陰には氷の塊や、青崩随道にはツララが垂れ下がっていた。

ゲート前に車を止めた。登り始めの玄倉は無彩色の冬の景観そのものだった。(8:30)

しかし、同角ノ頭沢出合辺りでは白い石英石と落ち葉やコケの色が陽に照らされて輝いていた。

 
 

玄倉ダムは開放されダム湖は底が見えていた。重機が音を立てて騒々しい春が始まっていた。

ダムの先では四段の滝が現れていた。発電用の水が工事の関係でこちらに流されていると思われる。

暫く進んで左折した。ユーシンロッジに行く橋の半分は凍結していた。欄干に手を添えてゆっくりと渡る。(10:00)

ユーシンの森では翼の綺麗な鳥を木々の間に見た。そして、いよいよ臼ヶ岳に登り始めようとした時、鹿が10頭余り私の前でたむろっていた。自然の豊富なユーシンの森である。

登山計画では不動ノ峰から蛭ヶ岳、そして臼ヶ岳に向う予定だった。しかし、ネット検索で不動ノ峰への詳細なルートを書いたページが見つからなかった。

そして、臼ヶ岳ルートを探したら中に「丹沢写真館 同角ノ頭(臼ヶ岳)登山記録  99年」が見つかった。

 
  痩せ尾根

それ以外のページは余り詳しく書かれていなかった。今回は単独行で行った事もないルートである。情報の多い、臼ヶ岳から蛭ヶ岳に向うルートに変更した。

ユーシンのトイレ左脇に踏み跡があり、そこを高度で約20m位登ると尾根道に出た。尾根沿いの左には鉄柵が続いている。(10:10)

熊木沢

尾根の桧の林を20分ほど歩くと、写真左の痩せた鞍部になる。そこから少し道が崩れたところがある。つま先に負担が掛った。しかし急坂は長く続かなかった。

桧からブナが点在する林になった。左には大石山が見える。頂上には雪が残っているようだ。少し進むと桧の木々が多くなり、今度は右に玄倉が見える。(10:40)

 
  コケ岩

コケで蒸したとんがり岩が真中に横たわっている。これをよけて右に回り込んで、また進む。(10:50)

すると桧からブナの木々が多くなった。傾斜はそれ程ではなくなった。左の山々が木々の間から眺められた。(10:55)

 
  同角ノ頭

石小屋ノ頭、ユーシン沢が見渡せるキレット、そして同角ノ頭。昨年歩いたことを思い出した。

小ピーク

小さなピークに辿り着いた。ここからは桧洞丸の木道あたりを眺めることができた。(11:02)

 
  北面

ピークを少し下ると左側の日陰には朝の雪がまだ解けずに残っていた。

落ち葉

また急坂になった。落ち葉が風で集積され、その脇を動物が掘り返した跡が所々にあった。

 
白い道

白い砂のような道が5m程現れると登りも幾分楽になった。(11:15)

四角石

枯れた木に大きなサルノコシカケができていた。そして四角な石と赤い標があった。(11:15)

ブナの森に来た

  共存

太いブナを中心にした森がそこに存在した。足元にはブナの実が敷きつめられていた。これはいい所だ。ここも新緑の時期にまた訪れたくなった。

鉄柵

ブナ林を保護する為に金網が張ってあった。中に入れるよう脚立は置いてあるが、外からでも十分その素晴らしさは分かる。

柵の外でもブナの大木があった。他の種類の木と肩を組むように高く伸びていた。地図には標高1196mとしか記入のない無名ピーク。

 
  ブナ大木

10分間眺めながら歩いた。(11:35)

臼ヶ岳

ピークのエンドに、まだ高い臼ヶ岳が見えた。

 
  ピーク下り

一旦下りになる。ここは一寸注意してマークを確認しながら下りる。間違う可能性あり。

ブナの森

下りた先はまだブナの森が続いていた。ここは野生の動物達にとって休息の地かもしれない。

 
  ブナの森

あたり一面には土を掘り起こした跡が無数にある。落ち葉が多い上に更に歩き憎くしている。

大石

そこからまた急坂になった。左には桧洞丸、右手には不動ノ峰が望める。前方にまた大きな岩が現れる。(12:00)

 
金山谷ノ頭へ

岩の上に立つと金山谷ノ頭に続く尾根が見える。あそこもブナが多そうである。

またブナ

馬酔木が目立つ。持って行ったコピーには隈(くま)笹の綺麗なブナの斜面とあるがそれが見えない。

茎だけの笹

25分登り続けてやっと馬酔木もみえなくなったが隈笹は見えない。しかしここもブナの木々が多い。まだ頂上でない。(12:25)

ブナ

更に登り続けると。柵で囲った中に隈笹があった。柵の外は茎だけ残っていた。鹿の食害によるものだと掲示板に書いてあった。

臼ヶ岳頂上

自然が豊富に見えた臼ヶ岳も実は危うい場所である。頂上に立って不動から蛭ヶ岳に目をやると其の高さに気が萎えた。(12:54)

足の四頭筋も嫌々を言い出した。蛭ヶ岳迄はあと僅かな時間で行けるが、山小屋で時間を持て余すより、我が家で好きなだけ酒を呑んだ方が楽しいので脱兎の如く来た道を戻った。(13:10)

   

登り 約5時間

ゲート〜(90分)〜ユーシン〜(20分)〜痩せ尾根〜(50分)〜コケ岩〜(12分)〜小ピーク〜(13分)〜

ブナのピーク1196m〜(20分)〜ブナの終り〜(25分)〜大石〜(35分)〜頂上付近のブナ〜(20分)〜頂上

 

下り 約4時間未満

 

帰って地図を見ると臼ヶ岳は尾根伝いを登るので迷う事は余りないと思われた。しかし、下りは標も数が少ないことや、偽尾根もあるので注意が必要である。