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犬の線維肉腫(軟部組織肉腫)について
以下の文は、一般飼い主の私が、自分の犬、くっくの為に調べたものです。
一切の責任をおうこともできませんし、専門的な質問にもお答えできません。ご了承下さい。
軟部組織肉腫とは、多様な癌のグループで、合計すると、犬の皮膚及び皮下の癌の15%を占めます。
ネコのワクチン誘発性肉腫とウィルス誘発性肉腫を例外として、原因はわかっていません。
大部分が、高齢のイヌに単独で発生し、性・品種による素因は知られていません。滑液膜肉腫は雄と雌の比が3:2です。横紋筋肉腫は若齢のイヌ4ヶ月でも発生することがあります。
名称について
このグループの腫瘍の名前は、顕微鏡的所見によります。顕微鏡所見は、その部位や成長の段階などで異なるので、同じ腫瘍でも、ステージが異なると違う名前が付けられるのです。
名前が、線維腫・線維肉腫・血管周囲細胞腫・神経線維腫・神経線維肉腫・シュワン鞘腫・横紋筋腫・横紋筋肉腫・平滑筋腫・平滑筋肉腫・悪性繊維性組織球腫のいずれでも、これらの腫瘍は、生物学的挙動は、ほとんど同じで、下記の重要な特徴があります。
★身体のあらゆる部位に発生する。
★偽被膜のある肉様の腫瘍の外観をとる傾向があるが、組織学的には辺縁は不明瞭であったり、筋膜面に浸潤していたりする。
★軟部組織肉腫で広いマージンをとらずに保存的な外科切除すると、局所再発がよく起ります。
しばしば局所で大きくなりますが、転移はまれです。
★肉腫は症例の最大25%で血行性に転移する傾向がある。所属リンパ節転移は多くない。(滑膜細胞肉腫は例外)
★測定できる程度の疾患では、化学療法および放射線療法に対して一般に乏しい反応しか示さない。
イヌの線維肉腫
イヌでは比較的よく認められます。通常成犬または老齢の動物に発生します。
品種差や、性差はありません。
あらゆる部位に発生しますが、体幹、乳腺、四肢、顔面にもっともよく認められます。
臨床所見は、著しく多様です。
皮下または皮膚表皮にに病変部が生じる例もあれば、皮下織深部にあって、筋膜や筋組織に侵入している場合もあります。
極めて大きなサイズに成長する傾向があり、腱・筋膜・筋肉などの深部構造に侵入し、表皮に潰瘍を形成します。
通常孤立性で、直径1cmから極端に大きい浸潤性のものまであります。
真皮内の病変は、大型の隆起した小結節として認められることが多く、上側を覆っている表皮は、ある程度毛が失われています。
皮下織に生じたものは、深部構造に固着し、上層の表皮には異常はみられません。
成長の速さは全く一定していません。
臨床診断の行われる前にかなりの長期間存在しているものもあれば、素早く成長し、短期間に2倍の増殖を示すものもしばしばです。
腫瘍組織の細胞充実性は非常に高く、密に作った紡鍾形の線維芽細胞が多くの有糸分裂像を示す。
線維肉腫は、大小不同、境界不明瞭、不整形、小結節性で、被膜はなく、固いものから肉質のものまであり、軟らかく脆い/潰瘍性の部分があります。
深部の線維肉腫はしばしば浸潤性で、境界の区画はよりはっきりしません。
断面は白い組織の帯が混交し、巣状に失血または壊死が認められます。
病理組織検査で良く分化している緩徐な発育を示す線維肉腫で、外科的切除で治療しやすい部分に発生したものは、予後が良好です。
急速に発育する低分化腫瘍はさらに再発や転移性の広がりを示すことが多く、若齢イヌに発生した急速に発育する線維肉腫は、根治的な外科手術を行い、手術縁に腫瘍細胞が認められなくても、転移性に拡がることが少なくありません。腫瘍細胞の血管内播種が起っていると思われます。このような場合、最初に転移が見つかる場所は肺です。
口腔内の線維肉腫で、組織学的に良性の線維腫もしくは低グレードと診断された腫瘍が、実際は生物学的挙動では極めて悪性で、急速な成長、骨侵襲、再発、転移を起こすものがあります。
軟組織肉腫の治療
すべての軟組織肉腫に対する治療は早期の外科的切除です。
治癒させるためには最初の治療的手術です。治癒にはあらゆる方向への広範囲な手術マージンが必要です。
術前の生検は、非常に価値があります。
穿刺吸引細胞診では、脂肪腫・漿液腫・炎症・膿瘍などの鑑別診断の除外には役立つが、軟組織肉腫の診断では、反応性と良性腫瘍が細胞学的に非常に類似しているので、診断の役割は限られてしまう。
また、多くの肉腫は様々な程度で壊死があり、穿刺吸引ではこの部分のみを採取することがあります。そして、肉腫では細胞診に使えるような細胞が剥離しません。
軟組織肉腫の特徴および臨床症状は、非特異的なので、確定診断にはバイオプシーが必要です。
ニードルバイオプシー、切開バイオプシー、いずれも適しています。
バイオプシーによって、確定診断を下すことができ、その後の外科手術や放射線療法などの治療に妥協せざるえないような過度の危険を伴うこともありません。
バイオプシーは、手術時に容易に切除できるような位置で行うか、または放射線の照射野に入るようにします。
軟組織肉腫では治療的介入の前に腫瘍タイプを知っておくことが絶対に必要で、最初の治療(外科手術)を適切に計画し、積極的に実施できるようにするべきです。
これらの腫瘍では、完全に切除できないことがしばしばです。
肉腫は、圧迫壊死した腫瘍細胞の擬似被膜に包まれているため、摘出は広く深く実施しなければならない。圧迫されていても、これらの細胞は完全に生存可能で局所再発腫瘍を形成することができます。
軟組織肉腫からは擬似被膜の周辺組織に向けて、顕微鏡サイズのタコ足のような突起が出ており、摘出が不完全になる可能性が高まります。
他の皮膚悪性疾患に比べると、転移はまれで、発生したとしても、通常は疾患経過の晩期になってからです。
ただし、悪性度が高い症例では、早期における局所制御の失敗と遠隔転移を起こすリスクが高くなります。
腹腔、胸腔臓器に軟部差式肉腫が存在する場合は、それらの臓器に関連する全身状態を起こすことがあります。
軟組織肉腫の多くは、、外科手術や放射線療法などの局所治療を適切に早期に施せば、治癒する可能性があります。
軟組織肉腫を切除する場合、摘出する腫瘍から筋膜一層分または2〜3cmのマージンを取って切除するようにします。境界面の組織病理を必ず実施します。
◆放射線治療◆
軟組織肉腫(間葉系腫瘍)は、新生物の3つの分類の中でも、最も放射線抵抗性と考えられています。
残存する大きな腫瘍がある動物に放射線療法は、効果的でなく、行うのはまれです。
腫瘍の切除を行い、顕微鏡サイズにすることで、低酸素の問題を軽減させ、成長率を増加させ、放射線療法を有効なものにします。
放射線療法は、不完全な外科手術に対する役立つ第一選択の補助療法になります。
しかし、この腫瘍は、低線量の放射線には抵抗を示します。
放射線療法を受けた軟組織肉腫のイヌの寛解期間は、照射した放射線の線量によって異なります。
照射線量を増やし、分割を進める(頻繁に照射)によって、軟組織肉腫の反応率は、向上しました。
総線量45Gy・・・・48%で1年間の腫瘍の成長の管理ができた
総線量50Gy・・・・67%で1年間の腫瘍の成長の管理ができ、2年後の管理が出来たイヌは50%
総線量52Gy・・・・78%で1年間の腫瘍の成長の管理ができた
総線量63Gy超高圧放射線(メガボルテージ)・・・・軟組織肉腫の不完全切除21例に対し、照射野に再発したのは4例のみ。4年間生存率は86%でした。
Poo先生に紹介頂いた、最近の資料によると、
不完全切除の軟部組織肉腫にメガボルテージを週3回21分割で行い、5年生存率が76%、中央無症状期間が3年、局所再発17%、遠隔転移8%というものがあります。
照射線量60Gy以上で、イヌの軟組織肉腫を有効に管理することができるようです。
◆化学療法◆
化学療法は有効性を示す報告例は少ない。
・ヒトの場合、ドキソルビシンが第一選択になる。軟組織肉腫のイヌ29頭でドキソルビシンによって3頭が完全反応、2頭が部分反応しただけでした。
・滑膜肉腫のイヌ1頭でドキソルビシンとサイクロホスファマイドの併用で良好な結果が得られました。・・・皮膚何組織肉腫のイヌやネコでも、この療法で反応が得られる可能性があります。
・何組織肉腫のイヌ16頭でミトキサントロンを使用したところ、2頭が完全反応、3頭が部分反応を示しましたが、反応期間の中央値は21日間(16〜63日間)でした。
・口腔線維肉腫のネコ1頭では、ビンクリスチンの単独治療の後30週間腫瘍が完全に消失しました。
・ミトキサントロン化学療法を受けた軟組織肉腫のネコ6頭では1頭だけが90日間完全寛解しました。
・ミトキサントロンの後にシスプラチンの牛コラーゲン基質デポー製剤を用いた病変部内化学療法では、線維肉腫のネコ21頭のうち18頭で著しい縮小を見せ、5頭は消失しました。
・シスプラチンと放射線療法を併用すると、単独より抗腫瘍反応が増強するようです。
肉腫の組織学的グレード
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低グレード |
高グレード |
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細胞充実性は低い |
細胞充実性は高い |
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よく成熟(よく分化) |
成熟は乏しい(分化が乏しい) |
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大量の間質 |
わずかな間質 |
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乏血管性 |
血管分布過多 |
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壊死はわずか |
大量の壊死 |
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強拡大10視野あたり 有糸分裂 <5 |
強拡大10視野あたり 有糸分裂 >5 |
軟部組織肉腫のステージ分類システムの修正法
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T 原発腫瘍
T1 直径<2cm
T2 直径 2cm〜5cm
T3 直径>5cm
T4 筋肉、骨、軟骨に侵入した腫瘍
N 所属リンパ節
N 0 転移は組織学的に証明されない
N 1 転移を組織学的に証明
M 遠隔転移
M 0 遠隔転移なし
M 1 遠隔転移
ステージ1
1A T1N0M0
1B T2N0M0
ステージ2
2A T3N0M0
2B T4N0M0
ステージ3
3A すべてのTN1M0
3B すべてのTすべてのNM1 |
肉腫の予後に影響する要因
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肉腫 |
好ましい因子 |
好ましくない因子 |
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サイズ |
小さい |
大きい |
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部位 |
表在性/四肢 |
深部、体幹、侵襲性 |
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組織学的グレード |
低い |
高い |
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固定 |
「動く」 |
固定しており侵襲性 |
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第一回手術時のくっくの組織検査の結果(2004.9.22)
病理検査機関・・・(社)アマネセル
診断・・線維肉腫(Fibrosarcoma)
(手術時局所所見・・・皮下φ5cm)
概要・・間葉系由来の悪性腫瘍性病変である線維肉腫が認められました。
皮下に、不規則に境界を有する充実性で細胞成分豊富な腫瘤が形成されています。
腫瘤内では、クロマチン豊富で核小体明瞭な多形性異型核を有する紡鍾形の線維芽細胞様の腫瘍細胞が不規則な束を形成して密に増生し、核分裂像も多数認められていて、線維芽細胞として比較的よく分化しています。
周囲細胞へ浸潤性に拡がり、腫瘍境界は不明瞭になっていますので、局所再発の可能性があります。
検索した範囲内では脈管侵襲は見出されません。 |
*** 参考資料 ***
・動物の癌患者治療管理法 コロラド大学癌内科学教授 Gregory K.Ogilvie.DVM タフツ大学癌内科学助教授 Anyony
S.Moore.MVS 訳/代表 岡公代 監/松原哲舟 LLLセミナー
・小動物の臨床腫瘍学 第2版 Stephen J.Withrow E.Gregory
MacEwen 著 訳/代表 岡公代 監/松原哲舟 LLLセミナー
・犬と猫の皮膚腫瘍 M.H.Goldschmidt and F.S.Shofer 後藤 直彰 訳 学窓社
・獣医臨床シリーズ 1999年版 Vol.27/No.1 放射線腫瘍学 学窓社 |