治療方法、病院の選択


どんな風に獣医さんを選んだら良いのでしょうか??

WANが大好きな獣医さん

獣医師が必ずしも犬好きとは限りません。
獣医さんに「犬はお好きですか??ご自分で犬を飼われていますか?」 っと、お聞きしてみましょう。
先生が、ご自身の犬を飼う事になったきっかけとか、犬種、年齢等、同じ飼い主の立場 でのお話を色々して頂く事が出来れば、より一層親近感が湧き、いつもと違う、 獣医さんの一面を発見出来るかも知れません。
犬が好きで、愛情を感じて頂けていることは大事だと思います。

犬との接し方が上手で、触診が丁寧でしょうか??

患者さんのWANに対して、優しい笑顔で対応して下さいますか?
その子がリラックス出来る様に、暖かい声をかけたり、優しく扱って下さいますか?
「病気を早期に発見すること」この大事な第一歩は、飼い主のケアと観察及び、掛かりつけの獣医師によるところになります。

病気の早期発見は、丁寧な問診と、身体検査から始まります。
皆さんの主治医は、ワクチンやフィラリアなど、定期的な通院時に、きちんと丁寧な身体検査をして下さいますか??
おできや眼の異常など、どんなことが心配で病院に行った時でも、まず、全身をくまなくチェックして下さいますか??
毎回必ず、体全部を触って、リンパ節の確認、、耳、眼、歯、口腔内を診て、体温、体重、丁寧な聴診をして下さいますか??

がんになっても、初期は、症状もないし、特に犬猫は、ちょっとのことでは、食欲が落ちたり、文句を言ったりもしません。
そして、初期の変化を全部、飼い主さんが気づくのは難しいことです。
◎口腔内、扁桃部、リンパ節、甲状腺、乳腺、肛門周囲などに発生する悪性腫瘍の初期病変は、丁寧に診察しなければ見落としてしまう可能性があります。

応対は丁寧で親切ですか??

問診は、犬は言葉をしゃべれないですから、とても重要になります。
飼い主の話をしっかり聞いて下さり、適切な質問をされ、情報の収集に 努めて下さいますか??

 問診をスムーズに行うために、飼い主も、事前に自身の動物の状況に対し、整理しておくことが大切です。

* 状態の変化に気づいたのは、いつからか。
* 気づいてから、今日までの変化。(大きさ、赤みがましている、ひどくなっているなど)
* 状況をなるべく詳しく伝える。
下痢の場合、頻度、内容(色、粘度)
嘔吐の場合、頻度、どんな時(食後、食間、運動後など)内容(色、粘度)
癲癇発作の場合、頻度、状態など
尿の異常の場合、おしっこに行く回数が増えているのか、量が変化しているのか、水を多く飲んでいるか、色、排尿時の動物の状態など
* 気になっていること以外の状態の変化の確認・・・体重の変化はあるか、元気は?食欲は?飲水量の変化は?排尿・排便の変化は?散歩時の変化は?
* 初めての病院の場合は、食事内容、生活の場所、ワクチン歴、既往病歴、
今までの病院での治療の経過や現在投与している薬について
最近の血液検査や尿検査などの検査データ
* 慢性的な異常がある場合は、経過を丁寧に説明する

「様子を見ましょう」という前に、適切な検査をし、診断をして下さいますか?

体表上の小さなしこりは、大きさ・見た目に関係なく、悪性腫瘍である可能性があります。バイオプシーなど、適切な検査をした上で、診断をして下さいますか?
適切な検査のないまま、「様子を見ましょう」「とりあえず、消炎剤と抗生剤を飲ませてみて下さい」では、病気の早期発見・早期治療を遅らせることにもなります。
耳垢なども、適切な検査をしないままでの投薬は、治療を長引かせたり悪化したりすることもありますので、安易に市販薬を使うことも危険です。

病気や薬、日常のケアについて、丁寧に説明して下さいますか?

獣医師が診断した病気についての詳しい説明、治療の方法、薬の種類 と効果等をきちんと説明して下さいますか。
デメリットや副作用についての説明もありますか?
単純な病気でない場合は、治療に対し、幾つかの選択を提示し、それぞれについて丁寧な説明をして下さいますか。
飼い主が持つ事情(仕事をしていて時間が限られている、多頭飼育をしている、お子様が小さい、経済面など)に対し、誠意をもって対応して下さいますか。
治療の選択も、日常のケアは飼い主の方にかかっています。飼い主の方が理解するまで、 質問にも丁寧に答えて下さいますか。

専門分野で無い場合は、適切に他の獣医師を紹介して下さいますか

日本の獣医師は専門医制度ではありませんので、専門科を持っているのは、 大学病院等、限られた所のみです。 
でも、全ての治療の最新技術・最新情報を学ぶことは、 不可能な事でしょう。
大学時代の専攻等により、それぞれの獣医師が得意・不得手があるものです。
自分の範囲外の場合、他の獣医師を紹介下さることは、犬の立場に立った良心的で 適切な判断をなされる獣医師だと思います。

主治医を決めましょう

過去の健康診断のデータ等により、より適切な処置をして頂くことが可能になります。
又、長年、診察に携われば、獣医師も犬も、飼い主もお互いに信頼関係が築かれ、より良い治療が期待出来ることでしょう。
ただし、定休日等の際の緊急時の為の診察をして頂ける場所も、確保しておきましょう。

大学病院などの情報やルート

お近くの信頼出来る獣医師の他に、より専門的なアドバイスが聞ける、施設の整った大学病院等の情報も、いざという時の場合に備えて、集めておきましょう。
がんに関しては、大学病院他、日本獣医がん研究会 において認定医制度があり、サイト内において認定医を紹介していますので、ご参考になさるとよいのではないでしょうか。


獣医師を決められるまえに

獣医さんの選択は、なるべく犬が健康な時に行いましょう

例えば、検便、しつけの相談等、日常のケアで病院に行かれて、 お話を伺いながら、判断されるとよいと思います。
病状が重い時に、病院を転々とする事は出来るだけ避けたいですものね。

治療で最も大切なことは、獣医師・犬・飼い主のこの3者が信頼関係で結ばれ、 きちんとしたトライアングルが出来ていることです。 

犬をきちんとしつけられ、診察を大人しく受けれる様にしましょう

どんなに良い獣医師と巡り会えても、どたばたと逃げ回って診察も出来ない様では、 仕方ありませんものね。

犬の一番の先生は、飼い主です

飼い主の方が気づいてあげられないと、獣医師に行くことすら出来なくなってしまいます。
犬のことを一番理解してあげられて、異常に気づけるのは飼い主の方だけです。
普段から、マッサージ、ブラッシング、歯磨き等、健康チェックを欠かさずに行い、病気の予防をして、早期発見、早期治療に心がけましょう。
「知らなかった」にならない様にしましょう。
一般向けの「病気百科」の様な、病気のこと、予防のこと等が書かれた本を1冊、お持ちになるとよいと思います。
ある程度の知識がないと、獣医師の適切なアドバイスを受けることや、 質問することすらままならなくなってしまいますし、先生のお話をお聞きしたあとの確認にも役立つと思います。


インフォームド・コンセントについて


「インフォームド・コンセント」Informed consent


「告知に基づく同意(手術や実験的治療をうける場合、その詳細を知らされたうえで 患者が与える同意)」

ペットは、自ら「どうしたい」と言えないので、獣医師からの飼い主の方への告知と同意は、 とても大切です。

桜井富士朗氏の資料(ProVet Vol.10 No.7)によると、

*
いきなり悲観的病状を説明すれば、患者は不安になる。
*
初診時や検査結果のでる前の予後の展開が読めない時でも、あまり不確かさを強調すると、獣医師は信頼されなくなる。
* 稀にしか起こりそうもない、副作用や合併症を一つ一つ説明していたら、仕事は減ってしまうに違いない。
*
どんなに誠意を尽くしても、病状が思わしくないと、飼い主は獣医師に対して不信を持つことがある。
*
飼い主やその家族側の病気に対する理解力も限界がある事が多い。
*
獣医師側も持てる全ての知識や情報を患者に話す余裕がいつもあるとは限らない。

と、あります。
「インフォームド・コンセントが円滑に行われるには、飼い主と獣医師の間に成熟した信頼関係が築かれているか否かが最大のポイントになる。」のです。
普段の健康な時のお付き合いを、大切にしましょう。

そして、情報を伝える内容としては、
*
ペットの病名や病状
*
予想される検査や治療についての目的や内容
*
特にそれにより予想される結果やそれに伴う危険性
*
予想される医療行為以外にも方法があるのか
*
また検査や、治療を受けないことにより予想される結果


の5つをあげられていました。

飼い主の方がご自分の犬のことをきちんと決定するに際しては、逆に飼い主側も、この5つの事を最低限の知識を持ち、冷静な判断が出来る様に心がけることが大切なのではないでしょうか。

インフォームド・コンセントは、様々な選択肢を示し、それぞれのメリット、デメリットを伝え、飼い主が決断するための説明でもあるのですが、実際は、そのような形をとりながら、そうではない部分を含んでいるように思います。

それぞれの獣医師は、専門家として、又、それぞれの病院で可能な治療方法として、又、それぞれの追求している治療として、個々のケースで、導きたい、治療方法があって、その治療を納得して頂き、理解・協力を得られるための、説明をされます。
飼い主はその説明によって、同意をするのですが、そこに、基礎知識や自分自身の希望がないばあい、獣医師の誘導のままでしかない。・・・そういう部分もあるように思います。

特に、専門医や大学病院などは、「自分を信頼し、自分に治療を任せる為に来院している」っという大前提が、知らずのうちにあるように思います。

インフォームド・コンセントは、一方的にお聞きすることだけではないのですから、その説明を理解できるための、基礎知識を得ておくことも大切だと思うし、自分の中で、「どうしてあげたいのか」方向性をもっておくことも大事なことのように思います。

そうして、先生と私達が、お互いに話し合って、納得しあって、それが、本当のインフォームドコンセントだと思います。

言葉では、
「説明と同意」
「飼い主さんの選択を優先する」
このことは、良く聞くけれど、実際にそれがきちんと行われるための土壌は、獣医師側も、私達飼い主側も、まだまだ育っていないように思います。

後々公開したり、不信に感じることのないためにも、十分に説明を受け、納得のできるまで考慮することが大切と思います。
感情に先走ったり、無知からの決断ではなくて、きちんと事実と向き合う強さも欲しいし、きちんと学ぶ意識も欲しいし、その上で、愛する子をきちんと守れる飼い主でありたいですね


セカンド・オピニオン


セカンド・オピニオンについて


アメリカでは、「セカンドオピニオン」と言って、他の複数の獣医師の方に意見を頂く事は、 ごく、日常的に行われています。
西山ゆうこ先生の資料によりますと、「一人の獣医師の意見に頼るのは危険である、 ということで、他の獣医師の意見を聞き、最終的に自分で判断するということ」で、 「医療サービスを受ける患者の当然の権利」なのです。

かかりつけの獣医師にセカンドオピニオンに行きたいことを説明し、カルテと検査結果のコピー等を頂くそうです。
そして、セカンドオピニオンでの結果も、元の獣医師に説明した上で、再度意見をお伺いするのです。

セカンドオピニオンは、本来、今の治療に不満があったり、状態がよくならなかったり、獣医師に不信があったりで、するものとは違います。
がんなどの、難しい病気は、治療方法の選択が幾つかあるものですし、獣医師によって意見が異なったり、設備が異なったりします。
飼い主として、決断するための材料も、たくさんの情報からの選択のほうが、納得した結論にたどり着くことができます。
同じ説明でも、何人かの専門家からご意見をお伺いすることで、理解度が深まる事も多くあります。

複数の先生にご相談しつつ、治療の方向を決められたり、少しでも疑問があれば、ぶつけられたり、それでも納得出来ない部分は、他の獣医師のご意見もお聞きするなど、口の聞けない犬の代わりに、飼い主の方が屈しないであげることは、大切なのではないでしょうか。

様々な獣医師に診断を受け、より多くの情報を得ることで、飼い主側も納得の行く、治療を受けることが出来ると思うのです。

こういった意識が拡がっていけば、獣医師の方も新しい知識を得る為に、より一層勉強なさる様になりますし、飼い主側も、よりたくさんの意見から判断材料を求めることが出来るようになると思います。

特に、難しい症例は、大学病院等で、専門医に診断して意見を伺うのが良いと思います。

(参考資料)

・癌を確実に見つける診療-あなたは日頃癌を見落としていませんか? 小林哲也 日本臨床獣医学フォーラム年次大会2005 より
・ペットががんになった時 日本獣医畜産大学 鷲巣月美 編 三省堂
・ProVet Vol.10 No.7 飼主への対応 桜井 富士朗(桜井動物病院)
・「安楽死」発行 西山ゆうこ 動物の会アルファ

信頼できる獣医師を捜すのって難しいですよね。
そして、獣医師に信頼される飼い主になることも、難しい。
犬に信頼される飼い主になることも・・・。

この3つのトライアングルを大切に育てていきたいですね。


(ふじたみゆき)