高齢犬の食事

寿命に食事が及ぼす影響は大きいのだそうです。 高齢犬独特の栄養要求性を考慮した 適切な食事を与えることにより、高齢期の看護と管理を上手に進めることが出来るそうです。

加齢と共に、食欲が減少したり、味覚や臭覚も低下するし、唾液や胃腸の分泌物も低下したり、肝臓の利用も排泄能力も低下してしまいます。

消化しやすく吸収しやすい食事で、一般的には、低ナトリウム、低リン食、低タンパク食を与えるようにしますが、健康状態・疾患によって定期的に獣医師の検査・アドバイスを受けましょう。
腎臓や肝臓などや、その他の病気によって、療法食が必要な場合もあります。

リンの保持は、しばしば慢性腎不全の犬に起こることがわかっています。
これは、腎臓を含む体内の多くの組織に石灰沈着を起こしてしまいます。
リン摂取の調節は、腎不全の進行を遅らせることができます。

多くの老犬には心内膜症があって、ナトリウムを保持してしまいます。
心疾患でのナトリウム摂取は、前負荷の効果を低下させるように最小限にします。
高血圧は、慢性腎不全の問題にもなります。過度のナトリウムの負荷は、さらに、病態を悪化させてしまいます。

高齢犬は、活動全体が低下し、除脂肪体重が低下、基礎代謝率が低下していきます。
肥満を防ぐ為には、高齢犬は食事エネルギーを低く抑えなければなりません。
ただし、これはエネルギー密度を下げるという事でもなく、高齢犬は食欲の少ない子も多いので注意が必要です。
タンパク質、脂肪、灰分、エネルギーの見かけの消化率は高齢犬の方が高くなっています。要求量は高いかもしれませんが、その一方で、高蛋白は腎臓に負担となります。ですから、タンパク質の質を考える事が大切で、消化率の高い物を選ぶ必要があります。
ビタミンEは、解毒に関与し、高齢犬では要求量が増加していると考えられています。

高齢犬は運動量も少なくなりますし、どうしても太りやすくなる傾向があります。
食事を与えすぎないように注意してあげましょうね。
安定した体重は、長生きの大事な秘訣だと思います。
体重の増加は、関節部分に負担を掛け、心臓や肺にも悪影響を及ぼすし、太りすぎは麻酔や外科手術にも余計なリスクを負わせてしまいます。

足腰が弱くなってくると、床からの食事は大変になります。
かがまなくてすむように、ローテーブル等で、水や食事の高さを調節してあげましょう。
腫瘍や他の病気などで、嚥下傷害があったりした場合にも、テーブルがあると楽になるでしょうし、その子の食べやすい様に工夫をしてあげて下さいね。

食事の後はもちろん、食事の前も、遊ばせたり、無闇に動かせたりすることを避けてあげましょう。
高齢になると、より消化に時間を要しますし、一つ一つの動作にゆったりとした時間をかけてあげましょう。
運動したら体を休ませてあげて、休んでから食事にします。食べたら、また、消化するまでのんびりと静かな時間をもってあげましょう。

水は、24時間常に十分飲めるようにしてあげて下さい。
水が変わるだけでも、消化不良の原因になることがあります。
旅行などでは、車の移動や別の環境など、楽しいこともたくさんですがストレスの要因もあります。
いつも飲んでいる水を持っていってあげるなど、工夫をしてあげましょう。

歯周病が悪化している場合など、柔らかい食事が必要だったり、細かくしてあげる等の工夫が必要です。
食事後の、口腔内の清掃は、忘れないであげて下さい。

ガンに冒されてしまった場合、早期から、炭水化物、タンパク質、脂肪の代謝を変化させ、クオリティ・オブ・ライフを低下させるそうです。
癌は、単純炭水化物が大好きで、乳酸アシドーシスが起きるのだそうです。
また、患者とタンパク質を取り合うのだそうです。ですから、タンパク質が過剰だと、癌が成長してしまいますし、不足していると、患者自身が必要とするタンパク質が枯渇してしまうので、高い生物利用で中程度の量のタンパク質が必要だそうです。
そして、癌は、脂肪を利用出来ないのだそうです。そこで、「高脂肪食」が効果の大きいことがわかってきています。
高脂質で低炭水化物の療法食は、高い質解率と、長い生存期間の結果をもたらすそうです。
それから、最近の研究では、新しい情報として、タウリン、銅、亜鉛、鉄等の栄養補給が必要なことも分かっているそうです。(セミナーの「ガン治療」も参照にして下さい。)


 

月1度の体重測定、食欲や食べ方、糞の性状、排尿回数等日常的な観察、尿検査や血液検査など、何か異常があった時に獣医師に相談したり、こまめな定期検査をしながら、食事を考えていってあげましょう。






(参照文献)


・高齢ペットのハッピーライフケア ROBERT ANDERSON,DVM&BARBARA WREDE 著 林典子 中西真紀子訳 インターズー
・犬と猫の老齢医学 Mike Davies著 内野富弥 監訳 学窓社
・コンパニオンアニマルの栄養学 Edited by I.Burger インターズー
・小動物の高齢性疾患・・・診断と治療 PROVET Vol.10 No.7 インターズー 
・小動物看護のための内科学 杉浦栄治 浅野妃美 浅野隆司著 インターズー
・ブルース・フォーグル博士のナチュラルドッグケア 坂田郁夫・光子 監修 ペットライフ社
・2000年9月2日獣医学フォーラム 「癌の治療における食事療法の重要性−最新のリンパ腫の治療法と栄養学的支持ー」
講師 Dr.Gregory K. Ogilvie(コロラド大学) 信田 卓男(麻布大学)