用語集

倍音






倍音を体験してみよう

私たちがいつも聴いている楽器の音(肉声もそうだが)は、基音とそれに対する倍音からなっている。

もしあなたのそばにギターなどの弦楽器があればちょっとはじいてみて下さい。 なるべく、太い弦のほうがいいでしょう。

つぎは、その弦の丁度半分の長さのところ、ギターでいうと12フレットのところに軽く触れるか触れない程度に指を当ててもう片方の手ではじいてみて下さい。 「プーン」という感じの高い音がでましたか?

最初に弾いたときの丁度1オクターブ上の音がでるはずなんですが。 弦楽器のテクニックのひとつでハーモニックスっていうやつです。

つぎは、4分の1のところ(ギターでは五フレットのところ)でやってみて下さい。 もっと高い音、最初の2オクターブ上の音がでるはずなんですが。

次は、ちょっと出にくいかもしれませんが、3分の1のところ、ギターで7フレットあたりでやってみて下さい。 1オクターブと5度上の音がでると思います。

こつがのみこめたところで、 弦の端からこの軽く触れた指を移動しながらトレモロ奏法みたいに連続で弦をはじいてみて下さい。 いろんな音がしますね。弦をしっかり押さえて弾いたのとは違う金属的な高い音が。 この音を何度も良く聞いてください。

今度は、もう一度最初のように指は触れずに弦をはじいてみて下さい。 そして、その音に集中して、耳を研ぎ澄ましてよ〜く聞いてください。 いろんな音が聴こえてくるでしょう。 さっきハーモニックスで作った色んな音が出たり入ったりして聞こえてきませんか? 実は、これが倍音なのです。

この倍音は、ほぼすべての楽器の音に含まれていて、この含まれ具合がその楽器の音色を決定する重要な要素の一つになっています。

整数倍音と非整数倍音

音程をもった楽器の主な倍音は基音に対して整数倍になっています。 また、多くの打楽器のように音程を持たない楽器は非整数倍音によって構成されています。

と言い切ると異論反論もでると思いますが、話を解りやすくするために最初はそう思っておいて下さい。 後で、詳しく述べますが、実はさっき実験に使った弦楽器は正確には整数倍音とはいえないのですが、理解を進めるために目をつぶっておいて下さい。

基音について

基音というのは今なっている音の中で一番低い音のことです。 先ほど鳴らしたギターの弦が第5弦ならA(220Hz)です。

ちょっと物理の時間を思い出して下さい。 え?授業中寝てたって? では、簡単に。

ただし、物理で習った定在波の基音の考え方と楽器学の本などに書かれている基音の解釈には若干違いがあるようです。 しかしながら、同じ現象について基準点が違うだけなので問題はないと思います。 私の記憶違いだったらお許し下さい。

物の振動の中で・・・中略。
この二つの節で囲まれた部分。つまり二つの節と一つの腹で一波長ということになります。 ですから、両端を固定された弦楽器は見るからに基音はその弦の長さが基準になるのはおわかりだとおもいます。


↑弦の振動の基音のイメージ・モデル↑

では、管楽器はどうでしょう。 実は、管楽器には2種類の振動の形があります。 管楽器の場合弦楽器の弦の変わりに振動してるのは管の中の空気です。 金管楽器の奏者の唇、木管楽器のリードは振動のきっかけをつくっているわけで、唇やリードの振動が増幅された音を聞いてるわけではありません。 管の中で共鳴している空気の振動を楽器の音として聞いているわけです。

話を元にもどして、管そのものの形状をみてみましょう。 トランペットやホルンといった楽器は吹き口側とその反対側どちらも開いています。 ホースのようですね。


↑金管楽器のモデル↑

一方フルートやリコーダー、クラリネットといった楽器は片方を閉じられたいわば茶筒状態になっています。 そうなんです、この違いが木管と金管の違いなんです。 フルートやサックスが金属で出来ているのにどうして木管なのかわかりましたか?


↑木管楽器のイメージ・モデル↑

話は前後しますが、この開いたほうを自由端、閉じたほうを固定端といいます。 この自由端と固定端の組み合わせでその振動(定在波)の形が決まるわけです。
弦楽器は「固定端ー固定端」。
金管楽器は「自由端ー自由端」。
木管楽器は「固定端ー自由端」。
ということになります。

ここで、さっきの波の節と腹の話を思い出してください。 金管楽器で鳴らすことのできる一番低い定在波は、図1のようになります。 これは、腹が二つあり節が一つです。 ですから、基音とはなりません。


↑図1:金管の最低共鳴音のイメージ↑

実際トランペットなどでもこのように鳴らすことはできますが、非常に難いこともあって楽音としてはつかいません。 ですから、この1オクターブ上の図2のような振動が基音となり、実際演奏する際もこの形を最低音とします。


↑図2:金管の基音のイメージ↑

次に木管楽器の場合を考えてみましょう。 この場合物理的にでる一番低い低在波は図3のように「節ー腹」となります。


↑図3:木管の最低共鳴音のイメージ↑

では、基音はというと図4の「節ー腹ー節ー腹」という形になり、弦楽器や金管楽器とちがって腹がひとつ多い形になります。 ここまででも木管と金管の響きが違うのが良くわかったとおもいます。

↑図4:木管の基音のイメージモデル↑

倍音

さてここからが本題の倍音の話ということになります。 では、先ほどの三種類の振動の形をもとに、そこに含まれる倍音について考えることにしましょう。

まずは、一番解りやすい「固定端ー固定端」、弦の振動についてみてみましょう。 基音は先ほどのように「節ー腹ー節」ですね。 では、その上の音はというと「節ー腹ー節ー腹ー節」となって波長は基音の半分、すなわち振動数、周波数は基音の2倍ということになります。 その上は順に3倍、4倍と整数倍に増えていくのがわかりますね。


↑弦の振動の倍音のイメージ・モデル

では、金管楽器のように「自由端ー自由端」の場合はどうでしょう。 基音が「腹ー節ー腹ー節ー腹」でした。 その上の音は「腹ー節ー腹ー節ー腹ー節ー腹」です。 波長は基音の3分の2、周波数は1.5倍ということになります。 その上が基音の2倍、そして、2.5、3、3.5、4倍音となっていくわけです。 ただし金管楽器は弦楽器の場合とちがい音程をこの倍音を強制的に鳴らしてつくっていきますので、それぞれの音程での倍音の含み方が変わってきます。
図表の方では、多くの楽器学にならって最低音を基音としています。 ただし、くどいようですが、実際の金管楽器の音色を決める倍音構成とは違いますので誤解のないように。


↑金管内の振動の倍音のイメージ・モデル↑

次に、木管楽器の場合をみてみましょう。 基音は「節ー腹ー節ー腹」です。 その上の倍音は「節ー腹ー節ー腹ー節ー腹」となり波長は基音の5分の3、周波数は基音の3分の5倍ということになります。 その上が7/3倍、9/3(=3)倍、11/3倍となっていきます。
物理では、定在波と共鳴で、基音をこのようにとらえているようですが、実際木管楽器で使用している基音は管の2倍の波長をもった最低振動です。 ですから、木管楽器の倍音は1,3,5,7,9と奇数の構成になります。


↑木管内の振動の倍音のイメージ・モデル

ただし、フルートやリコーダー、パイプオルガンといったエアブロウを発音のきっかけにしているものと クラリネットやオーボエのようにリードによるビートを発音のきっかけにしてるものの間には音色上大きな違いがあります。 これも、倍音の話からは逸れてしまいますので別の項でお話します。

最後に

さて、これで楽音、音程を持った楽器の音は基音と基音に対して整数比をもった倍音から構成されていることがおわかりいただけたと思います。 同時に実際の楽器の音はこの整数比倍音だけでは、簡単に片付けられないこともニュアンスとして感じていただけたと思います。


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