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| 2006年1月3日、ワンダフルハウスは日影茶屋を訪れました。 | |
| 江戸時代の初期、寛文元年(1661年)創業と伝えられる葉山の日本料理店「日影茶屋」の登場です。御用邸と明治大正時代の名士たちによって磨かれ、老舗としての風格を備えてきました。かつては宿泊もできたので、湘南を愛する多くの人たちが、ここに逗留しました。夏目漱石は毎年夏になると一家で滞在し、漱石の子供たちは他の客の子供と親しくなって兄弟のように一緒に遊びました。単に宿泊させ食事を出すというのではない、もっと密な客との繋がりがあったのです。 | |
| 地元の郷土史家の中には、「もっと古い」と言う人もいて、正確な創業年度はわからないそうです。 | |
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| ガラガラッ… | |
| 明治の文人 川上眉山も、「日陰の茶屋といへる名の優しさに其処に宿からむ事を思ひ……(中略)……左に燈火を見る。これを日陰とす」という記述を残しています。白樺派や鎌倉文士たちの他、政財界の別荘族も出入りし、結婚式やパーティーの仕出しにもよく利用されたといいます。ちなみに、昔は「日陰」だったのが、今は「日影」で、いつからそうなったのかは定かではないとのことです。 | |
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| 「明けましておめでとうございます!(^O^)/」「これはこれはワンダフルハウス様…」 | |
| この日影茶屋の名を一層有名にしたのが「日陰茶屋事件」。大正5年、アナーキストの大杉栄が、婦人記者をしていた神近市子に2階で刺さたのです。フリーラブを唱えた大杉と妻、神近市子、さらに伊藤野枝との入り組んだ関係から起こった事件でした。事件の舞台になった部屋があった建物は、昭和初期に建て替えられました。 | |
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| 「おっ、日影茶屋が旅館だった頃の看板が飾ってあります」 | |
| 交通の発達によって、葉山の旅館の宿泊客が減り、「料理だけをいただきたい」という声も増えてきたため、1972(昭和47)年、日本料理店として新たなスタートを切りました。現在でも店内には旅館時代の看板が展示されています。逗子の自宅から近かった石原裕次郎は、若い頃からしばしば訪れ、カレーライスやエビフライなどの当時はまだ珍しかった洋食を好んで食べていたそうです。当時は旅館だったので、お好みで献立にない料理を出すこともあったのです。現在でも石原慎太郎氏や石原良純氏が来店しています。 | |
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| この火鉢で温まることにしました。 | |
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| おおっ!鏡餅に伊勢海老の飾りが! | |
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| これは珍しい! 明治時代の電話です。実際に使われていたものです。 | |
| 1876年、ベルが電話を発明すると、早くも翌年の明治10年には日本にも紹介され、明治23年には東京と横浜で電話交換業務を開始。以後、徐々に全国に普及していったのです。 | |
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| ワンダフルハウスは窓際の席に案内されました。 | |
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| おおっ!素晴らしい庭です!(^O^)\ | |
| 蓬莱膳 8400円+奉仕料10% |
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| お正月なので奮発して、一番高い蓬莱膳(ほうらいぜん)にしましょう。先付けから始まって、前菜、椀、お造り、焼物、煮物、酢の物、ご飯、水菓子という日本料理のフルコースを味わうのです。最新のメニューは、こちらでどうぞ。 | |
| ダッタンそば茶 450円 |
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| 血圧を下げる効果があり、メラニン色素を抑え、美容にも良いと注目されているお茶です。 | |
| 先付 雲子豆腐 鱈酒蒸し |
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| 先付が運ばれてきました。雲子豆腐(くもこどうふ)鱈酒蒸し。真鱈の白子の上に、鱈の酒蒸しが乗っています。 | |
| 前菜 唐墨大根 サーモン椿寿司 黒豆松葉刺し 鮑大船煮 蟹砧巻き |
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| これは綺麗で豪華な前菜です! | |
| 椀 柚子味噌仕立 手毬百合根饅頭 |
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| おーっ! お椀の中に可愛い手毬が入っていました!(^O^)/○ | |
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| これは百合根の饅頭です。黄色いのは金柑の皮の蜜煮でした。柔らかな甘味…ホクホク&モッチリとした歯ざわりです(^Q^) | |
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| この椅子席のフロアは、西洋化しつつある日本人の生活様式に合わせて1972年のリニューアル・オープンの際に大改装されました。 | |
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| 日影茶屋の当主は、代々「角田庄右衛門」を名乗ります。現在の当主 10代目角田庄右衛門氏は、アメリカ留学から帰国後、1972年、22歳という若さでフランス菓子店「フランス茶屋」を開店。1977年にフレンチレストラン「ラ・マーレ・ド・チャヤ」を開店させました。 | |
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| これはちょっと難しくて読めませんね。 | あそこにあった建物の2階で、日陰茶屋事件は起こったのです。 |
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| ガラガラッ…見事に手入れされた庭です! | |
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| この建物は、旅館だった頃の名残りです。2階の右端の部屋で、大杉栄が神近市子に刺されました。この建物は、昭和初期に建て替えたものなので、日陰茶屋事件のあった部屋は現存していません。現在2階は物置になっているそうです。 | |
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| 窓ガラスがピカピカに磨いてあります! 現在の1階は大広間になっていて、宴会などで使っているそうです。 | |
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| 窓ガラスだけでなく、床も磨き上げてあります。日影茶屋では足袋が汚れないと言われているほどなのです。 | |
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| 次の料理が運ばれて来たようです。ワンダフルハウスは椅子席に戻ることにしました。ん?赤ちゃんがパパのカメラを見ないで、こちらのカメラを見ていますね。 | |
| 造り 季節の魚 |
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| お刺身の盛り合わせです。ワンダフルハウスは黒ムツの刺身に感激しました。12月?1月くらいが脂が乗ってて最高に美味なのです。 | |
| 焼物 寒鰤照焼き |
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| 最高に脂の乗った寒ブリの照焼きです。晩秋から冬にかけて獲れる寒ブリは、身の締まり、脂の乗り方、味、どれもが最高です。日影茶屋自家製のタレと共に絶妙に口の中に広がります(^Q^) | |
| 煮物 三浦大根 フカヒレあんかけ |
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| 晩秋から3月にかけて収穫される三浦大根は一番味が良いのです。 | |
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| 面取りしなくても煮崩れせず、煮るほどに味がしみ込む三浦大根。フカヒレの味がしみ込んでいて美味です!(^Q^) | |
| 揚物 海老芋 ケシの実揚げ 蟹あんかけ |
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| 京野菜「海老芋」は、煮ても形がくずれず、味は里芋の中で最高と言われています。 | |
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| ケシの実は別名ポピーシード。あんぱんの上に飾ってあるアレです。ケシの実のプツプツという食感から、中のやわらかい海老芋が顔を出します。 うす味の蟹のあんかけと共にいただきます。これはテンプラより美味です!(^Q^) | |
| 酢の物 春子鯛五色鱠 |
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| 春子鯛五色鱠(かすごだい ごしきなます)です。なますとは、新鮮な生の魚肉や野菜を調味液で混ぜたものを言い、五色ナマスは、お正月などのおめでたい時に作られます。 | |
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| 真鯛の稚魚である春子鯛と三浦大根、にんじん、キクラゲ、柚子ですね。 | 今度は庭の右側を探検しましょう。 |
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| 向こうの方に渡り廊下が見えます。 | |
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| これは、離れと本館をつなぐ渡り廊下でした。 | |
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| 池に面した離れの和室でも食事を楽しむことができます。 | |
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| 池の中に離れが浮かんでいるのが凄いですね。 | |
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| 滝です! 裏山の清水が流れ落ちています。 | |
| 若布じゃ子ごはん 赤出し 香の物 |
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| ワカメとジャコのごはんです。 | |
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| お新香と赤だし。 | |
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| ほうじ茶が出てきました。 | |
| 水菓子 | |
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| デザートは「水乳羹」の抹茶。さっぱりとした甘さが上品なのです(^Q^) 隣のお菓子屋さんで、お土産に買っていきましょう。 | |
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| 黒豆と梅が入った昆布茶。正月やおめでたい席に福茶として出されています。 | |
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| 「おおっ!? 裏山に洞窟がありますよ?」「ワンダフルハウス様、あちらは、戦時中使用しておりました防空壕でございます」「防空壕とは珍しい!」 | |
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| ガラガラッ… | おっ、かなり小型です。 |
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| ワンダフルハウスは庭のベンチに腰掛けて、最後に一句、詠むことにしました。 「ひとあまたゐて閑かなる冬の昼」 |
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| 俳人の飯田龍太が日陰茶屋に立ち寄って詠んだ句「ひとあまたゐて閑かなる秋の昼」が、この店の雰囲気を一番良く伝えているようです。 | |
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| 「ごちそうさまでした! この通り、ほっぺたが落ちるほど美味でした)^Q^(/」「ワンダフルハウス様、2月は節分の特別料理をお出しします。庭で豆まきもいたします」「豆まき?…それは素晴らしい! 予約させていただきます!」 | |
| 続く |
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