わんだふるはうす、ビゴの店 鷺沼店に行く

2010年ガレット・デ・ロワ編

フランスの12月、ノエルのシーズンはパティスリーばかりが注目を浴びていますが、新年になると、ようやくブーランジェリーにもチャンスが巡ってきます。それがエピファニーという習慣で、お祝いにガレット・デ・ロワを焼くのです。パティスリーに負けてなるものかとブーランジェリーも同じようにフィユタージュ生地を使ったり、ブリオッシュ生地にドライフルーツを混ぜ込んだカラフルなガトー・ド・ロワをお店いっぱいに並べます。2010年1月、日本中で一番ガレット・デ・ロワを作っているシェフであり、クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ副会長でもあるビゴ東京の藤森二郎氏のお店「ビゴの店 鷺沼店」を訪ね、ガレット・デ・ロワとガトー・ド・ロワ、そして四角いカレット・デ・ロワなるものまでいただいてきました(^Q^)

東急田園都市線 鷺沼駅から徒歩で約3分…ここがビゴの店 鷺沼店です。
本格的なフランスパンを日本に初めて紹介し、現在も芦屋で「ビゴの店」を営むフィリップ・ビゴさんです。その愛弟子である藤森二郎さんが独立して関東地区で展開させている「ビゴ東京」の本店が鷺沼店なのです。
「明けましておめでとうございます!(^O^)/」
「おおっ!? あの写真は!?(^O^)\」
「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワの藤森二郎副会長です!(^O^)\」
「それでは、藤森副会長のガレット・デ・ロワを拝見しましょう!(^-^)\」
ガレット・デ・ロワ
2400円
8号サイズ
「これは定番のクレーム・フランジパーヌを詰めたガレット・デ・ロワです」
ガレット・デ・ロワ
2100円
7号サイズ
1800円
6号サイズ
「サイズは3種類ありますね」
カレット・デ・ロワ
フランボワーズ・ショコラ風味
2000円
「店員さん、字が間違ってますよ!(^O^)/」「お客様、そちらはカレット・デ・ロワで正しいのでございます」「カレット・デ・ロワ!?(゚O゚)\」「カレとはフランス語で四角という意味…四角いガレット・デ・ロワだからカレット・デ・ロワなのでございます…ただし、これは藤森がギャグで付けた造語でございます」

あんこのガレット・デ・ロワ
2000円

「これは珍しい!あんこのガレット・デ・ロワもあります!
「あっちにもガレット・デ・ロワがありますよ」
ガトー・ド・ロワ
1200円
「ガトー・ド・ロワ!?(゚O゚)\」
「おお、これはパンです!」
Galette des rois
ガレット・デ・ロワ
Gateau des rois
ガトー・ド・ロワ
ガレット・デ・ロワは本来、パイ生地で作るのが一般的ですが、ブリオッシュ生地で作る南仏のガレット・デ・ロワのことをガトー・ド・ロワと呼ぶこともあるのです。
「これはフェーヴです。藤森シェフはガレット・デ・ロワには直接フェーヴを入れていますが、ガトー・ド・ロワには入れないみたいですね」
フェーヴ
900円
「フェーヴだけ売っていますよ」
「パン屋なのでパンのフェーヴが1個入っています」
ガレット・デ・ロワの魅力の一つといえるのが、表面に描かれたクープ(模様)。左は「シュロの葉(麦)」。右は「月桂樹の葉」。
このクープは「太陽」。様々に描かれたクープは、素朴なガレットに華を添えてくれます。
このフェーヴは藤森シェフのコレクションの一部です。フェーヴとは…
このポスターには「1月6日はガレットデロワを食べる日です!」と印刷してあったのですが、7日〜31日までは、このように直して掲示するのです。 2階のカフェ・ドゥ・ビゴに行く前に、これを読んで勉強してもらいましょう。ガレット・デ・ロワとは…
2010年のビゴ東京のガレット・デ・ロワの登場です。
ガレット・デ・ロワ ガトー・ド・ロワ
箱に紙が貼ってありますよ。
ガレット・デ・ロワ
ガトー・ド・ロワ
ガレット・デ・ロワ
2400円
8号サイズ
クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ副会長 藤森二郎氏「ガレット・デ・ロワというと昔のお菓子だと思われる方が多いかもしれませんが、私は昔から続いているお菓子だからこそ“新しい感性を持っている若い方達の力で普及に努めてもらいたい”と思っています。温故知新…故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る…という言葉があるように、伝統あるお菓子を知らなくては、新しい商品作りはできないと考えているからです」
クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワは2003年から毎年秋に「ガレット・デ・ロワ・コンテスト」を主催しています。ビゴの店からは2004年にドゥース・フランス(プランタン銀座)の島田淳一氏が優勝。2007年にエスプリ・ド・ビゴ(田園調布)の池尾大地氏が優勝。翌年1月にフランス大使館で行なわれるイベント「サロン・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」で大使に1メートルを超える特大ガレット・デ・ロワを献上し、翌々年1月6日にパリのパン菓子組合が毎年主催しているガレット・デ・ロワ・コンテスト「ラ・メイユール・ガレット・オ・ザマンド」に日本代表として特別参加しました。応募者はパリ近圏イル・ド・フランス地方のブーランジェやパティシエ総勢330人。経営者、従業員、見習いの3部門に分けて審査が行われ、池尾大地氏は経営者部門で14位に入賞しました。
「それでは、2名のガレット・チャンピオンを輩出した輝かしい実績を持つビゴの店のガレット・デ・ロワを拝見しましょう!」
現在フランスで流行している薄い焼き色ではなく、ルコントやパティシエ・シマと同じ様なクッキリと濃い焼き色です。
これは1960年代にホテル・オークラやドンクでガレット・デ・ロワを焼いたアンドレ・ルコント氏やフィリップ・ビゴ氏の伝統を守っているからなのです。
切り目が浅いと模様が綺麗に出ません。逆に切り目が深過ぎると割れてしまいます。
ビゴの店のガレット・デ・ロワがカットされました。
「中には黄色っぽいクリームが…」
「アーモンドクリームにカスタードクリームを混ぜたクレーム・フランジパーヌです!」
クッキリと濃い焼き色の秘密は、表面に塗る卵黄に自家製のコーヒーエッセンスを混ぜているからです。
コーヒーエッセンスの効果で綺麗な焦げ色が付き、香りや風味も香ばしくなるのです。
ビゴの店のクレーム・フランジパーヌは、250gのクレーム・ダマンドに75gのクレーム・パティシエールを加えて混ぜ、25gのラム酒を加えて混ぜたものです。
ラトリエ・ド・シマ
藤森副会長のガレット・デ・ロワが島田会長に献上されました。 「これが藤森君のガレット・デ・ロワですか?」
「ワンダフルハウスさん、表面に塩味を感じませんか?」「実は私は味音痴なのでよくわからないのです(^Q^:)\」「塩で甘さを引き立てようとしている」
クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ島田進会長「ラム酒も効いていて美味しいですね。このガレット・デ・ロワは、いいんじゃないですか」
あんこのガレット・デ・ロワ
2000円
今度はアレンジされたガレット・デ・ロワが登場しました。
中心から放射状に曲線を描くクープは「太陽」または「ヒマワリ」といわれていて、ガレット・デ・ロワによく似たピティビエというパイ菓子の「車輪」模様からきているといわれています。バラの花を象った「ロザス」ともいわれています。
「これはヒマワリの種?」 「いや、小豆です!」
これはガレット・デ・ロワの中に小豆が入っているぞ、というサインなのです。
「おーっ!?これは凄い!(゚O゚)\」
「クレーム・ダマンドは入っていません!中身は全部あんこです!(゚O゚)\」
「このようなガレット・デ・ロワは初めて見ました!(゚O゚)\」
「ガレット・デ・ロワのアンパン版です!(゚O゚)\」
粒あんは自家製にこだわっているそうです。忙しくてもこういう手間をかけることが大切で、これなら軽く見られがちなアレンジ・ガレット・デ・ロワもリッチに見てもらえるのではないかと思います。
バターたっぷりのフィユタージュと甘い粒餡の相性は抜群です!(^Q^) 饅頭や大福、鯛焼き、今川焼き等が大好きな日本人に受け入れやすい和菓子っぽいガレット・デ・ロワだと思います。
島田進会長「ガレット・デ・ロワに小豆を使う場合は、この程度で止めるべきです」
ガトー・ド・ロワ
(ガレット・デ・ロワ・ボルドレーズ)
(ガレット・デ・ロワ・プロヴァンサル)
1200円
ガレット・デ・ロワはフランスの中央から北では折りパイ生地にアーモンド・クリームを詰めて焼いたもの、中央から南ではブリオッシュ生地をリング形に焼いたものが食べられています。ガトー・ド・ロワは南仏タイプのガレット・デ・ロワで、ガレット・デ・ロワ・ボルドレーズ(ボルドーのガレット・デ・ロワ)、ガレット・デ・ロワ・プロヴァンサル(プロヴァンスのガレット・デ・ロワ)などとも呼ばれています。
18世紀に編纂された南西部ベアルン地方の事典には、このブリオッシュ版ガレットの前身とみられるガルフー(Garfou)というお菓子が存在し、これは発酵生地にラム酒とアニスの香りを付けたものと記されています。後にこれがボルドーにおいて柑橘類の砂糖漬けやコニャックが加えられたリング形となり、ボルドレーズの呼び名に結び付いたそうです。
本来、こういう形のガトー・ド・ロワはオーブンに入れる前に頂上の部分をハサミで切り込んでギザギザにし、本物のクーロンヌ(王冠)のような形に焼き上げなければならないのです。さすがに1200円ではそこまで手をかけられないので省略してありますが、後日、藤森副会長に特注して最高レベルのものを見せてもらいましょう。
表面に溶き卵を塗り、あられ糖をふってオーブンで焼き、艶出しのシロップを塗ってあるのでテカテカに光っています。
南仏でバターが手に入らなかった時代に作っていたと言われるブリオッシュタイプのガレット・デ・ロワ。こちらの方が、フィユタージュタイプのものよりも古くから作られているそうです。
「オレンジの花の香りが爽やかに広がります 〜(^Q^)」
オレンジの花の香りがするのは、ブリオッシュ生地をフルール・ドランジュ(オレンジフラワーウォーター)で風味付けしてあるからです。
「フルール・ドランジュ」は、日本語では「オレンジの花の水」と訳されます。オレンジの花のつぼみを煮て、その水蒸気を集めて作るのですが、香水のような独特の芳香が特徴。南仏のお菓子によく使われます。
「オレンジの皮とレモンの皮を刻んだものが入っていました(^Q^)」
島田進会長「これはダメ。だって、クレーム・ダマンドが入ってないんだもん」
ガレット・デ・ロワ・プロヴァンサル
パティシエ・シマ
特注品
確かに、島田会長が作ったガレット・デ・ロワ・プロヴァンサルにはクレーム・ダマンドが入っていました。
カレット・デ・ロワ
フランボワーズ・ショコラ風味
2000円
ガレット・デ・ロワ界の異端児「カレット・デ・ロワ」の登場です。
「なかなか斬新なスタイルですね!(゚O゚)\」
藤森副会長は伝統や正統的なスタイルを打破し、全く新しい表現を生み出すことで、ガレット・デ・ロワの真価を問い直し、価値転換を図ってきたのです。
「中はショコラです!(゚O゚)\」
「赤い果実が…これはフランボワーズ・ショコラです!(゚O゚)\」

カレット・デ・ロワは正方形にカットしなければなりません。
ビターなチョコレートガナッシュにフランボワーズジャムを載せてあります。
「フランボワーズの爽やかな酸味が、ショコラとフィユタージュによくマッチしています!(^Q^)
「ワンダフルハウスさん、最も相性の良い組み合わせをフランス語では“トレ・ボン・マリアージュ”(最良の結婚)といいますが、チョコレートガナッシュとフランボワーズは、まさにそうした組み合わせなのです」
「いかがでしたか?ウチのガレット・デ・ロワは?」「カレット・デ・ロワが一番美味でした。2番目は、あんこのガレットですね(^O^)/」 「カレット・デ・ロワはビゴさんに怒られたけど、島田さんにも怒られるかな?」
ラトリエ・ド・シマ
島田会長「四角いフランボワーズショコラ風味のカレット・デ・ロワなんて出すのは、まだ早いんじゃないかな」
「ウチのガレット・デ・ロワは、この1種類だけです」
「中はクレーム・ダマンドでフェーブは外付け。フェーブの代わりにアーモンドを入れてあります」
「フェーブをガレットの中に入れるのはダメです」
続く

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