アルカフェ キャンティ

「私の青春も、私の恋たちも、友情も、そしてフランス・イタリアの食と文化も、キャンティのドアを開けると、そこにある」と安井かずみさんがよく語っていた、イタリア料理店「キャンティ」飯倉本店。安井さんは1960年開店以来の客でした。

レストランのドアから入って、階段を降りると地下のレストラン。階段を上って左側にカフェの個室があります。 カフェのドアから入って、まっすぐ進んだ奥に個室があります。
恋人が二人で入れて、誰にも見えないこの空間を、常連たちは「恋人たちの森」と呼んでいます。名付け親は直木賞作家・山口洋子さん。かつて銀座で各界著名人たちの集う伝説のクラブ「姫」を経営し、作詞で日本レコード大賞、小説で直木賞受賞。その波乱に満ちた人生から生み出されたエッセイは、恋愛に悩む女性たちの圧倒的共感と支持を得ました。この個室に「恋人たちの森」と名付けるとは、多彩な才能を発揮して一世を風靡した女性らしいネーミングです。山口さんも1960年開店以来の客です。
山口洋子…作家、作詞家。愛知県名古屋市生まれ。東映第4期ニューフェイスを経て、1957年、銀座にクラブ「姫」をオープン。1968年から作詞活動を始め、1973年「夜空」(五木ひろし)で日本レコード大賞を受賞。1980年より小説活動に入り、1984年「プライベート・ライブ」で第5回吉川英治文学新人賞を受賞。1985年「演歌の虫」「老梅」で第93回直木賞を受賞。1998年「アメリカ橋」で、第31回日本作詩大賞を受賞。
こちらの超豪華本は、「キャンティの30年」というキャンティの社史でございます。安井かずみさんも、山口洋子さんも文章を寄せておられます。1990年にオープン30周年を記念して春日商会から発行されました。発行者はキャンティ(春日商会)社長・川添光郎氏。編集者は野地秩嘉氏。野地さんは、この本を書いた余力で、4年後の1994年「キャンティ物語」(幻冬舎)を上梓しました。「キャンティの30年」は非売品で、ワンダフルハウスなど、ごく一部の顧客に配られました。国立国会図書館をはじめとする、国内全ての図書館に1冊も所蔵されておりませんので閲覧は不可能。従って「ワンダフルハウス図書館」で貸し出しております。「キャンティ物語」がお好きな方はどうぞ。ワンダフルハウスのキャンティ・デビューは、1981年、今はなき青山店で。18歳でした。当時、西麻布・自由ヶ丘の店はまだなく、飯倉の店は、敷居が高すぎた(1981年当時、地下のレストランはもちろん、1階のカフェでさえ、学生が気軽に入れるような店ではなかった)ので、明るくて軽い雰囲気のキャンティ青山店に入り、バジリコのパスタと、カスタードプディングを食べて「グルメだ!\(^Q^)/」と喜んでいました。服は、カールヘルムはまだなく、青山のブルックス・ブラザーズか、表参道のポール・スチュアートで買っていました。表参道には、葉山のフレンチレストラン「ラ・マーレ・ド・チャヤ原宿店」があったのを覚えています。確か「ビストロ・チャヤ」とかいう店名でした。キャンティの社史にも載ってない”幻の青山店”があった場所は、ハーゲンダッツとベルコモンズのある南青山3丁目交差点を外苑西通りに入って、西麻布方面に150メートル程行った所。現在、カフェ&バー「gabowl(ガボウル)」 が入っているビルです。
お冷やが運ばれてきました。カフェで出されるお冷やは無料なのに昔からミネラルウォーターが使われています。地下のレストランでは水は有料です。ミネラルウォーターを注文することになります。 続きましては、「ダージリンティー Darjeeling」(1000円)の登場です。世界三大紅茶(中国の祁門紅茶、インドのダージリン紅茶、スリランカのウバ紅茶)の1つで、紅茶のシャンパンとも称されるダージリンティー。高貴な香りとコクのある味わいが特徴です。
華やかな香りです!(^Q^) 紅茶の水色(すいしょく)も輝くような橙色をしています。香りも、味わいもはっきりと出ていて、それでいてクセがなく、爽やかな紅茶です。一年中で一番紅茶の品質が良くなる季節を「クオリティーシーズン」といいます。年に3回のクオリティーシーズンがあり、一番品質の良い季節を選んで摘まれたキャンティーのダージリンティーは、季節による味わいの変化が楽しめます。
・「春摘み(ファーストフラッシュ)」
3〜4月に収穫されます。茶葉は緑の葉が多く見られ、紅茶の色は薄いオレンジ色。 若々しい香りが特徴です。 新茶 や一番茶を好む日本やドイツでは特に好まれます。
・「
夏摘み(セカンドフラッシュ)」
5〜6月に収穫されます。一年を通じて香り、味が最も充実する時期で、茶葉はファーストスラッシュよりも褐色が増し、紅茶の色は明るくやや濃いオレンジ色になります。豊かで上品な香りがして、味はしっかりとした渋みが出てきます。セカンドフラッシュの中で、特にダージリン特有のマスカットに似た香りがはっきりとしたものには、マスカテル(Muscatel) の称号がつけられます。
・「秋摘み(オータムナル)」
この時期のは、渋みが立ってきますのでワンダフルハウスは好みません。しっかりした重みのある味を楽しむ人には好まれます。
「クロック ムッシュ Croque‐Monsieur」(1800円)が運ばれてきました。ハムとグリュイエルチーズのホット・サンドウィッチです。最近では、カフェの定番メニューになり、日本人にとって、いつの間にかお馴染みの存在となりました。クロック・ムッシュは、100年位前にパリのオペラ座近くのカフェで誕生。これひとつで満腹になるようなちょっとした軽食を、と考え出されたメニューがポピュラーになったようです。「Croque‐Monsieur」という名前は、カリッと焼いてパリパリ音を立てて食べることから「Croque(パリパリ音がする)‐Monsieur(紳士)」。軽くトーストした食パンにバターを塗り、ハムと薄くスライスしたグリュイエルチーズを乗せて、ベシャメルソースを塗ったパンではさんで、オーブンでこんがり焼きます。グリュイエルチーズは、スイスの穴の沢山あいてるチーズで、フォンデュやグラタンに欠かせない、溶けるチーズ。クロック・ムッシュの上に目玉焼きを乗せると「クロック マダム croque-madame」になります。
付け合わせのピクルスをご覧ください。これは、「コルニション」というヒマラヤ原産のキュウリです。厳選された食べごろのものをハーブやスパイスシード、小玉ねぎなどと一緒にヴィネガー液に漬けてあるので香りと歯ざわりが違います。ピクルスの苦手なワンダフルハウスが全部食べてしまうほど美味しいのです(^Q^)
キャンティの「クロックムッシュ」は、四角いボンレスハムの薄切りとモッツァレラチーズの薄切りをはさみ、両面をマスタードバターで焼いてあります。パンを3枚重ねるのでボリュームも満点。寒い冬は、これに限ります!(^Q^) グリュイエルチーズは、スイスの穴の沢山あいてるチーズで、フォンデュやグラタンに欠かせない、溶けるチーズ。ベシャメルソースは、バターと小麦粉を焦げないように炒めて作ったルーに、牛乳を加えて煮詰めたフレンチ・ホワイトソース。グラタン、クリームコロッケなどに広く用いられます。 デザートの「焼き洋梨」が運ばれてきました。
こちらは、地下のレストランで、デザートのワゴンサービスで登場する「焼き洋梨」。イタリアでは「ペーラコッタ peracotta」と呼ばれる有名なドルチェ。洋梨と干しプラムを、たっぷりの白ワインと水とグラニュー糖で甘く煮て、オーブンで蒸し焼きにしたものです。 洋梨の表面は程良く焼き色がついています。中身は、みずみずしいミディアムレア。焼き汁と生クリームをからめていただきます。キャンティでしか食べられない味です)^Q^(

続く

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