後列左から段田安則(金子功)、石田純一(高田賢三)、永島敏行(松田光弘) 前列左から室井滋(コシノジュンコ)、加藤登紀子(小池千枝) 段田さんはカールヘルム、石田さんはケンゾー・オム、永島さんはムッシュ・ニコル…というように、それぞれのデザイナーのブランドを着こなしている。石田さんはカツラを着用、段田さんは金子さん独特のセリフ回しを真似て、’93年当時の各デザイナーの雰囲気を忠実に再現した。山下真司さん(山本耀司役)も出演。 |
世界的デザイナー・高田賢三の青春時代を石田純一の主演でドラマ化。コシノジュンコや「ニコル」の松田光弘、「ピンクハウス」の金子功らよきライバルと出会い、刺激し合いながら夢を追い続ける姿を前後編で描いた。
●物語 賢三は、文化服装学院時代の恩師・小池千枝の喜寿を祝うパーティーに出席。昔の仲間・小篠順子、松田光弘、金子功らと会い、彼らと過ごした日々を思い出した。1958(昭和33)年、賢三は姫路から上京、文化服装学院に入学した。賢三はスタイル画家をめざしていたが、師範科のため、運針やミシンがけに追われる毎日でいらだちを感じはじめる。そんな折、父が死に賢三は帰省。しばらくして東京に戻ると、松田から隣のクラスの金子の存在を聞いた。金子の絵を見た賢三は、自信喪失し、デザイン科へと方向転換する。(前編)
デザイン科へと進んだ賢三、順子らは、時には意見をぶつけあうほどの仲になった。デザイナーの登竜門である「装苑賞」を必ず取ると豪語した順子は、ある日、高田の部屋を訪問。賞に対していまひとつ執着心のない高田にハッパをかける。賞取りに批判的な金子は順子と対立。その年の装苑賞は、1番の頑張り屋だった順子がとった。翌年、装苑賞をとった賢三は念願のパリへ出発する。(後編)
初めて会った時からジュンコや金子、松田君の存在感はすごかった。みんな才能があったし、ジュンコは大阪弁で面白くて、もう個性の塊って感じ(笑)。若い頃って先が見えないでしょ。僕なんかとても不安で、挫折しそうになったこともあったけど、いい友達に出会えて、「装苑賞」という目的が出来たのは、よいチャンスだったと思う。その頃のことを、今の自分の目で見せてもらえるのは楽しみですね。特に、石田さんが僕を演じてくれるので嬉しい。「ブスだ」「ブスだ」と言われ続けてきたけど、これで名誉挽回できます(笑)。
キー局…KTV
脚本…谷口秀一
演出…若松節朗
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このドラマは単発ドラマなので再放送は期待できず、ビデオソフト化もされなかったため、放送後は幻のドラマとなってしまった。現在、金子さんに関する唯一のドラマ作品であり、このようなドラマはもう作られないだろうから、この作品は宝物だ。段田さんの演技は、完璧としかいいようのないほど、金子さんに成り切っている。室井さん演じるコシノさんの暴れん坊ぶりと、当時、プライベートではベルサーチを着ていた石田さんのケンゾー・オムの着こなしも見事だ。ananのデザイナーをしていて、商業デザイナーとしては出遅れた金子さんに松田さんが手を差し伸べて、ピンクハウスはニコルから出発したこと、高田さんがパリでブレイクして、フランスのマスコミに「影響を受けた人は?」と聞かれ「イヴ・サンローランと金子功」と答え、「金子功! 誰だ、それは?」とフランスのマスコミが(そんなに凄いヤツが日本にいるのかと)パニックになったことなどのエピソードは、このドラマを見ていると感慨深さが増す。「それから4年後、僕と松田君は念願のパリ行きを果たすことになる。この時、金子も誘ったが、彼は引越しでスッカラカンになっていたため、パリ行きは断念。そして、ジュンコは小松ストアのデザイナーとして第一線をすでに歩いていた」という石田さんのナレーションで、このドラマは終わる。この時金子さんもパリに行っていたら、金子さんのキャリアはどう変わっていたのだろうか?
文化服装学院の円形校舎を中心に物語は展開。高田さんの部屋は確か2畳だったはずだが、4畳半はある(^_^;)。ジャズ喫茶「きーよ」、芝のボウリング場も登場。この時代に松田さんが車を持ってるのが凄い。 | 学生時代の4人。 |
金子さんと段田さんの2ショット。 | 金子さんのデザイン画。CM前には各デザイナーのショーも。 |
劇中のパーティーでは、段田さんはキャメル色の雛菊刺繍アルパカジャケット(カールヘルム’93年秋冬物 ¥58,000)を着ているが、実際のパーティーでは、金子さんはカタログと同じ紺を着用していた。 | 学生時代の金子さんが着ているチェックのシャツは、どう見てもカールヘルムである(^_^;)。しかし、これはご愛嬌で、スタイリストが当時の金子さん達を知っている堀切ミロさんなので、昭和30年代の衣裳が素晴らしい。 |