ハリス

HARRISS

1980年、パリ・レアールにフレンチトラッドの洗練された品揃えの店としてオープンしました。金子さんは1985年のアンアン正月特大号「金子功のパリでいいもの見つけた!」で紹介し、この年、日本1号店が青山にオープンしたのです。

ノートルダム寺院の塔に登れば昔もいまも懐かしきパリ。手織りの上衣の暖かさもまた昔と同じ…。

女のおしゃれの一つの型として、ジャケットの上手な着こなしは絶対に欠くことのできぬものだけれど――上手に、粋に、ということの何たる難しさ。
”ハリス”には英国製ツイードでオーソドックス代表、のようなジャケットが豊富。どの店ということではなく、パリのおしゃれな人たち全員がこの種の服を愛用しているだろう。古着から高級品、地味だったりニューウエーブだったり、さまざまの楽しみ方で。
この白っぽいジャケットは、やけにモターッとした、まるで田舎の爺さま用。普通の英国男が着れば野暮代表、おしゃれ興味なし、の典型にさえなりそうな1着だ。
おしゃれな人が新鮮な感動と共にこれを着る、と、まさにその瞬間、ジャケットは甦(よみがえ)る。魅力的な、何年も着続けたい1着に。
バーバリーのコートと同じなのだが、女がこの上ない女らしさで着こなしてこそ魅力的。だが、肩いからせ磊落(らいらく)に笑ったりする”男おんな”にもなりやすい、危ない陥穽(おとしあな)を孕(はら)んだ1着とも言える。素朴な織生地の暖かさに身を任せる、優しい気持で着てほしい。

「ハリス」のツイードジャケット
イギリス製の男ものツイードジャケット 820F(HARRISS)、(見えないが)中に着ているのはお馴染みへインズの白Tシャツ、レースのスカーフ¥26,000(インゲボルグ)、ジーンズスカート¥14,800、ペチコート¥15,000(ピンクハウス)
パリで見つけるジャケットは、男もの、それもトラッドショップで、というのでぶちあたったのが「HARRISS」。ツイードひとつとっても織りが豊富で生地の見本帳を見るようです。 1984年当時1フランは28円でした。

アンアン1984年12月28日/1985年1月4日合併号(No.460)「金子功のパリでいいもの見つけた!」より

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