ハウスマヌカン

ブティックの販売員のこと。今では死語と化してしまったが、1983年前後は最先端の職業だった。ちなみに男の販売員はハウスマヌカン・オム。
アンアンの1983年の7月15日(388)号と10月7日(399)号が「ハウスマヌカン特集」だったが、7・15号にはピンクハウスからは、金子さん、隠居光枝さん(PHラフォーレ原宿店店長)、増田郁子さん(PH小田急ハルク店店長・のちのプレス)の3人が登場。金子さんは、このように語っている。

PINK HOUSEの人気は、服をこよなく愛するハウスマヌカンの力のお陰。

女の子のあいだでモテモテの「PINK HOUSE」のワンピース。金子さんはその人気の秘密を「ピンクハウスの服をこよなく愛してくれるハウスマヌカンに恵まれた、ということも見逃せないでしょうね」と分析する。
「ハウスマヌカンは、服を売るだけでなく、実際店で売っている服を着て、店に来る人に”素敵だわ!私もあのような服を着てみたい”という気にさせる存在であるべきです。そのためには、ハウスマヌカンがおしゃれであることはもちろんのこと、販売している服を愛していなければ、そのよさを表現し、伝えることはできませんからね」と金子さん。
「さらに、服を愛せば、素敵に着こなせるだけでなく、今度はこんな小物がほしい、あんなデザインの服も着てみたいとの願望も出てきます。僕の服を愛してくれる人の願いとなれば、僕はそのような意見を大切にし、彼女達の願いをかなえるような服をデザインしようと努力しますよ」
かつて、ブチックで販売を担当したこともあるという金子さん。そのとき痛切に感じた企画と販売は一体でなければならないということを、今、ハウスマヌカンが実現してくれている。

アンアン1983年7月15日号


NEW!

”ハウスマヌカン”とは?

多方面にわたる能力を求められ、また、自分の持っている力を最大限に発揮できる職業、ハウスマヌカン。専門職のひとつとしてあげられるようになったいま、ファッション界ばかりでなく、おしゃれ人間たちの熱い視線を集めているのも当然といえよう。
ハウスマヌカンに必要な能力とは、まず、スタイリストとしてのファッションセンス。ハウスマヌカンは、お店に服を買いにいらしたお客様の趣味、嗜好、仕事、着ていく場所、そして体型まで考えて、その人に合った服をコーディネートして服を選ぶことが大きな仕事だからである。
モデルとして、ファッショナブルな身のこなし方、着こなしも身につけていなければならない。ハウスマヌカンは、自分の勤めるデザイナーズ・ブランドの服を着て、店に立つことが原則。それを見たお客様が「わあ、ステキ! 私もあの服を着たいわ」とか「あの着こなし方、マネしてみたい!」と羨望を抱くような存在、デザイナーに代わってブランドのイメージを伝える存在であることが要求されるからだ。
管理能力も必要不可欠な能力とされるもののひとつである。たとえば商品の仕入れ。店に集まる客層、お客様の好み、要望、さらにこれからは何が流行するか、と先を読んで、売れる服を仕入れる、という、いわゆるバイヤーとしての仕事もこなさなければならないからだ。
最後はファッションアドバイザーとしての能力。接客することによって得たお客様の声や、ハウスマヌカン自身の意見をまとめ、それを服のデザインに反映するようにデザイナーにアドバイスすることが求められているからである。
このように、ハウスマヌカンはスタイリスト、モデル、バイヤーそしてアドバイザーとしての能力が最大限生かせる職業。もちろん、デザイナーたちも”ブランドの顔””デザイナーの顔”とハウスマヌカンたちに大きな期待をよせている。
おしゃれ人間を自負するあなた、チャレンジするのに、悔いのない職業なのでは?
アンアン1984年2月24日号 株式会社B.M.Dの広告「ただいまハウスマヌカン募集中 自分の感覚をためしてみたい。」より

戻る