イスランド

ポン・ヌフは、16世紀に建造された。古い橋や、古い芸術を大切にするパリ人が正統派(オーソドックス)の魅力を知り尽す。

”イスランド”はこの数年パリに来るたび必ず寄ってみたい店の1軒である。あくまでもオーソドックスな、流行などとは縁もない、イスランドのシャツはしかし密かな流行とさえ言えるほど、パリのおしゃれ人間たちに好まれているようだ。
毎年、たとえばタータンチェック、たとえばストライプ、といった一つの傾向を主力とする、今年のテーマは白と黒らしい。
大きめのブロックチェック、細かい格子……さまざまな黒白模様がオーソドックスな衿の小さなシャツとなって並んでいた。ボタンダウンやそうでないのや、種類は豊富。さりげない型。
ネクタイもこの店での楽しい買いものである。今年はタータンチェックに小さな人形や動物をジャカード織りしたマークつき。ごく当たり前の、細身のこのタイがたまらなく好きだ。
ハイヒール、タイトスカート、口紅、といった女の典型的装いに、男のボタンダウンシャツなどがとてもよく合う。フリルのブラウスより数倍も女っぽい。不思議な”魅力学原理”がそこにある。

イスランドのシャツ
黒のボタンダウンシャツ 490F、肩にかけた小さい格子のシャツ 490F、ベージュと黒の格子のシャツ490F、黒地にブタの縫いとりのネクタイ 170F(以上 ISLAND) スコットランド製の生地を使ったmade in フランスのシャツ、ブランド名は「VIYELLA」。今年は黒系統のチェックをいっぱい揃えた「ISLAND」、赤や緑のチェックシャツを期待して行っただけに、予想外な手応えです。 (1984年当時、1フランは28円でした。)

アンアン1984年12月28日/1985年1月4日合併号(No.460)「金子功のパリでいいもの見つけた!」より

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