わんだふるはうすcuisine francaise JJに行く

少年期から、黄金時代のリヨンのレストランを食べ歩き、全盛期のポール・ボキューズのスーシェフを務め、ポール・ボキューズと提携したレンガ屋開店のため来日。現在はフランス料理アカデミー日本支部の会長を務めるJoel Bruant。東京ミッドタウンにあるジョエル・ブリュアンさんのお店「cuisine francaise JJ キュイジーヌ・フランセーズ・ジェイジェイ」をワンダフルハウスが訪ね、スーパー・デセール付きフルコース・ディナーを堪能してきました(^Q^) メニューの数々を順番に紹介いたします。

ここに1枚の写真があります。撮影されたのは1977年1月、当時ポール・ボキューズと提携していた銀座のレストラン「レンガ屋」店内にて。エルメスのネクタイをしめ、流暢なフランス語で「ちょっとキザですが…」とシェフに語りかけている常連客は、当時の人気番組「ニュースセンター9時」メインキャスターだった磯村尚徳(ひさのり)氏。鴨の煮込みに赤ワインをかけているフランス人シェフは、レンガ屋の料理長ジョエル・ブリュアン氏。この3ヶ月後、ポール・ボキューズ氏の来日を記念しての招待晩餐会がレンガ屋にて開催されました。食後、磯村氏とボキューズ氏はワイン片手に対峙します。それは、’70年代最高の知識人がフランス料理の真髄に迫った瞬間でした。
1974年、テレビニュースの歴史に大きな足跡を残した「ニュースセンター9時」(NHK総合)が始まりました。初代キャスターは、磯村尚徳氏。「NC9」は、自分の言葉で「語りかけるテレビニュース」を目指すと同時に、現場の映像と音声をできるだけそのまま伝える「現場主義」と、長嶋茂雄氏の引退試合後、すぐ番組に招くなど、ニュースの当事者を登場させる「当事者主義」を標榜しました。またスポーツ、天気、生活情報などを重視する編成方針は視聴者から圧倒的な支持を得ました。
磯村尚徳氏は、1929(昭和4)年、東京都生まれ。祖父は陸軍大将 磯村年。父は陸軍中将 磯村武亮。妻は東京大学名誉教授 鈴木竹雄氏の長女。鈴木家は味の素KK創業者一族。学習院初等科に入学するも、陸軍の駐在武官だった父の勤務先の関係で、小学時代の大半をトルコ・フランスで過ごす。学習院大学政経学部卒業後の1953年にNHKに入局。当時NHKではフランス語の使い手が必要だったため、たった一人だけ東京報道局に配属。以後インドシナ特派員、ヨーロッパ総局パリ支局特派員を経て、1966年よりアメリカ・ワシントン支局特派員兼支局長。帰国後1970年に外信部長に昇格。1974年4月からスタートしたニュースセンター9時の初代キャスターを担当。1977年よりヨーロッパ総局長、1984年に報道局長に就任。1991年NHKを退職。1995年パリ日本文化会館館長就任、2005年3月まで務める。NHKの松平定知アナウンサーは甥にあたる
「ありました! あそこです!(^O^)\」
「こんばんは!(^O^)/ 予約していたワンダフルハウスです!」「これはこれは、ワンダフルハウス様…素敵なジャケットですね!」「ちょっとキザですが…(^^ゞ」
「ワンダフルハウス様、こちらの御席でよろしいでしょうか?」 「おおっ!(^O^)\」
「素晴らしい眺めです!\(^○^)/」
「おっ、テラス席がありますね。行ってみましょう」 「夜景が綺麗です!\(^○^)/
「おっ、あの木は何ですか?(^‐^)\」「桜並木でございます」「桜が満開の時期には、このテラス席は最高ですね!」 「JJ?(゚O゚)\ Joel BruantだからJBではないのですか?」「JJとは”ジョエル””ジャポン”の略なのです」 
「ボキューズさんの所にいた一番上手なコックさん、やっぱりジョエルさんですよ(^O^)/」と自分で語るジョエル・ブリュアン氏は、ポルシェ911GT3でサーキット通いするほどクルマ好きの料理人。1948年リヨン近郊のサンテ・ティエンヌの裕福な洋服屋の息子として生まれました。父親がかなりグルメで、息子を料理人にしようと企んだため、ジョエルさんは子供の時から”美食の都”リヨンのレストランを食べ歩き、14歳で「ホテル・ドゥ・ミディ」の2つ星レストランで料理修業を始め、17歳でエクサンプロヴァンスのホテルのレストランで部門シェフ。19歳で名声の頂点に達していた3つ星レストラン「ポール・ボキューズ」に客である父親の紹介で入ります。スー・シェフ(副料理長)を務めていた頃、ボキューズ氏が東京のフランス料理店「レンガ屋」と提携。「1年ぐらい日本に行ってみなさい」と勧められて、1972年11月18日に来日。2年したら帰国するつもりが、日本人女性と結婚したために、日本に腰を据えることになります。レンガ屋の総料理長を9年務め、1980年、南青山に自分のレストラン「ジョエル」を開店。2007年2月末に閉店して、3月30日に六本木の旧防衛庁跡地にできたばかりの「東京ミッドタウン」に「キュイジーヌ・フランセーズ・JJ」を移転オープンしました。友人のアンドレ・ルコント氏が1999年に亡くなった後は、フランス料理アカデミー日本支部長を務めています。
ん? このカトラリーは?(^‐^)\ クリストフル Christofle」です!
おおーっ!(゚O゚)\ カトラリー全てをクリストフルの「アリア」シリーズで統一しています! 「アリア」は、 古代エジプト建築の円柱をモチーフにしています。 クリストフルといえば、イヴ・アルマーニさん(クリストフル・ジャパンCEO)と大森由紀子さん(クリストフル親善大使)です。そして、横にいるのがパティシエ・シマの島田進さん。
「JJの宮本は私がジョエルに紹介しました」と語る島田シェフ。cuisine francaise JJのパティシエール宮本亜希子さんは、パティシエ・シマで修業の後、フランス・アルザスのクリスティーヌ・フェルベールさんのお店「メゾン・フェルベール」で修業。帰国後、島田シェフの紹介でcuisine francaise JJに入られたそうです。果たして今日はどんなデザートを出してくれるのでしょうか?
「フランス料理が日本で広まっていない時代、私はフランス食料振興会(SOPEXA)のディレクターでした。1970〜80年にかけて度々来日し、プロモーションを行なった3人の偉大なパイオニアの果たした役割を思い起こさずにはいられません。それは、製パンのレイモン・カルヴェル教授、料理のジャン・ドラヴェーヌ、菓子のジャン・ミエです。彼らを日本で迎えたのは、日本で最初にフランス菓子店を開いたアンドレ・ルコント氏です。彼こそが日本におけるフランス料理界の功労者であり、ルコント氏がいなければ、フランス・ガストロミーの日本における発展はありえなかったでしょう。その後、ポール・ボキューズ、ジョエル・ロブション、アラン・デュカスなどが次々に来日し、賞賛を浴びる存在になっていったのです」と語るイヴ・アルマーニ(Yves Almany)さんは、1948年フランス生まれ。1996年にレジオン・ドヌール勲章シュヴァリエを受章。
1954年、フランス国立製粉学校教授のレイモン・カルヴェル氏が来日し、パンの講習会を開きました。その時、バゲットをはじめとする伝統的なフランスパンが国内で初めて紹介されたのです。そして、1965年の第6回東京国際見本市で、カルヴェル氏の弟子のパン職人フィリップ・ビゴ氏による作り方の実演が行われて以降、フランスパンが本格的に普及しました。
パティシエ・シマの定番シャルロット・ポワール。島田シェフがマキシム・ド・パリで働かれていた1970年代半ば、ドラベーヌさんが来日した時のフェアーでシャルロット・ポワールを作ったそうです。それが日本初のシャルロットで、この形と同じ。フランボワーズソースも添えられていたそうです ドラベーヌさんは、ミエさんからシャルロット・ポワールの作り方を教わったそうです。ジャン・ミエさんから贈られた直筆メッセージは、島田シェフの私物で1979年10月9日の日付が入っていました。
Menu Gastromique
26250円+サービス料10%
Amuse bouche
アミューズ
Foie gras
お薦めフォアグラ料理
Soupe aux truffes
トリュフのスープ パイ包み焼き “ポール・ボキューズ”
Gratin de langouste
伊勢海老のグラタン “フェルナン・ポワン”
Filet de Boeuf
八甲田牛フィレ肉 シェフにお任せ
Avant dessert
プチ・デザート
Desserts
パティシエのお薦めデザート
Cafe ou The
コーヒー 又は 紅茶
「ワンダフルハウス様、こちらがメニューでございます」「おおっ!(^O^)\ この一番高い26250円のコースは、ポール・ボキューズやフェルナン・ポワンのスペシャリテが入っていてお得ですね! このコースをください!(^O^)/ それから、メインが牛肉じゃつまらないから、アラカルトメニューにある“地鶏胸肉のモリーユ茸詰めのロースト”に変えてください!(^O^)/」「かしこまりました」
飲み物はブラッド・オレンジジュースと… BADOIT(バドワ)をください!(^O^)/
地中海地域にて栽培されるArancia Rossa(赤いオレンジ)は、通常のオレンジと異なり、身が真っ赤なのが特徴。そんな色合いから、ブラッド(血)がつけられるようになりました。 味わいは通常のオレンジジュースよりもふくよかで、酸味がしっかりとしており、食事中に飲んでも嫌みにならない甘さです。
バドワは、フランスのロワール地方にあるサンガルミエ村という村で採取される天然発泡水。まろやかでさらっとした飲み口と適度な発泡性が多くの料理との相性を良くしています。

Amuse bouche

「ワンダフルハウス様、ロワール産ホワイトアスパラ 赤ワインを加えたムースリーヌソースでございます」
若芽を土で覆い、光を当てないようにして育てられたホワイトアスパラは、ヨーロッパでは春の訪れを告げる野菜として珍重されています。調理法は、薄塩のお湯の中に薄切りレモンを浮かべて軽く茹でます。卵黄、バター、生クリームをベースとしたムースリーヌソースに、赤ワインを加えたソース。ホワイトアスパラならではのほろ苦さと甘さ、柔らかさが魅力です(^Q^)

Entrees

「ワンダフルハウス様、パンとバター…そしてフォアグラのテリーヌでございます」
Terrine de foie gras de canard au gout du jour verdurette de saison
フォアグラのテリーヌ 季節のサラダとブリオッシュを添えて
「フォアグラ・アン・ブリオッシュ! これは…ピラミッドの料理です!(゚O゚)\
La Pyramide cuisine francaise JJ
「Brioche de foie gras ブリオーシュ・ドゥ・フォアグラ(ブリオッシュのフォアグラ詰め)」は、ピラミッドのオードブルとして最も代表的な料理。史上最高のオードブルといってもいいでしょう。コース料理には、必ずといっていいほど出てきました。それも一番最初に。この料理は、焼き上げたブリオッシュの中をくり抜いてフォアグラを詰め、よく冷やしてから1cm位の厚さに切って出します。 ピラミッドのフェルナン・ポワンから弟子のポール・ボキューズへ…そしてそのまた弟子のジョエル・ブリュアンへ…形を変えながら引き継がれてきた料理です。
おおっ!?(^O^)\ 宝石のように光り輝く美しい黄金色のジュレの正体は?(^Q^)クンクン この匂いは…ミュスカデのゼリーです!\(^○^)/
パリから南西に1000kmにも及ぶ、ゆるやかな流れが美しいロワール川。この両岸に広がるワイン産地がロワールです。ロワール川下流に位置し、支流であるセーヴル河とメーヌ河の流れるペイ・ナンテ地区では、主にミュスカデ種を使ってフレッシュな辛口白ワインを生み出します。発酵後、澱とともに翌春まで寝かせるシュール・リーという独特の製法が良く知られていて、この製法で造られるミュスカデは、コクが豊かでフレッシュな味わいです。旨味と複雑さが増すのです。
「Terrine de foie gras de canard au naturel テリーヌ・ド・フォアグラ・ド・キャナール・オ・ナテュレル」(フォアグラのテリーヌ 自然風味)。この美しいピンク色…これは缶詰ではありません…これこそ本物のフォアグラのテリーヌです!\(^○^)/ ブリオッシュとは、フランスの朝食でよく食べられているバターと卵を多く使ったパンのこと。ふんわりとした柔らかな口当たりと、バター風味のまろやかな味わいが楽しめる、お菓子のようなパンです。小さな頭が付いた雪ダルマのような形をした「ブリオッシュ・ア・テート」と呼ばれるブリオッシュが一般的ですが、このように丸めただけの「ブリオッシュ・ムスリーヌ」など様々なバリエーションがあります。食パンのように薄く切って食べるのですが、バターたっぷりだから何もつけずにそのままいただけるのです。
ボキューズ風フォアグラのテリーヌの作り方は、鴨の肝を、ぬるま湯につけてアク抜きをし、くっついている胆汁の残り、小さな血管、肝の内部にある筋の全てを取り除きます。肝を耐熱性の容器に入れて、混ぜ合わせた調味料(塩、胡椒、ナツメグ、ピンク塩、硝石)で味付けして、ゼラチンをポルト酒で溶かして容器に加えて1日置きます。容器ごと湯煎にして、オーブンに入れて、冷まして出来上がり。
トーストしたブリオッシュ・ナンテールにフォアグラのテリーヌを乗せて、ナイフとフォークは使わずに、そのままガブリ!(^○^) フォアグラの甘い脂のコクが舌の上でとろけて…甘くてどっしりとリッチなブリオッシュとの相性は抜群です!(^Q^)
「おおっ!(^O^)\ ここにもプチ・パンがありました!」

Soupe

「ワンダフルハウス様、”トリュフのスープ エリゼ風”でございます」
磯村氏「いつぞやエリゼ宮で大午餐会の指揮をとられたことがありましたね?
ボキューズ氏「一昨年(1975年)の2月のことです。私はジスカール・デスタン大統領からレジオン・ドヌール勲章を授かりました。この栄誉は私個人に与えられたものではなく、フランス料理界全体が授かったものだと思います。そこでエリゼ宮で”dejeuner デジュネ”(ランチ=午餐会)を催し、大統領と一緒にテーブルについて、料理や観光客の話をしたんです。我々料理人は18名いました
La soupe aux truffe noire du Perigord en croute ”Paul Bocuse”
ペリゴール産トリュフのスープ パイ包み焼き ”ポール・ボキューズ”
「Soupe aux truffes Elysee スープ・オー・トリュフ・エリゼ(トリュフのスープ エリゼ風)」、「Soupe aux truffes noires V.G.E. スープ・オー・トリュフ・ノワール・ヴェ・ジェ・ウ(ヴァレリー・ジスカール・デスタンに捧ぐ 黒トリュフのスープ)」とも呼ばれている、ジョエル・ブリュアン氏の師匠であるポール・ボキューズ氏が、時の大統領「Valery Giscard d'Estaing ヴァレリー・ジスカール・デスタン」に捧げた伝説のスープの登場です。1975年にエリゼ宮で催された午餐会にはV.G.Eの姿があり、そしてキッチンで腕を揮うボキューズ氏の姿がありました。その刹那、歴史に残るこの一皿は世に生まれ出たのです。
磯村氏「ジスカール・デスタン大統領は食通ですか?
ボキューズ氏「かなりの食通ですね。しかも健啖家。でも、あの人も50歳ですから、やはりスタイルには気をつけているようです。いつまでもスマートでいるためには、食事に気をつけなくてはね」
磯村氏「美味しいものの山に囲まれたフランス人がダイエットするのは、さぞツラいことでしょうね(笑)。エリゼ宮の午餐会は、どんなメニューだったんですか?
ボキューズ氏「トリュフのスープ、鮭、そして鴨ですね。鴨にはフォアグラを付け合わせました。これはみんなで相談して決めたメニューなんです」
こんなスープは初めて見ました!(゚O゚)\ パイ生地がキノコ状に色良くふくらんで…蓋のようにかぶせてあります。
磯村氏「あなた一人ではなくて?」
ボキューズ氏「ええ。これは大事なことで、フランス料理というのは、我々が構成しているグループによって成り立っているものなんです。このグループの中にはジャン・トロワグロ、ピエール・トロワグロ、ロジェ・ヴェルジェといった若い人達、あるいはルイ・ウーティエ、ミッシェル・ゲラールといった人達も含まれています」
「このスープは、どうやって食べるのですか?」「パイ生地をスプーンで小さく砕いて、スープ鉢の中に落としてお召し上がり下さい」
磯村氏「いわゆる”ボキューズ派”の面々、つまりは「ヌーヴェル・キュイジーヌ(新フランス料理)」の旗手たちですね。ヌーヴェル・キュイジーヌはエスコフィエらの古典派とどこが違いますか?」
サクサク…「おおっ!?φ(^O^) この香りは?」
パイ生地の内に秘められた芳香が食卓で一気に放たれる瞬間…全身をスープに包み込まれるような衝撃が走ります。
ボキューズ氏「まず歴史的にみると、フランスではレストランの経営者といえば、40年ほど前(1930年代)まで、すべて実業家であり、メートルドテル(ボーイ長)だったんです。シェフ(料理長)が経営者を兼ねることはなく、使用人であって、客の前に姿を現わすこともなかったんですね」
鶏のコンソメスープに、具は「マティニョン matignon」とフォアグラです!
「マティニョン Matignon」とはニンジン、タマネギ、セロリ、シャンピニオン同量ずつを小さな賽の目切りにして、バターでエテュヴェ(etuver)したもの。
磯村氏「地下の調理場で黙々と働いている。昔の料理人は目立たない存在だったんですね」
おや? 何か黒いものが?φ(^‐^)
ボキューズ氏「そうです。しかし今はすっかり変わりました。フランスには現在(1977年)、ミシュランのガイドブックが三つ星を付けた最高級の店が19店あります。このうち16の店では料理長が経営者を兼ねているんです。そうでないのはトゥール・ダルジャンとマキシム・ド・パリとタイユヴァンだけ。これは大改革だと思うんです」
フランス最高の黒トリュフの登場です。
磯村氏「つまり、料理長が経営者として全体を演出するわけですね。ヌーヴェル・キュイジーヌはフランス人に理解されていますか?」
トリュフはフォワグラ、キャビアと共に世界三大珍味と呼ばれています。特にフランス南西部ペリゴール地方の黒トリュフは有名で、フランス料理には欠かせない食材です。トリュフの種類は冬トリュフと夏トリュフに分けられ、冬トリュフは11〜2月まで、夏トリュフは5〜8月までがシーズンとなります。 冬トリュフは生のままスライスして飾りつけたり、細かく刻んで肉料理のソースに使います。このソースは、ペリゴールの名をとって「ソース・ペリグー」と呼ばれています。夏トリュフは生のままスライスしてサラダにしたりします。
ボキューズ氏「ええ。医学を学んでいるようなインテリから自動車工場の労働者まで。また、そういう人達に味わってもらえる機会をもっと作りたいとも思っているんですよ。何しろ新フランス料理は、従来のものより軽くて、ソースをあまり使わない、つまり、”本物に近い”料理ですからね。1週間に10フラン貯めて、年に1度食べに来るなんていう労働者もいます。もう、フランス料理は特権階級のものではないんですよ」

Poissons

Le gratin de langouste,sauce amoureuse ”Fernand Point”
伊勢海老のグラタン フェルナン・ポワン風
「ワンダフルハウス様、”伊勢海老のグラタン フェルナン・ポワン風”でございます」「フェルナン・ポワン?(^‐^)\」
「これはピラミッドの料理です!(゚O゚)\」
Gratin de queues d'ecrevisses
エクルヴィスのグラタン
(ピラミッド)
Gratin de langouste
伊勢海老のグラタン
(ピラミッド)
伊勢海老のグラタンは、ピラミッドに2つあったエビのグラタンの1つで、もう1つは「エクルヴィスのグラタン」でした。特に「エクルヴィスのグラタン」は、フェルナン・ポワンの料理として非常に有名でした。それだけに、ピラミッドのメニューにはコース料理の中の魚料理として、あるいはアラカルトの魚料理としても必ず登場していました。
フェルナン・ポワン→ポール・ボキューズ→ジョエル・ブリュアン。師匠から弟子へと伝えられた世界最高のグラタンです。
フェルナン・ポワンの作り方は、
鍋に海老バターを溶かし、伊勢海老のむき身を入れ、塩、胡椒、小麦粉をふりかけ炒める。

コニャックを注いでデグラッセ(火をつけて燃やす)する。
生クリームを加え、かき混ぜながら煮つめる。
ソース・オランデーズ(卵黄に澄ましバターを加えながら湯煎にかけ、乳化させたソース)を1人用のグラタン皿に入れ、サラマンドルで焼く。
伊勢海老の自然の甘味が、噛むほどにジワジワと舌の上に滲み出てきます(^Q^) 「ん? 緑色の具が…(^‐^)\」「ワンダフルハウス様、それはホウレンソウでございます」

Viandes

Supreme de volaille rotie,farci au morille,pommes neuvelles rissolees sauce au vinaigre,et fleur d'estragon
地鶏胸肉のモリーユ茸詰めのロースト、エストラゴン風味ヴィネガーソース
「ワンダフルハウス様、地鶏胸肉のモリーユ茸詰めのロースト、エストラゴン風味ヴィネガーソースでございます」「エストラゴン?
ポール・ボキューズのスペシャリテ「フォアグラの鶏胸肉包みとモリーユ茸 Supreme de Volaille au Foie Gras et Morilles」(フォアグラをブレス産鶏胸肉で包んだもので、周りにフレッシュのモリーユ茸、下にはちょっとくたっと茹でられたほうれん草を敷いたもの)のジョエル版の登場です。
これがエストラゴン(estragon)。英語ではタラゴン(tarragon)といわれ、よもぎの一種です。日本では生のエストラゴンは珍しく、酢漬けのものと乾燥したものが主に使われています。鶏料理、仔牛料理などの淡白なものに最もよく使われています。
「これがブレス鶏!(゚O゚)\ ん? 鶏肉の中に何か入っていますね?」
ジョエル・ブリュアン氏のお目鏡にかなった鶏は、やはりフランス・ブレス産。法律で品質管理されている限定品で、ブレス地方の地鶏として中世から知られていました。12世紀ごろから飼養されており、 16世紀末にはアンリ4世に愛好され、19世紀初頭にブリア・サヴァランの「美味礼讃」で激賞されて、最高の食材という表価を確立しました。
フランスでは、ワインやチーズ鶏や羊などの優れた農畜産物、 また食材の伝統を守る観点から、原産地統制呼称制度(AOC)という 仕組みがあります。 AOCに認定される食材は、その地域や原材料、製法、飼育方法や飼料等 、厳しく制約され、それをクリアしたものがAOCに認定されるのですが、 制約を受けるかわりに、認定された食材は大きな信用と名誉を得る事に ことになります。 ブレス鶏はフランスで飼育されている鶏の中でも唯一AOCに 登録されている鶏なのです。
「こ…これは…フォアグラとモリーユ茸です!(゚O゚)\
モリーユ茸(morille)は、西洋キノコの中で最も高価なもの。日本ではアミガサタケと呼ばれ、網目模様のカサが特徴です。
これは柔らかい! しっとりとローストされてジューシーです!(^Q^) そして、棒状にカットされたフォアグラのテリーヌと共に口の中へ…コクがあり、旨みが深いです!(^Q^)
「ほぅ…これがモリーユですか?(^Q^)クンクン 鼻腔に芳醇な香りが…素晴らしい香りです!」 さすがにジョエルさん、付け合わせも手を抜いてないですね(^‐^)\
「おおっ!? ミニ大根です!(゚O゚)\」

Avant dessert

「ワンダフルハウス様、”苺のスープ仕立て フロマージュブラン”でございます」
パティシエ・シマメゾン・フェルベールで修業を積んだJJのシェフ・パティシエール宮本亜希子さんのアヴァン・デセールの登場です。
苺のスープの上にフロマージュ・ブランが浮かんでいます!
パティシエ・シマ
フロマージュ・ブランといえば、パティシエ・シマのクレーム・アンジュです。宮本シェフの師匠である島田シェフが、1988年にシェ・シーマを開店した際に、フロマージュ・ブランをメレンゲと合わせ、ガーゼで包み、ココットにつめることによって、持ち帰りのできるお菓子に仕立てたのです。真ん中にはフランボワーズ・ソースを染み込ませたビスキュイが隠れています。
まるで水切りヨーグルトのようにあっさりしています(^Q^)
フロマージュ・ブランは、イチゴのような甘酸っぱいフルーツを混ぜ込んで食べると、食後のデザートに最適なのです。

Grand dessert

「ワンダフルハウス様、こちらがグラン・デセールでございます」「おおっ! これは?(^O^)\」
フォンダン・ショコラとグラス・ピスターシュです!
 これは珍しい!(゚O゚)\ フレッシュ(生)のアンズです! 甘みも酸味もあって美味です
オレンジ色の「アブリコ Abricot」、日本でいう杏の登場です。フランスは、イタリアと並んでヨーロッパで最もアブリコの生産高が多い国なのです。
ピスタチオの風味が濃厚!(^Q^) これは、ピラミッドのデセールです!
ピラミッドのデセールとしては、まずグラスかソルべのどちらかを選ぶことになります。グラスでは、「Glace au cafe グラス・オー・キャフェ」(コーヒー風味のアイスクリーム)が絶品で、これはコーヒーの風味をきかせるだけでなく、細かく砕いたコーヒー豆の粒を入れたアイスクリームでした。時には、「Glace a la pistache グラス・ア・ラ・ピスタ―シュ」(ピスタチオ・ナッツ風味のアイスクリーム)を作ることもありました。ソルべでは、「Sorbet a la framboise ソルべ・ア・ラ・フランボワーズ」(木苺風味のシャーベット)と「Sorbet au citron ソルべ・オー・シトロン」(レモン風味のシャーベット)の2品を揃えていました。
「フォンダン・ショコラ」とは何でしょう? 表面には白い粉糖をまぶしてありますね。
おおっ!? 中からトロりとしたショコラが溶け出してきました!(゚O゚)\
「フォンダン・ショコラ Fondant Chocolat」とは、「とろけるチョコレート」という意味。このタイプのガトー・ショコラは、焼きたてをいただくと、中から溶けたチョコレートが流れ出します。発祥は、3つ星レストラン「ミシェル・ブラス」の有名なデザート「クーラン・ショコラ」。他のレストランでは「フォンダン・ショコラ」「モアルー・ショコラ」などの名前で呼ばれています。

Petit four

まさに、とろける美味しさです!(^Q^) 「ワンダフルハウス様、プティ・フールでございます」
 ガレット・ブルトンヌとマカロン・シトロンです!
パティシエ・シマ
「ガレット・ブルトンヌ」太陽と風の力だけで、ゆっくり結晶させた自然海塩「ゲランドの塩 Fleur de sel(フルール・ド・セル)」と発酵バターを効かせたフランス・ブルターニュ地方の伝統菓子の登場です。 「マカロン・パリジェンヌ」JJのもパティシエ・シマのものもそうですが、日本で発売されているほとんどのマカロンは、表面が滑らかで生地の下にピエ(足)が出たタイプにクリームをはさんだマカロン・パリジェンヌ。フランス各地のマカロンの中でも、パリのものは品格を備えた繊細な姿と味が特徴です
フランス西海岸ブルターニュ地方にゲランド塩田はあります。 太陽と風の力、粘土の地層を活かした構造を持つゲランド塩田で、9世紀から機械をほとんど使わない伝統的手法を用い、塩職人(パリュディエ)の手により「ゲランドの塩」は生産されます。自然環境を最大限に活かしたこの製法で作られる「ゲランドの塩」は、古くはブルボン王朝時代から今日に至るまで、フランス料理の名シェフたちから高い評価を受け続けています。とがった塩辛さのない深い味わいが素材の味を引き立てるのです。 マカロンの歴史は古く、16世紀にさかのぼります。フランス国王アンリ2世に嫁いだイタリアのカトリーヌ・ド・メディシスによってフランス全土に伝えられました。発祥はイタリアで、マカロンの語源はイタリア語の「マカローネ」。基本的な材料はナッツ類に卵白、砂糖とシンプルな焼き菓子ですが、ヨーロッパ人が好むアーモンドの味わいが生かされたもの。地方によって形や風味も様々な種類があります。

Cafe

ガレット・ブルトンヌは、中までザクザクで、バターの香りが豊か。マカロン・シトロンはレモンの風味がとっても強く、甘みも香りも最高です!(^Q^) 最後にエスプレッソをいただきましょう。
「ワンダフルハウス様、バシュラン・カシスの用意ができました」「それでは、持って来てください!(^O^)/」

Vacherin aux Cassis 1979

東京・元赤坂にある迎賓館。ここで1979年6月28日から29日までの2日間に渡って「第5回先進国首脳会議(東京サミット)」が開催されました。初めて日本で開催されたサミットでした。
ん?(^-^)\ 2008年8月現在は改修中のようですね。
赤坂迎賓館は、明治42年に東宮御所として建造された洋風宮殿を昭和49年に迎賓館としたもので、外交活動の舞台として使用されてきました。今回の改修は、開館後30年以上が経過し、施設の老朽化や社会変化に伴う接遇上の新たなニーズに対応するため、既存の意匠を極力維持し、保全上必要な改修を行なっています。
その時、昭和天皇が食べ、日本の大平正芳首相、ジスカール・デスタン仏大統領、カーター米大統領、サッチャー英首相、シュミット独首相、アンドレオッティ伊首相、クラーク加首相ら各国首脳が食べたお菓子…ヴァシュラン・カシス!
現在まで日本国内で作られた最高のフランス菓子でありながら、一般にはもちろん、業界にも知る人がいない、記録も写真も残っていない謎のお菓子でした。
「(第1回)東京サミットの時は、ルコントさんがエリゼ宮に電話をかけて、ジスカール・デスタン大統領は何がお好きか聞いたのです。大統領がカシスがお好きという事で、私がヴァシュラン・カシスを作りました。ミッテラン大統領はヘーゼルナッツがお好きで、ヘーゼルナッツのパフェを作ったりしました。シラク大統領は…」と語るのは、1979年当時ルコントの製菓部長で、現在は東京・麹町パティシエ・シマのオーナー・シェフ島田進さん。「パティシエ・シマにはアイスクリーム・マシーンが無いのでバシュランは作れません。このルセットを宮本に渡して作らせてください」 cuisine francaise JJ専属パティシエール 宮本亜季子さんの登場です。2005年までパティシエ・シマで修行し、その後、フランスに渡ってアルザスのクリスティーヌ・フェルベールさんのもとで修行。帰国後、2007年3月30日の東京ミッドタウンオープン時からcuisine francaise JJでシェフ・パティシエールとして働いているかなりの実力者です。これから自分の味をどんどん出していくでしょう。ランチでもワゴンデセールがあるので、女性客にも自信を持ってお薦めできます。
Vacherin aux Cassis V.G.E
ヴァレリー・ジスカール・デスタンに捧ぐ カシスのヴァシュラン
(特注品)
「V.G.E」は、時の大統領ヴァレリー・ジスカール・デスタンの頭文字。1979年に東京・元赤坂の迎賓館で催された第5回先進国首脳会議(第1回東京サミット)の晩餐会にはV.G.Eの姿があり、そしてキッチンで腕をふるうアンドレ・ルコント氏と島田進氏の姿もありました。その刹那、日本の洋菓子史に残るこの一皿は世に生まれ出たのです。
うおーっ! こ…これは凄い!(゚O゚:)\ なんという古典的な…アントナン・カレームの世界です! これぞまさしく王宮料理です!
「ヴァシュラン Vacherin」とは、メレンゲを乾燥焼きした王冠状の”食べられる容器”のこと。これにアイスクリームやシャーベットを詰めて、アントルメとして仕上げたものです。
 中身は「ソルべ・カシス Sorbet Cassis」。カシスのシャーベットです。
側面に何か貼り付けてありますね?
コキール・メレンゲです!
コキール(coquille)とは「貝」。つまり、コキール・メレンゲとは貝型に焼き上げたメレンゲのこと。ここでは、ムラング・オーディネールとかムラング・フランセズ(フランス・メレンゲ)とか呼ばれるメレンゲが使われています。やや水様化した卵白にグラニュー糖を加えて泡立てただけのものなので、ほっくりとした優しい食感が得られるのが特徴です。
バシュラン・カシスがカットされました。
断面は3層になっている模様です(^0_0^)\
下から、ムラング・オーディネール(メレンゲ)↑グラス・ヴァニーユ(バニラ・アイス)↑ソルべ・カシス(カシスのシャーベット
これがカシスの実です! 見た目はブルーベリーに似ていますね。
カシスもベリーの仲間です。 欧米ではジャムやリキュールの素材としてポピュラーな食材。実自体には、えぐみがあるために、世界でも有数の産地フランスでもジャムやジュース等に加工されて親しまれています。 他にもお菓子の材料としてはもちろん、話題の成分アントシアニンやポリフェノール等が注目され健康食品としても有名です。
カシスのピューレ! これこそ、クリスティーヌ・フェルベールさんの店で修業した宮本シェフの得意分野です。メゾン・フェルベールには、カシスのコンフィチュール(ジャム)だけで「カシスとスミレ」「アルザス産カシス」「アルザス産カシスとスミレ」「カシスのジュレ」「カシスのジュレとすみれ」「クレーム・ド・カシス(カシス・ピノ・ノワール風味)」など少なくとも6種類以上あるのですから。
綺麗な渦巻きのように絞り出されたカシスのピューレ。カシスは酸味が強いので、アングレーズ・ソースも一緒に合わせて味のバランスを整えてあります。アングレーズ・ソースは凍らせるとバニラ・アイスになります。
それでは、いただきます!…濃厚なソルべ・カシス!迎賓館の味がします!)^Q^(
グラス・ヴァニーユをいただきましょう…バニラ・ビーンズがたっぷりで美味です!(^Q^) カシスのシャーベットにバニラ・アイスを合わせることによって、酸味のしつこさを消し、味のバランスを上手くまとめてあります。
3層まとめていただきます…メレンゲのサクサク感が加わって超美味です!(^Q^) 最後にコキール・メレンゲをいただきましょう…おっ、表面は少しベトベトしてますね。
真っ二つに割って…
カシスのピューレをつけていただきます…この時、隣のテーブルにロウソクに火を灯したケーキの盛り合わせが運ばれ、「ハッピー・バースデー・トゥー・ユー(^O^)〜♪」の合唱が聞こえてきました。

戻る

おおっ!(^O^)\ あちらの御方こそジョエル・ブリュアン氏です!\(^○^)/
この時、(この写真には写ってませんが)店内のお客さんの中には、東京ミッドタウンにある世界最高のホスピタリティーを誇るホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」の総支配人リコ・ドゥブランク氏の姿も! cuisine francaise JJこそ東京で最高のフレンチレストランであると実感しました。

戻る