わんだふるはうすcuisine francaise JJに行く
ジビエ編

フランスでは、毎年、狩猟の季節の始まる9月になるとともに、ジビエが豪華な料理となって食卓にのせられ、美食の喜びに満ちたシーズンの始まりとなります。昔、王侯貴族が広大な領地で狩をし、捕えた動物を調理させていたのが起源の高級料理「ジビエ gibier」。ジビエとは野山に住む野禽の肉のことで、狩猟で得られる鳥獣を調理したものがジビエ料理です。フランス料理の中でも最も高度な調理技術を必要とする分野で、同じ種類の動物であっても、生息地や食料、年齢や健康状態によっても肉質や香りが異なるため、それぞれの個性を見極めた調理が求められる難解な食材なのです。それだけに食通たちもシーズンを心待ちにし、季節限定の味覚に舌鼓を打つのです(^Q^) 2008年10月、東京ミッドタウンにあるジョエル・ブリュアンさんのお店「cuisine francaise JJ キュイジーヌ・フランセーズ・ジェイジェイ」をワンダフルハウスが訪ね、ジビエ料理を堪能してきました。メニューの数々を順番に紹介いたします。

「おおっ!?(^O^)\ あれは?」
「何か展示してありますね(^-^)\」
東京ミッドタウンが今年から開始したデザインとアートのコンペティション「Tokyo Midtown Award 2008」。2008年6月より、デザインとアートの2部門で、それぞれ「Japanese New Souvenir(日本の新しいおみやげ)」、「JAPAN VALUE」をテーマに作品を公募。デザイン部門=一般の部713件、学生の部389件、アート部門=478組の応募があり、審査を経て、グランプリを含む計14点が選出されました。受賞作品は11月3日まで、地下鉄六本木駅と東京ミッドタウンとの地下通路にある「メトロアベニュー」で展示されています。
煎餅がありました!(^Q^)\ 「つまらないものですが」?(゚O゚)\
「つまらないものですが。」の文言を印刷したステッカーは、デザイン部門で小山薫堂賞を授賞された冨田知恵さんの作品。日本文化を独自に解釈したユニークな作品です。
「こんばんは!(^O^)/ これ、つまらないものですが…( っ・ω・)っ□」「これはこれはワンダフルハウス様…これは林檎の形のチョコレートですか?」
ポム・ショコラ
(パティシエ・シマ)
特注品
「パティシエ・シマの島田進シェフの創作デセールで、林檎の形のメレンゲ菓子“ポム・ショコラ”です。葉っぱは飴細工でできています」
「ワンダフルハウス様、本日の料理は、いかがいたしましょうか?」「何かお勧めのものはありますか?」
「先月からジビエが入荷しまして、熟成中です。10月も1週目になりましたので、お出しできますよ」「ジビエ? (゚O゚)\ 私は今までジビエを食べたことがないのです。お任せします」「かしこまりました。宮本のデセールはどうしましょうか?」「林檎で何か作ってください!(^O^)/」

Amuse bouche

「ワンダフルハウス様、アミューズでございます」
「おおっ!(^O^)\ 一口サイズのアミューズの3点盛りです!」
「軽く火を通したサーモンにイクラとマヨネーズソース…」
「秋刀魚と茄子とトマトのカナッペ…」 「ブーダンノワール Boudin Noir」。下には林檎のピューレでございます」
パーティーメニューとしておなじみの「カナッペ」は、バゲットをスライスして お好みの具を盛り付けたもの。気軽につまめるところがいいのです。 ブーダンノワールは、豚の血が入っているソーセージで、背脂、タマネギ、生クリームをベースに豚の血をたっぷり加えて低温で火を入れたものを豚の腸に詰めたものです。濃厚な味わいで、リンゴの甘みと酸味がすごく合うのです(^Q^)

Hors d'oeuvre

「ワンダフルハウス様、ピジョン・ラミエのローストサラダ仕立て ソース・サルミでございます」
Salade de pigeon ramier roti sauce salmis
ピジョン・ラミエのローストサラダ仕立て ソース・サルミ
「ピジョン・ラミエ?(^-^)\」「山鳩でございます」
森林や野原に自然の状態で生息していて、食する事のできる野禽獣をフランス語で「ジビエ」といいます。この時期になるとフランスの市場では、毛皮や羽が付いたままの鹿、野ウサギ、野鴨、キジ、山ウズラ、山シギ…そして猪までもが天井から吊り下げられています。
「山鳩? おおーっ!(゚O゚)\ こ…これがジビエ…これは凄い!」
フレンチレストランに鳩(pigeon ピジョン)は一年中出回っていますが、山鳩(pigeon ramier ピジョンラミエ)は、低木林や雑木林などに棲む野生のハト。飼育ではない、野生の鳩料理の登場です。
これが山鳩の胸肉の薄切りですか…
肉が「a point(ア・ ポワン)=ミディアム」に焼けていれば、中心は、このように薄いピンク色をしており、包丁を入れると肉汁が粒となって浮いてきます。焼きすぎた場合には、肉はくすんだ灰色になり、口に入れてもザラザラした感触になります。そうなると柔らかさも、とろりとした味わいも失われてしまいます。
「足が付いたままのもも肉(゚O゚:)\…ワイルドです!」
「このドロドロした泥のようなソースは何ですか?」「鳩のロティや野鳥料理によく使われるソース・サルミでございます。野鳥のガラを砕いて、骨髄ごと一緒に赤ワインでじっくり煮込んで、最後に血液を加えます」「血を!?(゚O゚:)」「はい。ねっとりしたソースになるまで、煮立てないようにしながらゆっくりと熱めるのです。濃厚で野生味のあるソースです」
「このレタスは?」 「フリルレタスでございます。普通の玉レタスと違って、全部柔らかくフリルのようになってるレタスです。赤紫色のはトレビス、キノコはジロール茸です。
「ソース・サルミは、鼻血ものの濃厚なソース! ピジョン・ラミエは、脂がのっていて柔らかく、感動的な旨さです(^Q^)」
「もも肉は、足を持ってかぶりつきます。独特の薫香があって美味です!(^Q^)

Viande

「ワンダフルハウス様、“鹿のシヴェ Civet de chevreuil(シヴェ・ドゥ・シュヴルイユ)”でございます」「シヴェ?(^-^)\」
鹿の赤ワイン煮込み セップ茸のヌイユ添え
Civet de chevreuil avec ses noilles au beurre et cepes
「シヴェとは野禽の煮込み法の一種で、仕上げに血を使ってソースに濃度をつけるのが特徴です。鹿肉にも良く合う料理法ですよ」「またしても血!(゚O゚:)」
おおっ!? よく見ると、これは鹿のシチューですね(゚O゚)\
野兎 ロワイヤル風 クトー上院議員流
Lievre a la royale du senateur Couteaux
レストラン・ポール・ボキューズ
1976年
鹿の赤ワイン煮込み セップ茸のヌイユ添え
Civet de chevreuil avec ses noilles au beurre et cepes
「これはやばい! (゚O゚)\かなりグロテスクです!(>_<)」「今日の煮込みは、“リエーブル(野ウサギ)ア・ラ・ロワイヤル クトー上院議員風”の鹿版です」
「ワンダフルハウス様、キュイジーヌ・フランセーズ・JJの鹿は、北海道の阿部さんというハンターが撃った蝦夷鹿で、“阿部鹿”とお店では呼んでいます」
「この棒は何ですか?(^-^)\」「骨です。本日の煮込みには、骨付きバラ肉、つまりスペアリブの部分を使用しました」
「このソースの中にも血が入ってるのですか?(゚O゚:)\」「はい。シヴェとは血で仕上げる赤ワイン煮込みのことなのです」
シヴェとはジビエ料理で、鹿や野兎、猪などの肉を赤ワインでマリネしてから煮込み、血で煮汁をリエした(とろみをつけてつないだ)もの。血のタンパク質によってソースに濃度がつき、とろりとした舌触りになり、野生の香りと赤ワインのコクを包み込んだ仕上がりになります。温度管理が難しく、温度が高いと血とソースが分離し、低いと血とソースは繋がらず、血の生臭さが残ります。ソースの温度を80℃位に維持して、空気を含ませながら、ゆっくり混ぜなければなりません。
「おっ!(^O^)\ きしめん状の幅広のパスタでクリーム系のソースによくからむ…これはフェットチーネです!」「ワンダフルハウス様、フランス語ではヌイユでございます」
「まるみのある笠の形が特徴のこのキノコは、セップ茸でございます。和名は“西洋まつたけ”。イタリアではポルチーニと呼ばれています」
「柔らかい! 肉がハラリと崩れる感じ…肉とソースに一体感があります」
「肉の芯まで赤ワインが染み込んでいて美味です(^Q^)
「肉から骨がスルッと抜けました! 肉と骨の間のここが一番美味しいところです)^Q^(」
「セップ茸とバターの香りがたまりません〜(^Q^)」

Dessert

「ワンダフルハウス様、宮本の林檎のデセール“Galette aux Pommes ガレット・オー・ポンム”でございます」
ガレット・オー・ポンム 塩キャラメルのグラスを添えて
Galette aux pommes avec Glace au caramel a la fleur de sel
「ガレット・オー・ポンム?(^-^)\」「リンゴのガレットでございます」
「ガレット・デ・ロワなら知ってますが、ガレット・オー・ポンムなんて初めて聞きました」
「おーっ!(^O^)\ 綺麗です!\(^○^)/」
「ガレット Galette」とは、一般的には「円形で平たく焼いたもの」全般のことです。
「上に乗ってるアイスは何ですか?(^-^)\」「グラス・キャラメル・フルール・ドゥ・セル、塩キャラメルのグラスでございます」「今、流行ってますね」
数年前から流行しはじめた「塩スイーツ」。塩チョコ、塩キャラメル、塩アイス…ありとあらゆるスイーツに塩が使われています。
粉砂糖で見えませんが、塩キャラメルのアイスの下には林檎の薄切りが並べてあるようです。
スッキリとした甘さの中に、ほのかに感じる優しい塩分。そしてキャラメルのほろ苦い香ばしさ…なかなか複雑な旨み構成です(^Q^) レーズンとナッツをつまんでいたら、ワンダフルハウスは昔のことを、ふと思い出しました。
アンアン1977年1月20日号 ジョエル・ブリュアン 作
レンガ屋
1976年
31年前のアンアン。表紙に「ポール・ボキューズさんのフランス料理 食べ方入門」というタイトルが… 1976年10月11日にポール・ボキューズ氏が銀座のレンガ屋で作った料理を、ジョエル・ブリュアン氏がアンアンのために再現したものです。
ジョエル・ブリュアン 作
レンガ屋
1976年
宮本亜希子 作
cuisine francaise JJ
2008年
「おおーっ!?(゚O゚)\ この2つは似てますよ! 当時は塩キャラメルアイスなんてなかったからバニラアイスですね」
「いつの間にかアイスが溶けかかっています!(゚O゚)\」
速攻でいただきましょう。
「溶けたアイスが邪魔で、断面が見えませんね(^-^:)\」
「溶けた塩キャラメルアイスがソースの役割をして、林檎の旨みが倍増しています(^Q^)」
ガレット・オー・ポンム ポンム・オ・フォー
パティシエ・シマ
特注品
このリンゴの薄切りには見覚えがあります。 昨年の今頃、パティシエ・シマの島田進さんに作っていただいた焼き林檎の薄切り「ポンム・オ・フォー」と同じですね。
リンゴをめくって生地を見てみましょう。 ほぅ(^-^)\クレーム・ダマンド(アーモンドクリーム)ですね。
ショーソン・オー・ポンム
パティシエ・シマ
315円
フィユタージュ(パイ)生地のガレット・オー・ポンムを二つ折りすれば「ショーソン・オ・ポンム chausson aux pomme」になります。フランスのアップルパイですね。chaussonとは「スリッパ」の事です。
ガレット・デ・ロワ
パティシエ・シマ
ガレット・ブルトンヌ
パティシエ・シマ
ガレットといえば、ガレット・デ・ロワとガレット・ブルトンヌが思い浮かびますが…
八甲田牛フィレ肉のポワレ ブラックペッパーソース
Filet de boeuf poele sauce poivre noir 
 
JJにもガレットがあります。ステーキの付け合わせで登場する「ガレット・ドゥ・ポンム・ドゥ・テール Galette de Pomme de Terre」。
カスピ海産オセトラキャビアをスプーンにのせて そば粉のブリニ添え
Caviar ossetra a la cuillere blinis a la farine de ble noir
10500円+サービス料10%  
 
キャビアの付け合わせのそば粉のブリニもガレットの仲間なのです。
フランス北西部ブルターニュ地方の伝統料理に、そば粉を使ったクレープ「ガレット」と「ブリニ」があります。英仏海峡に位置するブルターニュ地方は一年を通じて晴天率が低く、雨と霧に覆われ、土壌はやせています。ここで栽培可能だったのが「そば」でした。「ガレット」とは、そば粉と水と塩を合わせたものを薄焼きした生地の上に、卵やハム、チーズ、きのこ等を包んだものです。「ブリニ」とは、そば粉と牛乳とバターを合わせたものを薄焼きにした生地の上に、卵やキャビアを包んだものです。小麦を使ったクレープはフルーツやクリームを挟みデザートとしての位置づけですが、ガレットやブリニは食事として位置付けられています。

Petit four

「ワンダフルハウス様、プティ・フールでございます」
「タルトレット・オ・マロンとマカロン・フランボワーズですね。ところで、ピジョン・ラミエやシュヴルイユの他に、どんなジビエがあるのですか?」
「ワンダフルハウス様、ペルドローが3羽熟成中です」「ペルドロー?(゚O゚)\」「山鶉です」「では、次回はそれをください!(^O^)/」「かしこまりました」

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