クマ
(1993秋冬)

丸顔のテディベア サンタクロースになる

私のまわりには、常にいろいろなアイディアが

1月号で「SO−EN」編集部に「丸顔のテディベア」と迷名されてしまったくまは、その後、ポロシャツの代りにオーバーオールズを着、この冬は暖かなダッフルコートを着ました。その姿がおもちゃの兵隊さんみたいなので、12月は、サンタぐまと合わせて、メリー・クリスマス! と決めましょう。
テディベアのプリントについては、1月号で紹介したので、今回はテディベアそのもののお話を。実は、写真の中にいるくまの縫いぐるみは、ショーの時にお客さまからいただいたテディベアがヒント。とてもかわいかったので、そのかたの許可をとってピンクハウスのくまにしちゃったのです。そして、このくまが、なぜおなかの上に乗っかっているのか(下の写真参照)、疑問を持っている人、けっこういるのではないかしら!? この着こなしは、ショーの時や秋冬用のポスターやカタログの写真にも使ったのですが、もともとは、まだこのテディベアが生まれる前の展示会が発端です。その展示会に来ていたバイヤー(ピンクハウスの販売員)の女の子が、エプロンの胸ポケットに小さなくまの縫いぐるみを入れていたのです。その姿を見たときは、「なんて変わったことをしているのだろう……」と思ったのですが、とてもかわいらしい人で、妙に似合っていたので、このアイディアをちゃっかり拝借してしまいました。
私は、人のしていることを何であれ平気で盗みまーす! 人さまのやっていることをまねして、ピンクハウスはここまで来たのでーす! 一つ一つのプリントがどうやって誕生したか、その生立ちの謎解きをテーマに1年間連載してきました。とはいえ私自身、そんなに大それたことを考えてデザインしているわけではないのです。全体にわたっての謎解きをすると、もっともっと身近な、すぐ隣の人(といってもピンクハウスに関係のある人々)のアイディアをもらって、みんながかわいいと思うことをプリントや服、着こなしに役立てているだけ。だから、私にとっての財産は、私のまわりにいる皆さんなのです。

テディベアを使った高度な着こなし
サンタグマ(PH) ダッフルグマ(PH)
NEW!オーバーオールグマ&Tシャツグマ(KH)

装苑1993年12月号「ピンクハウスのプリント物語・最終回」より

金子さんは、連載終了後に、(株)ピンクハウスを退社された。これは、ピンクハウス時代最後の著作である。

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