わんだふるはうす、ルコント青山本店に行く

盛夏のフランス菓子

暑さによる食欲減退のせいでしょうか(:+_+A ケーキ好きのワンダフルハウスでさえも、夏は冬に比べてケーキを食べる気がしなくなってしまいます。事実、フランス菓子店では、夏にはお菓子の売上げが冬の半分以下にまで落ちてしまうそうです。そこでフランス菓子店では、暑い季節でも食べたい気持を湧かせる清涼感たっぷりのお菓子を夏向きに考えているそうです。「季節ごとのフレッシュフルーツを使うこと。そして、そのフルーツの味をよく吟味して、見かけよりも味を第一に考えて素材を選ぶことが成功のコツです」と、生前、ケーキ作りのコツを語っていたアンドレ・ルコント氏。夏向けのフルーツを使った爽やかなフランス菓子をルコント青山本店とブラッスリー・ルコントを舞台に紹介いたします。

青山1丁目交差点。R246(青山通り)の向こうに青山ツインタワーが見えます。 ルコント青山本店は、地下1階にございます。
周りはオフィス街。平日は混雑していますが、週末は比較的空いています。 「こんにちは! ケーキをください!(^Q^)/」
こちらは、パティスリー専門のルコント青山本店。右の写真で向こう側のシャッターが閉まっている店は、フランス料理を気軽に味わえるブラッスリー・ルコント。今日は日曜日なので休みです。アンドレ・ルコント氏はシェフとしても一流で、東京サミットの際は、フランス大統領主催晩餐会の料理も担当していました。その時、デザートを担当したのがパティシエ・シマの島田進さんです。
あちらの御方こそ、ムッシュ・アンドレ・ルコントです。
アンドレ・ルコント氏は、1932年、パリの南、ロワールの地主の家に生まれました。戦後、父親を亡くしたため、13歳で菓子店見習いとして働くことになり、修業の後に、チョコレート、ケーキ、アイスクリームの国家試験を受けて開業資格を取得。腕のいいパティシエとして頭角を現します。 1963年、ホテルオークラから来た手紙のレターヘッドがあまりに素晴らしかったので、「これは超一流のホテルに違いない!\(^O^)/」と喜んで来日。当時の東京はオリンピックの直前で、「工事現場みたいな街だなあ」と思ったそうです。ホテルオークラでは5年間、寝る間も惜しんで働き、本格的な砂糖菓子の彫刻を日本で最初に広めました。1968年に独立して、六本木に日本で最初のフランス人パティシエによるフランス菓子の専門店「ルコント」を開業。その後の成功ぶりは伝説に。バブル時代に銀行から「融資するから13億円のビルを買いませんか?」と持ちかけられて、「職人にビルはいらない」とあっさり断り、1999年に68歳の生涯を閉じるまで、菓子職人に徹した人でした。
かつて、六本木のお店にはルコントさん本人がいて、「おいしいよ〜(^O^)o―」などとおどけながら満面の笑みを浮かべて、自らケーキのサンプルを乗せたトレーを持って来てくれたものです。 それでは、店員さんにケーキのサンプルを持って来てもらいましょう。
す…素晴らしい!\(^Q^)/ 何という数の多さ、そして質の高さ。一店舗の洋菓子店として国内ではおそらく並べる店は無いと思います。フルーツは旬のものしか使わないため、夏に苺のケーキはありません。「おや? 夏なのに苺を使ったサントノーレ(左の写真・左上角)とミルフォイユ・オ・フレーズ(左の写真・右下角)がある(?_?)」「ワンダフルハウス様、今年は愛知のいい苺が見つかったので夏でも苺のケーキをお出しできるようになったとシェフが申しておりました」
ん? 右の写真、一番前の列に何かいますよ…(^O^)\
白鳥です!\(^○^)/ 隣りは…(゚o゚)\ ねっ…ねっ…ネズミ!〜(゚0゚) ルコントの2大キャラクターケーキ「スワン」と「スーリー」です。 おっ、カップゼリーが出ましたね。
この缶詰のミカンを並べたようなケーキは… 毎年、夏になると発売されるマドリッドです。「これと…」
「これを全部ください!(^O^)/
「レモンジュース Citron Pressse」(683円)レモネードのことを、フランスではシトロン・プレッセといって、初夏から夏の終わりまで、よく飲まれています。レモンを搾って水で割り、お好みでガムシロップを入れるだけの、このシンプルさとレモンの酸っぱさが、夏のフランス菓子によく合うのです。
このコースターは、アンドレ・ルコント氏がパリで購入したものです。この絵は、アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレック(Toulouse-Lautrec 1864−1901)の「ラ・レビュー・ブランシュ La revue blanche(1895)」ですね。画家であるロートレックが、キャバレーで依頼されて制作した32点のうちの1つです。浮世絵の影響を受け、平板なシルエット、大胆な色彩、そして石版に直接描くスケッチ風のイキイキとした曲線が特徴です 夏向きの清涼感のあるお菓子が運ばれてきました。
「紅茶のパンナコッタ Panna cotta au the」(525円)パンナコッタはイタリア語で、パンナは「生クリーム」。コッタは「煮た」「調理した」という意味。生クリームと牛乳を煮るのが特徴です。これは紅茶のパンナコッタなので、生クリームとミルクティーを煮たものですね。おや? チョコレートの下に何か乗ってますよ(?_?)\ アプリコットの蜜漬けです! その下はタルトの台を砕いたような食感で美味です(^Q^)
食べ進むと、透明なゼリーをクラッシュしたものが現われ、さらにその下には… 香り高いルコントのアールグレイのパンナコッタが姿を現しました。お口の中でとろーりとろけます(^Q^)
ツルツルの食感とミントのスッキリ感が魅力のミルクベースのゼリー「ミントのブランマンジェ Blanc manger au manthe」(525円)をいただきましょう。フランス語では、「ブランマンジェ・オ・マント Blanc manger au menthe」。上のゼリーの部分を食べ進んで行くと…
おっ! 中にぶどうの実が隠れていました!\(^○^)/ 「ブランマンジェ blanc manger」は、冷たいデザートの中では、最も古いものの一つで、フランス語で「白い食べ物」という意味。アーモンドで香り付けした牛乳に甘く味付けし、ゼラチンまたはコーンスターチで固て作るのが特徴です。純白でつやのある美しいババロアです。クールな清涼感と美しい緑色が見事なブランマンジェです。気分転換をしたい時にお勧めです。
続きましては、オレンジゼリーとグレープフルーツゼリーの登場です。 「ジュレ・ド・オランジュ Gelee d'Orange」(473円)
上の方には、ゼラチンで固められたキューブ状のジュレが乗っています。これは固めで味はありません。 下の方には、オレンジの風味が凝縮した柔らかいジュレが。果肉もふんだんに入っています。
「ジュレ・ド・パンプルムース Gelee de Pamplemousse」(473円)グレープフルーツの酸味がさっぱりとしたジュレ。のど越しの爽やかさもさることながら、それと同時に果肉のはじける食感も楽しめます(^Q^)
「マドリッド」(609円)みかんが乗ったババロアです。このケーキは、アンドレ・ルコント氏が築地の市場でみかんを大量に仕入れ過ぎたために、急遽、即興で創り上げたケーキなのです。
現在は、みかんの缶詰を使っています。毎年夏になると発売されるケーキです。 側面に貼り付けてある生地をご覧ください。これこそ「ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール biscuit a la cuillere」です。
現在、お菓子を作る際に一番使われているビスキュイは、「ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール biscuit a la cuillere」といわれるものです。「bis」は「二度」、「cuit」は「焼いた」ということで「二度焼きされたもの」という意味。ヨーロッパでは古代ローマ時代にはすでに乾燥したパンが存在していたと言われています。ビスキュイは、それ以来何世紀もの間、船による長旅や戦場の兵士達の大切な食料だったのです。「cuillere」とは、スプーンのこと。現在では、絞り袋で好みの形に絞って使いますが、この絞り袋が使われるようになったのは今から200年程前のこと。それまでは、スプーンですくって天板の上に置いていたのでした。卵と砂糖、薄力粉で作る素朴なお菓子です。
「ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール」は、お店でも売ってますよ。 「フィンガー・ビスケット」(2100円)やわらかくて、ふわっとした軽い口当たりです(^Q^)
もう1つ夏のケーキを発見しました(^O^)\ 「ベリーニをください!」
「レモンスカッシュ Soda Citron」(683円)これは、先ほどのシトロン・プレッセの炭酸水版です。
「Jane Avril Jardin de Paris」(1896)ロートレックは、キャバレー・ムーラン・ルージュに、毎晩現われては踊り子たちを描き続けました。ジャンヌ・アヴリルは、当時No.1の踊りの名手であり、高級娼婦と外国貴族の間の私生児として生まれた彼女の内心の翳りを、深い人間的共感をもって描いた作品です。 「ベリーニ Belline」(525円)アーネスト・ヘミングウェイ氏の大のお気に入りカクテルを、アンドレ・ルコント氏がお菓子に仕立て上げました。
ロゴ入りのホワイトチョコの下には透明なジュレ… おっ! 白桃です!
「ベリーニ」。 このカクテルの発祥は、ヴェネツィアのハリーズバー。そう、「あの」ハリーズバーです。創業1931年創業の イタリアでも老舗中の老舗バーです。かつては王族や貴族はもちろん、多くの芸術家たちからも愛されていました。 ベリーニは、ルネサンス時代のイタリア人画家ジョヴァンニ・ベリーニ氏の名前に由来したカクテルです。1948年、ベリーニの展覧会をヴェネツィアで行った時の記念に、ハリーズ・バーのオーナー ジュゼッペ・チプリアーニ氏によって作られたカクテルがベリーニなのです。 そしてベリーニは、ハリーズバーをこよなく愛した作家アーネスト・ヘミングウェイによって世界中に知れ渡るほど有名になったのでした。 ハリーズバーのベリーニは、ドライのスプマンテワイン「プロセッコ」を使用します。プロセッコはヴェネト州はトレヴィーゾの銘酒でイタリアのシャンパーニュのようなもの。イタリア人の多くが、オリーブとともにアペリティーボ(食前酒)にプロセッコを飲みます。 そしてキーとなるピーチには季節の白桃を使用します。以前は、毎年白桃のシーズンである6月から8月までしかいただけなかったカクテルでしたが、現在は冷凍技術も進み、一年中ハリーズバーで楽しむことができるようになったのです。 本場ハリーズバーの「ベリーニ」を、アンドレ・ルコント氏がフランス菓子に仕立てた…白桃の美味しい季節に是非お楽しみ下さい。
ピーチカクテルのムースとクリームとジュレ。新鮮な白桃のフレッシュな口あたりと、爽やかなジュレの味わいが長く残ります(^Q^) 「おっ! こんな所に夏物のケーキが…(^O^)\」
「ワンダフルハウス様、そちらのケーキはアントルメもございます」「おおっ! 形が美しい! 両方アントルメでください!」
「ん? よく見るとクロンヌ・ド・マンゴーの右隣りに似たような形のケーキが…(^O^)\」
「おおっ! 形が同じです…((゚o゚:\=/:゚o゚))」
ドームショコラもアントルメでください! それでは、買ったケーキを紹介いたします。まずは、「クロンヌ・ドゥ・マングー Couronne de Mangue」から…
続く

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