わんだふるはうす 聖夜のルコント青山本店に行く
PART2

ブッシュ・ド・ノエル
クリスマス・プディング
フルーツケーキ
anan 1978

”クリスマス前夜に燃やした炉の灰が、その家の守り神になる”という古い言い伝えが北ヨーロッパを中心に各国へ受け継がれています。フランスも例外ではなく、このとき使う薪をかたどった「ブッシュ・ド・ノエル」が生まれたのです。これは、ロールケーキにバタークリームで木の表皮の感じを出し、幸せのフェアリーとされているキノコをメレンゲで作って飾り、さらにツタをからませたり、サンタクロースを添えたりしたもので、今ではフランスのクリスマスケーキとして世界的に知られることとなりました。日本でもフランス菓子店なら、たいていクリスマスには並べていますから、おなじみの方も多いかもしれません。2007年12月24日、ワンダフルハウスは、青山1丁目にあるパティスリー・ルコントとブラッスリー・ルコントで、フランスやイギリスに古くから伝わる素朴で可愛らしいケーキを味わいながら、楽しいイブを過ごしたのでした(^Q^)

大変お待たせしました。ワンダフルハウスが買ったルコントのビュッシュ・ド・ノエルを公開いたします。すべて手作りで、しかも、お渡し当日の朝作るから300台ほどしかできないそうです。1931年生まれのアンドレ・ルコントさんが1968年12月17日に六本木に最初の店を開いてから、この暮で39年目のクリスマスを迎えました。あの頃、本格的なフランス菓子店が無く、開店直後のクリスマスはフランス大使館などからビュッシュ・ド・ノエルの注文が殺到して、てんてこ舞い。いざ出来上がってみると、入れる箱や包装紙が無いのに気がつきました。切羽詰まって靴の箱を手配してみたものの、いくらなんでもと考え直し、ホテルオークラの小野正吉さんに相談したら、箱屋を教えてくれて、拝み倒して一晩で作ってもらったそうです。
開店以来39年間ずっと、店頭で発売しているビュッシュ・ド・ノエルと同じ物をフランス大使館に納め続けているそうです。それでは箱を開けてみましょう… 「ワンダフルハウス君、君にクリスマス・プレゼントを用意したよ。フランス大使館に行ってごらん」「フランス大使館!?(゚O゚)」

わんだふるはうす フランス大使館に行く

広尾橋交差点
2007年のクリスマス・イブ。ワンダフルハウスは外苑西通りを西麻布交差点から天現寺交差点の方へ向かっています。広尾橋交差点を通過。左に「広尾ガーデン」、右に「広尾プラザ」が見えてきました。まもなく、道の左右に”いいもの”が見えてきます。 まずは、左手をご覧下さい…ズンチャッチャ♪〜ズンチャッチャ♪〜…ん?この音楽は?…おおっ! あれは?(^O^)\
あんな所にクマがいました!\(^○^)/
毎年クリスマスシーズンになると、広尾ガーデン入口前にお目見えする「巨大テディベア・バルーン」の登場です。 中に照明が入っていて、ほんのり発光しています。
盛大な音楽を鳴り響かせながら、顔と手を上下に動かしています!(^O^)\
「おっ、クマさんだ!写真を撮ろうぜ」 「はい!チーズ」
ズンチャッチャ♪〜ズンチャッチャ♪〜 ん?道の向こう側からも同じような音楽が…おおっ! あの人だかりは?(^O^)\ 小人のバルーンです!\(^○^)/
毎年クリスマスシーズンになると、広尾プラザ入口前にお目見えする「七人の小人バルーン」の登場です。広尾プラザは、ワンダフルハウス御用達の明治屋広尾ストアーをはじめ、ブティック、雑貨屋、レストランなどが集まった、広尾のランドマーク的な複合ビル。
首と腕を激しく振りながら踊っています!(^O^)\
天現寺橋
先を急ぎましょう。天現寺橋交差点に到着しました。左に見えますのは慶応幼稚舎、右に見えますのは都立広尾病院でございます。ここを左折して明治通りに入ると…
左手にレストラン「アッピア Appia」が見えたら左折。
ワンダフルハウスも御用達のアッピアは、キャンティ飯倉本店を退職したスタッフ達が、古き良き時代のキャンティを再現しようと立ち上げた和洋折衷のレストラン。客のほとんどが有名人です。
このマンションのお隣がフランス大使館です。
フランス大使館 Ambassade de France」に到着しました。
ここには何も無さそうですね(^-^)\ 裏に回ってみましょう。
裏門にも何も無さそうです(^-^)\
2007年 1985年
おおーっ! 目の前にあった盆栽が突然消えて、初期のインゲボルグの服を着た立川ユリさんが現われました!(゚O゚)\ ワンダフルハウスは、ルコントさんの仕掛けたマジックにはまり、1985年代半ばにタイムスリップしてしまったのでした。ユリさんは、ファッション誌の撮影か何かでフランス大使館に来たようです。せっかくなので話しかけてみましょう。
「ユリさん、いつもインゲボルグのワンピースを上手に着こなしてますね」
「ワンピースも、すごく好きなんです。でも、ここ1、2年はスーツもどんどん好きになってます。カチッと仕立てられたテーラードのスーツとか、昔からあるカーディガンタイプの上下を、私なりに優しく、女らしく着こなすのは楽しいことですね」
立川ユリさんといえば、忘れちゃならない存在がデザイナーであり、ご主人でもある金子功さんの存在。金子さんがデザインし、ユリさんが着こなす。この絶妙のコンビ! もともとミスマッチ感覚、着くずしのハウツー、’80年代前半にずいぶんこの二人から教わった人が多かったのですよね。考えてみると。例えばワンピースの着こなし方。それまでワンピースというと、お嬢さんっぽいイメージ、その通りにしか着こなしのできない服といったイメージが強かったものを、ワンピースにソックスとペタンコ靴。あるいはワンピースにGジャンを羽織る。素材のミスマッチを楽しんで、ワンピースをお洒落っぽく着くずす方法も、金子さんとユリさんから習ったものです。
「最初の頃は、ワンピースにGジャンなんて、という眼で見られていたけど、どんどん冒険していいんじゃないかしら。スーツはワンピース以上に固定観念があるでしょ? キャリアウーマン風にカチッと着なければならない風の…。スーツというと男物のイメージが強いけれど、もっと女らしく、ふわっと羽織るような感覚でスーツを着こなせたら最高ですね」
男っぽいイメージのスーツに、すごく女らしい、レースやリボンをあしらったブラウスを合わせる。アクセサリーは、パールやゴールドを派手すぎるくらいたっぷりめに合わせるのが着くずしのコツ。
「胸元に何連にもなったパールのネックレス。初めのうちはジャラジャラ音が気になって落ち着かないし、つけ過ぎたかなぁって思うかもしれないけど、実際着てみるとスーツの男っぽい感覚と相殺されて、ちょうどいい具合になるんですよ」
今回の着くずし方の撮影でユリさんが着てくれたのは、スーツはスーツでも布帛ならぬニット。
「今年(1985年)は、縄編み入りやエンブレム付きの英国調ニットが流行ってるでしょ? やっぱり流行は楽しまなくてはね。だけどニット、英国調というと、すぐにカジュアルに着てしまうでしょ? ミスマッチの感覚で挑戦すれば、何でもないセーターやカーディガンが一番着くずす楽しみが多いのかもしれないわね」
写真のセーターやカーディガンの胸元にご注目。Vゾーンの着崩し方がお洒落のポイントなのです。
そうです、ここフランス大使館裏門は金子系の聖地の一つだったのです。塀の「AMBASSADE DE FRANCE」というロゴの位置などから、ここが撮影ポイントであったと判断しました。盆栽が植えられたことを除けば、22年前と全く変わってませんね。
1985年 2007年
ユリさんが服を着替えて、カメラマンやスタイリストと一緒に撮影場所を移動しました。おっ!(^O^)\ あの赤いカーディガンに付いてる”I”のエンブレムは?…1985年秋物です! この年、ワンダフルハウスも”K”のエンブレムが付いたカールヘルムのカーディガンを買ったのでした。 22年前にユリさんが佇んだ大使館の通用門は、取り壊されて拡張されていました。左右の石塀の形を見比べれば、ここがその場所であったことがわかります。
おっ! ここは?(^O^)\ どうやら無事に2007年に戻れたようです!\(^O^)/
こちらが、1968年の開店以来39年間ずっと、フランス大使館に納め続けているブッシュ・ド・ノエルでございます。店頭で発売しているビュッシュ・ド・ノエルと同じ物をフランス大使館にも納品しているそうです。
そして、皇室御用達クリスマスケーキでございます。
す…素晴らしい!\(^○^)/ これこそ”究極の”ブッシュ・ド・ノエルです!
「ブッシュ・ド・ノエル・オー・ショコラ(アルコール入り) Buche de Noel au Chocolat」(Sサイズ 6300円)フランス製のチョコレートを使ったバタークリームで贅沢にデコレーションした伝統的なブッシュ・ド・ノエルです。ブッシュ・ド・ノエルはフランス語で「クリスマスの薪」という意味。ヨーロッパでは古くからクリスマスの前夜に薪をくべる習慣があり、それがよく燃えると来年の豊作、つまり家族の幸せが約束されるということから、この形になったのです。他にも、貧しい青年が森から薪を切ってきて、恋人にささやかなクリスマスのプレゼントとして贈ったという話もあります。
飾りつけは、前面と上部に集中して施されています。 後ろ側は、ツタをからませるだけのシンプルなデコレーション。
繊細な飾り付けが美しいですね(^O^)\
Joyeux Noel!(^0_0^)/ 私がブッシュ・ド・ノエルの細かいディテールについてご説明申し上げます。ホワイトチョコレートでできたクリスマスカードをご覧ください。フランス語でメリー・クリスマスは”Joyeux Noel(ジョワイユー・ノエル)って言います」
次は私の横にあるヒイラギをご覧下さい。ヨーロッパでは、森の中の全ての木の中でヒイラギは最も高貴な木とされています。ひいらぎの葉はキリストのいばら茨の冠、即ち受難を表わし、赤い実はキリストの血を表わすものとしてクリスマスに飾られるようになりました。クリスマスに教会で飾られたひいらぎを家に飾ると、その部屋は翌年中幸せになるといわれています。 私の前にございますのは、枝分かれした枝の切り株でございます。ブッシュ・ド・ノエルとは、クリスマスの薪(丸太、切り株)」という意味。 フランスには、薪を燃やして魔よけをするという古い慣習があったのです。後にクリスマスに薪を暖炉に入れて燃やす形に変わり、それがさらに薪をかたどったケーキを作る習慣に変わっていったのです。
「ほぅ、本物の切り株みたいに綺麗に仕上がっていますね!(^O^)\」 「ん? このメレンゲでできたキノコは?」「飾りのきのこは繁栄を表わしているのです(^0_0^) 昔の人は、種もまかないのに森にキノコがたくさん育っているのを見て不思議に思いました。なぜ種もまかないのに、何もしないのにキノコが育つのか?…森には精霊がいて、命を誕生させ育んでいるんだと…キノコは幸せのフェアリーとなったのです」
ピンクとグリーンの食用色素で着色したバタークリームで作られた花とツタ。
☆型とクリスマスツリー型のネーム入チョコレート。赤と緑のストライプのリボンには鈴が付いています。
クリスマスツリーに使われる木の代表は、もみの木。常緑樹は春に訪れる生命のシンボル。特にマツ科の常緑針葉樹である、もみの木の枝は十字架のように広がっているので”聖なる緑の木”とされています。
チョコでできた”フタ”を外してみましょう(^-^)o おーっ!(゚O゚)o バタークリームでガードされています!

ブッシュ・ド・ノエル・オー・ショコラがカットされて運ばれてきました。
おおーっ!(゚O゚)\ クリームは全てバタークリームです! 中はビスキュイが4段で、フランボワーズのリキュールがビッショリ染み込んでいます!
フランスの本格ブッシュ・ド・ノエルといえば、バタークリーム。保形性に優れているので、生クリームだけのデコレーションよりも、ゴージャスでコクのある仕上がりになります。このバタークリームは、卵黄が入らないイタリアンメレンゲタイプ。安定した気泡を含んでおり、ふんわり軽い味わいのクリームです。卵黄が入らない分、着色しやすく、デコレーションに大変適しています。しかし、最近の日本では、バタークリームのブッシュ・ド・ノエルは意外に売ってないのです。古臭いイメージなのか、あまり人気がないみたいですね。
ワンダフルハウスが毎年ルコントのブッシュ・ド・ノエル・オー・ショコラを買い続ける理由は、このフィヤンテーヌが忍ばせてあるからです。サクサクした食感がクセになるのです(^Q^) ワンダフルハウスのノエル・デセールの第一弾は、「ブッシュ・ド・ノエル・オー・ショコラ」。
エスプレッソと共にいただきましょう。
現在の主流がムースタイプの軽くてフワフワしたケーキだとしたら、ルコントのブッシュ・ド・ノエル・オー・ショコラは、正反対にどっしり重く、思いきり甘く、チョコレートらしい濃厚さを存分に味わえます(^Q^) この「酒あり」タイプは、「酒なし」タイプに比べて1000円程高い分、ビスキュイにはフランボワーズのリキュールをたっぷり染み込ませてあります。華やかなデコレーションより、実質的な美味しさを重視し、流行に左右されず、味覚の幅をもっと拡げたいと願う食通に食べてほしいお菓子です。
フィヤンテーヌのところからいただきましょう。
16世紀フランスの修道院で生まれた焼き菓子「フィヤンテーヌ」は、小麦粉を薄くのばして焼き上げたもの。フィヤンテーヌにプラリネメゾン(自家製プラリネ)を加えることによって、アーモンドの味と香りを加えています。マジで美味です!(^Q^) ルコントのブッシュ・ド・ノエルは、何種類あるのでしょうか? パティスリー・ルコントに舞台を移しましょう。
続く

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