わんだふるはうす、ルコント青山本店に行く

シブースト

現在でこそパティシエ・ブームなどと言われ、日本のフランス菓子界は隆盛を誇っていますが、その本格的な発展の歴史はまだ半世紀に満ちません。1964年の東京オリンピックに合わせて開業したホテルオークラに総製菓長としてフランスから招聘を受けたアンドレ・ルコント氏は1968年、東京・六本木にフランス菓子専門店「A.ルコント」をオープンさせます。これが日本に正統的なフランス菓子を普及させる大きな第一歩となりました。後に「フランス料理アカデミー日本支部」を設立するなど、フランス菓子のみならずフランス料理の発展にも大きな貢献をした偉大なシェフが開いたこの店をワンダフルハウスが訪れました。表面をキャラメリゼして焦げた砂糖の甘味と苦味を楽しむお菓子「シブースト」を紹介いたします。

「こんにちは!(^O^)/」「これはこれはワンダフルハウス様…」「予約していたケーキを受け取りに来ました」
「おおっ!これです!(^O^)\ 洋梨とカスタードのキャラメルがけのケーキ、シブーストです」 「ワンダフルハウス様が予約されましたシブーストは、こちらでございます」「ん?(^-^)\」
「こ…これは凄い!(゚O゚)\
ルコントがオープンして40年以上経ちますが、シブーストのアントルメがショーケースに並べられたのは今回が初めてです。
このアントルメは、1989年にアンドレ・ルコント氏が洋菓子本に載せるためにたった1回だけ作ったものを、前田秀幸シェフに再現していただいたものなのです。
「焼き色も綺麗で見事なシブーストです!(^O^)\」
シブースト
(アントルメ)
特注品
「飴です!表面に飴が張ってあります!(゚O゚)\
グラニュー糖をふりかけてバーナーで焼くと、このようにカラメル色の飴になるのです。
パータ・フォンセ(練り込みパイ生地)にフランソースと呼ばれるアパレイユを流して焼いたタルト台の上に、クレーム・シブーストというクリームを流し、表面をカラメリゼしたのがシブーストです。
「ワンダフルハウス様、お紅茶でございます」「おっ(^-^)\」
ルコント・ブレンドティー
525円
ダージリン・スリランカ・中国茶をブレンドしたオリジナルティーです。
シブストがカットされました。
歴史的に見ると、クレーム・シブーストはクレーム・パティシエールにイタリアン・メレンゲを混ぜることで、お菓子を軽くする第一歩になった画期的なクリームなのです。
1840年頃、パリの菓子職人シブースト氏が考案したアントルメが「クリーム・シブースト」と呼ばれ、当時の人々の評判になりました。
それから百数十年後の1971年、パリのベッケル菓子店(既に閉店)で修行していた吉田菊次郎氏(ブールミッシュ)は、古い文献からシブースト氏の作品を取り上げ再現しました。この「タルト・シブースト」が当時パリで賞賛され、同じものが他店でも作られるようになったのです。オリジナルはパイ生地に卵、生クリーム、砂糖を合わせたクリームと、バターでソテーしたリンゴを乗せて、その上にカスタードクリームにゼラチン、ムラング(メレンゲ)を合わせたクリームを乗せ、表面をカラメル状に焼き上げたものです。
翌1972年、ルコントでの3年間の修業を終えた島田進氏がフランスへ渡り、ベッケル菓子店で働き始めます。

クレーム・シブースト
洋梨入りアパレイユ
パータ・フォンセ
↑底から↑
シブースト
Chiboust
578円
つまり、ルコントのシブーストは島田シェフが帰国してルコントに戻ってから作り始めたケーキだったのです(゚O゚)\
「プティガトーのカラメリゼは薄めですね(^-^)\」 「断面はアントルメと同じです」
「洋梨のリキュール(ウィリアム・ポワール)でマリネした洋梨が出てきました」
「プティガトーの飴は薄いですね」
「おーっ!アントルメの飴は厚い!(゚O゚)\
薄いパイ生地の上には、卵黄と生クリームと洋梨を混ぜたアパレイユ。
「これがクレーム・シブーストです。クレーム・パティシエール(カスタード・クリーム)にイタリアン・メレンゲを混ぜたフワッフワの軽いクリームです(^Q^)
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