フランス菓子 Maison Wenikoの四季

2011年3月
梅のマカロン

日本で春の花といえば梅や桜ですが、フランスではミモザが春を楽しむ花として親しまれており、2月末に「Borme les Mimosas」(ボルム・レ・ミモザ)というミモザ祭りが行われます。コートダジュールやプロヴァンスなど、地方によって日にちが違いますが、地中海地方では春の訪れを告げるミモザの花が今真っ盛りといったところでしょう。この時期、世界的に3月8日は「国際女性デー」として広く知られています。1908年にアメリカで社会党が女性の参政権を求める運動を起こしたのがきっかけで1910年に制定されました。イタリアでは「フェスタ・デ・ラ・ドンナ」(女性の日)と言われていて、男性が妻へ、恋人へ、母へ、そして職場の女性へ、感謝の気持ちを託してミモザの花を贈る慣わしがあります。2011年は「国際女性デー」の3月8日が「Mardi gras  マルディグラ」(肥沃な火曜日、謝肉祭の最終日、灰の水曜日の前日)。翌日は「Mercredi des Cendres メルクルディ・デ・サンドル」(灰の水曜日。キリスト教で四旬節の始まる日)。昔はこの日から「Paque パック」(復活祭)までは肉を食べないで精進したと言われています。この頃になるとフランスの人達はもう春もそう遠くないと考えるようになります。地方ではマルディグラの頃に『Carnaval カルナヴァル』が行なわれ、いろんな話題を耳にします。そしてマルディグラにもシャンドルールと同じようにクレープやベニエを焼く習慣があるようです。偕楽園の梅が見ごろを迎え、マルディグラ&ホワイトデー直前の3月1週目、フランス菓子職人「紅子(Weniko)さんのお店フランス菓子 Maison Weniko」をワンダフルハウスが訪れました。

2011年3月第1週

わんだふるはうす、メゾン・ベニコに行く

「常磐線の車窓から偕楽園の梅が見えた!(^O^)\」 「水戸に着きました」
「こんにちは!(^O^)/
「私がワンダフルハウスです。春の訪れを告げる梅の開花シーズンが到来しました。日本屈指の観梅スポット 水戸の偕楽園では、今年もたくさんの梅の花が咲き誇っています。2月20日からは恒例の『梅まつり』も開催されています」
今年で115回を数える『水戸の梅まつり』。偕楽園には100品種3000本もの梅が植えられていて、様々な品種があるため『早咲き』『中咲き』『遅咲き』と長期間に渡り観梅を楽しむことができます」
「フランス菓子店メゾン・ベニコも偕楽園に並ぶ水戸屈指の観光スポットに成長しつつあるようです」
1年中、その季節の旬のフルーツを使ったコンフィチュールが咲き誇っているのです」
「おおっ!? 梅のマカロンがありますよ!(^O^)\」
マカロン
735円(3個入)
「現在発売中のマカロンは、ショコラ&梅&フランボワーズの3種類を詰め合わせてあります。真ん中の白いのが梅マカロンです」
マカロン梅
梅マカロンにサンドされたクリームには、和歌山県ばんじろう村の無農薬の梅をコンフィチュールにしたものと、バタークリームを合わせてあります
「このコンフィチュールは昨年9月に紅子シェフから直接購入したもので、梅マカロンにはこれと同じものを使ったそうです。隣のルバーブのコンフィチュールは長野県で無農薬のルバーブだけを作っている農家から仕入れて作ったそうです。これは夏のルバーブで、11月頃にも冬のルバーブができるとか。昨年はアメリカ品種のルバーブを使用しましたが、今年はフランス品種で作ろうと思っているそうです」
「素晴らしく美味です!水戸土産には最適です!(^Q^)」
「マカロン・フランボワーズは、パティシエ・シマの島田進シェフ直伝。ジャン・ミエ氏が1979年に来日して講習会で作ったものがベースになっています」
「外はサックリ、中はモッチリ!フランボワーズ風味のバタークリームがサンドされている極めて古典的なマカロンです(^Q^)」
マカロン・ショコラもパティシエ・シマの島田進シェフ直伝。1980年代半ばに銀座にオープンしたアンドレ・ルコント氏のレストラン「ル・トゥーカン」で出していたものです。
「外はサックリ、中はモッチリ!ガナッシュがたっぷりサンドされている極めて正統的なマカロン・ショコラです(^Q^)」
「おおっ!? バラのマカロンもありますよ!(^O^)\」
「4個入には、てんとう虫が付いています!(^O^)\」
「ほぅ、てんとう虫はフランス語でコクシネールといって、幸せを運ぶといわれているのか(^-^)\」
マカロン・ローズ
350円
1500円(4個入)
「ローズ風味のマカロンにフランボワーズ風味のガナッシュをサンドしてホワイトチョコでコーティングしたものですね
「これはダブルチョコマカロンのホワイトチョコ版です!(^Q^)
これがバレンタインに引き続き発売中のマカロン・オ・ショコラ・ドゥーブル…ダブルチョコマカロンです
こちらはマカロン・ショコラをビターチョコレートでコーティングしたノワール・タイプ
こちらはマカロン・ショコラをミルクチョコレートでコーティングしたラクテ・タイプ。ダブルチョコレートマカロンは、どちらか1種類だけが日替わりで並んでいるようです
「おおっ、マカロンの皮だけ売っていますよ!(^O^)\…マカロンラスク!?(゚O゚)
「普通のマカロンに比べると、硬くてカリカリしています! コンフィチュールやビターキャラメルをサンドして食べると美味です!
「おおっ!? 新作コンフィチュールも揃っていますね!(^O^)\」
「愛媛県の柑橘専門店『完熟屋』から届いた、はるかいよかんを使ったコンフィチュールが並んでいます。左の写真、大きいのが春香で、小さいのはレモンです」
「春香は、ほとんど酸味を感じません。まろやかな甘さです!(^Q^)
「こちらは春香と伊予柑のブレンド。完熟屋の伊予柑は樹上熟成しているため、味に深みがあります(^Q^)」
「メゾン・ベニコのスペシャリテとなった感があるビターキャラメルのペースト。昨年12月の開店当初はミルクキャラメルもありましたが、こちらの方が圧倒的な支持を受けたために、ミルクキャラメルは姿を消してしまいました」
「いちご、いちごとパッションフルーツ、いちごとミントと黒胡椒、いちごとミントとピンクペッパー…苺のコンフィチュールはこれで出揃った感じがしますね(^-^)\」
これは茨城県産の苺を使った『いちごとミントと黒胡椒』のコンフィチュールですが…よく御覧ください…縦4分の1にカットされた苺が、そのままの形を残しながら半透明になっていて、トローンとした液体に包まれています! これがフェルベール流なのでしょうか!?(゚O゚)
「フェルベール式コンフィチュールの製法の神髄を見極めようと、『いちご』『いちごとミントと黒胡椒』のコンフィチュールの製作過程を見せていただきました」
「うーん…私にはわかりません」
「しかし、Wenikoシェフは今までの日本のフランス菓子界の大御所たちが築き上げてきたレベルを、ゆうゆうと越えて行けるセンスの持ち主であることはわかりました。このフェルベール式 苺のコンフィチュールを使って、ガストン・ルノートル氏のフレジェを再現してもらいましょう」
オーボンヴュータン
「宮本さん(Wenikoシェフのこと)なら知ってるよ。最高じゃないですか」と語るのは、オーボンヴュータンの河田勝彦シェフ。
「なるほど、河田シェフはWenikoシェフが西麻布のル・スフレで修業していた頃のことを御存知でしたか(^-^)\」
Vallee des fraises
ヴァレ・デ・フレーズ
プティ・ガトー 570円
アントルメ 2280円
オーボンヴュータン
オーボンヴュータンのヴァレ・デ・フレーズ(苺の谷)。このタイプのガトーを世間ではフレジェと呼んでいるようですが、ルノートルでは「バガテル Bagatelle」と呼んでいました。オリジナルは緑のマジパンを載せるのです。
名前の由来は、パリのブローニュの森の中にあるバガテル公園で、その緑の森とバラ園を表しているのです。キルシュが効いたクリームの中に半分に切った苺を縦に並べて、切り口が薔薇に見えるようにし、上には緑のマジパンを草をイメージして飾り、’80年代のルノートル・ジャポンのバガテルにはチョコメダルが飾ってあったような気がします。
「このタイプのガトーは、表から見た苺の断面が肝心なので、ぶっちゃけた話、裏側の苺の見栄えはどうでもいいのです」
「では、ルノートルのフレジェとは一体どのようなガトーだったのか? この苺のコンフィチュールを使って、ルノートルの廃番アントルメを鮮やかに蘇らせてもらいましょう」
続く

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