フランス菓子 Maison Wenikoの四季

2011年4月
島田進の苺のポワソン・ダブリル Weniko風

フランスでは4月1日を「Poisson d'Avril ポワソン・ダブリル(4月の魚)」と呼びます。この日、子供達は紙の魚を何匹も作って学校に持って行き、先生や友達の背中にそっと貼り付けて、背後で密かに笑う日なのです。家でも家族みんなの背中に紙の魚を貼り付ける悪戯が許される楽しい日というわけです。そして、春分の日を過ぎて初めての満月の次の日曜日はパック。今年は4月24日です。この時期はパックの時期とも重なるので、街中のパティスリーやショコラティエやブランジュリーには、魚の形をしたショコラと一緒に、卵の形をしたショコラもたくさん並びます。2011年4月1日、Maison Wenikoで、パティシエールWenikoの2011 Haute Poisson d'Avril Collections (2011オート・ポワソン・ダブリル・コレクション)が開催されました。

2008年3月29日

ポワソン・ダブリル
上 ルコント(ショコラ)
中 ルコント(クレーム・ダマンド入りフィユタージュ)
下 パティシエ・シマ(ショコラ)
1980年代初頭からルコントやルノートルのブティックに出入りしていたワンダフルハウスは、当時からフランスのポワソン・ダブリルという風習を知っていました。2008年のこの日、青山1丁目の今は無きブラッスリー・ルコントにルコントとパティシエ・シマのポワソン・ダブリルが大集合しました。

2009年4月1日

左 バンド・タルト・オー・スリーズ
右 タルト・ポワソン・ダブリル・オー・フレーズ
共に特注品
製作 島田進
2009年からはオート・パティスリー化して、パティシエ・シマの島田進シェフにポワソン・ダブリルを特注。1970年代のフランス料理店のアントルメの味が再現されました。製作されたバンド・タルト・オー・スリーズとタルト・ポワソン・ダブリル・オー・フレーズは、現在の菓子群とは比べ物にならないほどお酒が効いていました。

2010年4月1日

Tarte Poisson d'Avril du japon
タルト・ポワッソン・ダブリル・デュ・ジャポン
特注品
製作 島田進
2010年は古い文献の中のポワソン・ダブリルに注目。
Feuillete des Mers du Japon
フィーユテ・デ・メール・デュ・ジャポン
製作 アンドレ・ルコント
1981年
Tarte Poisson d'Avril du japon
タルト・ポワッソン・ダブリル・デュ・ジャポン
製作 島田進
2010年
社団法人 日本洋菓子協会連合会の機関誌「ガトー」1982年2月号でアンドレ・ルコントさんが製作した料理を、島田進さんに菓子で再現してもらいました。
このスーパー・ポワソン・ダブリルは2台製作され、カットするのに相応しい人物が2名選出されました。
1台目をカットするWenikoシェフ 2代目をカットする藤森二郎シェフ
当時、Maison Wenikoを開店準備中だったWenikoシェフと、ビゴ東京藤森二郎シェフです。
「これがルコントさんから教わったというクロスして切る切り方か…これは凄い!(゚O゚)\
「おーっ!苺の水分を吸わせるためのビスキュイ・ダマンドの層があります!(゚O゚)\

2011年4月1日

わんだふるはうす メゾン・ベニコに行く

2011年4月1日、ワンダフルハウスがポワソン・ダブリルをオーダーしたパティスリーは、もちろんMaison Wenikoです。
「トトトトトトトトーン♪ こんにちは、私がワンダフルハウスです。これよりメゾン・ベニコの2011オート・ポワソン・ダブリル・コレクションを開催いたします」
「昨年のスーパー・ポワソンをカットしたWenikoシェフは、果たして今年、どんなポワソン・ダブリルを見せてくれるのでしょうか?」「Wenikoシェフは、島田進さんが一昨年作った形(つまり私と同じ形)で、苺を使って作ると語っていました。私の予想ではフェルベールさんのスタイルを強く押し出しながらも、島田さんやルコントさんのエスプリも漂わせてくると思います
パティスリー・フランセーズ・アンドレ・ルコント青山本店
2008年3月29日
「Wenikoシェフのポワソン・ダブリルを披露する前に、昨年9月に閉店したルコントのポワソン・ダブリルとパックの様子を振り返り、日本に初めて本格的なフランス菓子を紹介したアンドレ・ルコント氏の功績を称えたいと思います」「ショーケースの上にポワソン・ダブリルがいるぞ!」
「これがルコントのポワソン・ダブリルです。ガレット・デ・ロワを魚の形にしたものですね」
Poisson d'Avril
ポワソン・ダブリル
2100円
パティスリー・フランセーズ・アンドレ・ルコント青山本店
2008年3月29日
Carpe de Mai
カープ・ド・メイ
2100円
ブラッスリー・ルコント
2007年5月2日
「ルコントではポワソン・ダブリル(4月の魚)の1ヶ月後、ゴールデンウィークの時期にはカープ・ド・メイ(5月の鯉)がありました。ポワソン・ダブリルは鯖で、カープ・ド・メイは鯉のぼりの鯉というわけです。カープ・ド・メイもガレット・デ・ロワと同じクレーム・ダマンド入でした」
「おっ、ポワソン・ダブリルの隣に何故かイースター・エッグが!?(^O^)\」「ポワソン・ダブリルの時期はパック(イースター)の時期とも重なるので、魚のショコラと一緒に、卵のショコラもたくさん並んでいます。フランスではパック前日の真夜中に全国の教会の鐘がバチカンへ飛んで行くといわれ、その際に家々の庭にチョコレートを落としていくという言伝えがあります。子供たちにとってパックの日曜日の朝は、さながら宝探しの様相を呈して、庭や室内のあちこちに隠されているチョコレートを探して大はしゃぎというわけです」
「これは何だ!? ゆで卵の殻に絵が描いてありますよ?(゚O゚)\」「これこそ本物のイースター・エッグです。イースター・エッグとは復活祭の休日もしくは春を祝うための、特別に飾り付けられた鶏卵なのです。現代ではチョコレートで作られた卵で代用するようになってきましたが、このように染めたり塗ったりした鶏卵(ゆで卵)を使うのが本来の姿です」
Gateaux de nid paqes au chocolat
ガトー・ド・ニド・パック・オ・ショコラ
630円
Gateaux de nid paqes mocha
ガトー・ド・ニド・パック・モカ
630円
パティスリー・フランセーズ・アンドレ・ルコント青山本店
2008年3月29日
「ショーケースの中にガトー・ニドが! こちらはアントルメをカットしたものです(^O^)\」
Gateaux de nid paqes au chocolat
ガトー・ド・ニド・パック・オ・ショコラ
578円
パティスリー・フランセーズ・アンドレ・ルコント青山本店
2008年3月29日
「こちらはガトー・ニドのプティ・ガトーです(^O^)\」
Gateaux de nid paqes mocha
ガトー・ド・ニド・パック・モカ
Gateaux de nid paqes au chocolat
ガトー・ド・ニド・パック・オ・ショコラ
パティスリー・フランセーズ・アンドレ・ルコント東京ミッドタウン店
2007年3月31日
「ルコントのガトー・ニドはモカとショコラがありましたね(^-^)\」
「私が思い出すのは東京ミッドタウンがオープンした日のことです。マダム・ルコントがGIORGIO ARMANIのジャケットをサッと脱ぎ捨てて、『さぁ、皆さん、六本木にルコントが戻って来ましたわよ』と第一声を上げられたのと同時にお客さんがワーッと集まって来て…その時、2階でWenikoシェフがcuisine francaise JJのシェフ・パティシエールとしてデビューしていたのでした」
「その日は3月末ということで、運の良いことにガトー・ニドがありました」
ルコントのガトー
パティスリー・フランセーズ・アンドレ・ルコント東京ミッドタウン店
2007年3月31日
「ルコントが無くなって以来、ガトー・ニドを売っているお店を知らないなぁ」
Gateaux de nid paqes mocha
ガトー・ド・ニド・パック・モカ
Gateaux de nid paqes au chocolat
ガトー・ド・ニド・パック・オ・ショコラ
パティスリー・フランセーズ・アンドレ・ルコント東京ミッドタウン店
2007年3月31日
「パックの巣篭もり卵を模したお菓子 ガトー・ニドの登場です」
「おおーっ!(゚O゚)\ 中はビスキュイが3段でクリームは全てバタークリームです! モカはコーヒーの香りが漂うビスキュイにコニャックを染み込ませてあります。ショコラはココアのビスキュイにフランボワーズのリキュールをビッショリ染み込ませてあります!」「基本的にパックのガトー・ドゥ・ニド・パックとノエルのビュッシュッ・ド・ノエルは同じ構成なのです。ガトー・ニドは巣篭もり卵を、ビュッシュは薪の形をしているというわけです」
「モカからはラムレーズンが、ショコラからはフランボワーズのコンフィチュールが姿を現しました!」「このような酒を食べさせるフランス菓子は姿を消してしまいましたね」
ブラッスリー・ルコント
2007年3月31日
Ecrevisse en chocolat
エクルヴィス・アン・ショコラ
ザリガニのチョコレート
ルコント
「東京ミッドタウンのルコントがオープンした日、青山一丁目のブラッスリー・ルコントにはパックとポワソン・ダブリルのショコラが並んでいました。復活のシンボルの卵、繁栄を象徴するウサギ、雌鶏などがあります 」「これはデクルヴィッス・アン・ショコラ…ザリガニのチョコレートなのでポワソン・ダブリル用ですね」
Poisson d'Avril en chocolat
ポワソン・ダブリル・アン・ショコラ
背開き(大)
2500円
ルコント
「おおっ!? チョコレートでできた魚の背中が開いていますよ?(゚O゚)\」
「中にドラジェやキャンディーやオレンジピールが詰まっています!(^O^)\」
イースターチョコレート
巣ごもり(M)
2100円
ルコント
イースターチョコレート
巣ごもり(L)
2620円
ルコント
「ニワトリのチョコレートはパック用です。卵からヒナが孵るのは生命の復活の象徴。その卵を産むメンドリは生命の象徴とされており、パックのシンボルなのです」
イースターチョコレート
うさぎ親子(M)
3675円
ルコント
「これはLapin de Paques(ラパン・ド・パック)。英語ではイースター・バニー、日本語では復活祭のウサギです。多産のウサギも生命の象徴とされており、卵と共にパックには欠かせないシンボルになっています」
Poisson d'Avril en chocolat
ポワソン・ダブリル・アン・ショコラ(大)
ルコント
「な…何だ!?…この魚は!?…で…でかい!!(゚O゚)\」
「おおっ!?こんな所にアマンド・ショコラとノワゼット・ショコラが!(^O^)\」
「ん?スーパーで売ってるような安っぽいお菓子が混ざってますよ?(゚-゚)\」「これはアソート・ボンボン…左はシトロンやフランボワーズやカシスのキャンディー、右はヘーゼルナッツとリンゴ風味のチョコレート・キャンディーです。安っぽいのは自家製ではなくて、フランスから輸入した品だからです。まぁ、こういうのは子供向けのオマケですね」
Oeufs de Paques en chocolat
ウー・ド・パック・アン・ショコラ
ラトリエ・ド・シマ
「これを見て私は、ラトリエ・ド・シマでイースターエッグを買った時のことを思い出しました」
「高級な自家製ショコラにはあまりにも不似合いな、輸入品のチープなフランボワーズ・キャラメルが付いてきて、こんなところにもルコント氏の伝統が受け継がれているな、と関心したものです」
Poisson d'Avril en chocolat
ポワソン・ダブリル・アン・ショコラ(大)
ルコント
「日本におけるチョコレートのポワソン・ダブリルの最高峰の登場です。値段は忘れてしまいました。確か5250円か6300円位だったと思います」
「赤やグリーンの色使いが美しいですね(^-^)\」
Poisson d'Avril en chocolat
ポワソン・ダブリル・アン・ショコラ
2100円
ラトリエ・ド・シマ
「パティシエ・シマのポワソン・ダブリル・ショコラは、ルコントのに比べると、かなりスリムで、シャープな印象を受けます」「これはサンマに似ている!(^O^)\」
Poisson d'Avril en pate feuilletee a la frangipane
ポワッソン・ダヴリール・アン・パート・フィユテ・ア・ラ・フランジパーヌ
2100円
ルコント
「ルコントの閉店によって、現在の日本では絶滅してしまったポワソン・ダブリルのスタンダードが再び姿を現しました」
「私たちポワッソン・ダヴリールがお伝えしたいのは、1年の始まりのフランス菓子はガレット・デ・ロワではなくて、ガトー・カランドリエとガトー・パッケだということなのです」
Gateau calendrier
ガトー・カランドリエ
(カレンダーケーキ)
6300円
ルコント
「日本では全く知られていない正月用のガトー・カランドリエ(カレンダーケーキ)。フランス人は年末に買って正月に食べます。日めくりカレンダーの『1』の部分とバラの花はマジパン(Marzipan)で作られています。マジパンとは、アーモンドに煮詰めたシロップを加え、糖化(再結晶化)させたものを細かく砕き、ペースト状にしたもの。 粘土細工のように着色し、花や果物、動物などを作ることができます。上の茶色い部分は板状のプラリネです。プラリネとは、ヘーゼルナッツやアーモンドのペーストにカカオバターを加えたもの。中はジェノワーズとへーゼルナッツのバタークリーム。日めくりカレンダーの下はジェノワーズとチョコレートのバタークリーム。板状のプラリネやマジパンをかぶせて、中のスポンジやクリームの水分を保護するという1960年代以前の古典的な製法を見ることができる日持ちのする非常に重いガトーでしたが、ルコントの閉店と共に絶滅してしまいました」
Gateau paquet
ガトー・パッケ
(ガトー・パッケージ)
4725円
ルコント
「ジェノワーズとグランマルニエ風味のバタークリームとチャイナリンゴをパータ・シガレットで包んだガトー・パッケ(ガトー・パッケージ)。かつてパリのサン・ジェルマン通りにあったPatisserie Jean Marrel(パティスリー・ジャン・マレル)のスペシャリテでした。オーナーシェフのジャン・マレル氏はフランスにおけるガトーのコンクールに度々入選した優秀な職人で、フランスで毎月発行されている婦人雑誌『FEMMES』の1973年5月号にも、パリ市内における菓子界の一流技術者として紹介されたこともある革新的な仕事をした職人でした。ビニールの無かった時代、空気の乾燥しているフランスでは、焼いたスポンジの水分をいかにして保護できるか様々な努力がなされました。パータ・シガレットで菓子を保護する手段から、飾って洗練させるための道具へと進化したガトー・パッケ。それは1960〜70年代における菓子の技術革新の産物だったのです」
「ガトー・カランドリエやガトー・パッケをちょうど食べ終わった頃の1月6日に売られるのがエピファニーのガレット・デ・ロワというわけです」
Galette des rois
ガレット・デ・ロワ(L)
5250円
ルコント
「どっしりと重たいジェノワーズとバタークリームが使われ、非常に濃厚なガトー・カランドリエやガトー・パッケにそろそろ飽きてきた舌に、シンプルであっさりとした焼きたてのガレット・デ・ロワが、ことのほか新鮮で美味しく感じる…これがフランス菓子の神髄なのです」
「ところで、さっきからいい匂いがしないか?」「おい、みんな、あれを見てみろ!」
「イチゴだ!」「大粒と小粒のがあるぞ」
「少しの痛みも傷もない…美しく完璧な形をしている」「ちょうどよく熟しているね」「朝市で購入したとして、収穫後、数時間以内といったところだろうか」
「小粒のは砂糖漬けにしてあるよ」「わかった!このイチゴはコンフィチュールにするんだ」「あれを見てみろ!浸透圧でイチゴの繊維が壊れて水分が出てるぞ。つまりイチゴの果汁を引き出し、果汁と一緒に煮ることで、余分な水を加えることなく100%イチゴの味を生かしたコンフィチュールを作ろうというわけだ」
「あのパティシエールは何を作っているんだ?」「苺のタルトだ!」「俺たちと同じ魚の形をしてるぜ!」
島田進の苺のタルト・ポワッソン・ダヴリール Weniko風
特注品
「あれはイチゴのポワソン・ダブリルだ!」
島田進の苺のポワソン・ダブリル Weniko風
特注品
製作 Weniko
メゾン・ベニコ
2011年
苺のポワソン・ダブリル
特注品
製作 島田進
パティシエ・シマ
2009年
「確かにこのポワソン・ダブリルは私のスタイルを模しています」「おおーっ、似ている!」
「みんな、これを見てみろ!」
「ミントとピンクペッパーだ!」
茨城産いちごとフレッシュミントとピンクペッパーのコンフィチュール
Confiture fraises de Ibaraki a la menthe fraiche et au poivre rose
1050円
「あのコンフィチュールと同じ組合せだ!」
「あれを見ろ!苺の上にコンフィチュールがたっぷり塗られていて、フィユタージュの上に溜まってるぞ!」「下の層からクレーム・パティシエールがはみ出してきている!」「あれが苺とミントとピンクペッパーのコンフィチュールなのだろうか?」「味見してみようぜ」
「苺とミントの味はするけど、このコンフィチュールには、ほんの少しだけど辛味があるね」「ピンクペッパーというのは、胡椒の実ではなくて、はぜの木科の実だから辛味は無いんだ」「だとすると、この僅かな辛味は?…わかった!」
茨城産いちごとフレッシュミントと黒胡椒のコンフィチュール
Confiture fraises de Ibaraki a la menthe fraiche et au poivre noir
1050円
「苺とミントと黒胡椒のコンフィチュールだ!」
Tarte Poisson d'Avril aux fraises a la menthe fraiche et au poivre noir
タルト・ポワッソン・ダヴリール・オー・フレーズ・ア・ラ・モント・フレーシュ・エ・オ・ポワヴル・ノワール
苺とミントと黒胡椒のタルト・ポワソン・ダブリル
特注品
「島田進の苺のポワソン・ダブリル Weniko風…それは苺とミントと黒胡椒のポワソン・ダブリルだ! ピンクペッパーは表面の飾りだけだよ!」
「いや、それだけじゃないぞ。この複雑な味わいは何だろう?…わかった!フランボワーズのコンフィチュールも混ざってるんだ!」
「苺のタルトにフランボワーズのコンフィチュールを使うのはアンドレ・ルコント氏のスタイルなのです」
タルト・オー・フレーズ
5250円
ルコント
「タルト台の中にフランボワーズのコンフィチュールの湖を作り、その湖に苺を浮かべる…それがルコントのタルト・オー・フレーズでした」
タルト・オー・フレーズ
3675円
パティシエ・シマ
タルト・オー・スリーズ
2940円
パティシエ・シマ
「その伝統はパティシエ・シマのタルト・オー・フレーズやタルト・オー・スリーズに受け継がれています」
タルト・オー・フレーズ
420円
パティシエ・シマ
タルト・オー・スリーズ
367円
パティシエ・シマ
苺には苺のコンフィチュール、スリーズにはスリーズのコンフィチュールの方が合いそうな気がするのですが…酸味の強いフランボワーズのコンフィチュールを使うことによって、苺+苺のコンフィチュール、スリーズ+スリーズのコンフィチュールよりアクセントの強い味を作り出すことができるのです
「これは刺繍入りのハンカチですか?」「それはWenikoシェフの友人で、アルザス在住の画家WeRoさんが、メゾン・ベニコの母の日のために制作したランチョンマットです(^-^)\」「実は私も画家を目指していたのです」
「あれはプラムケーキですか。あれをいただきましょう」「あいつ、フルーツケーキを買ったぞ!」
「ちょっと、待ってください。あなたは先ほどプラムケーキとおっしゃった。しかし、このケーキにプラムは使われていないのですよ」
「表面に飾られているドライフルーツ&ナッツ類はアプリコット、オレンジピール、クランベリー、アーモンドの4種類です」
「中に入っているのはラムレーズンとオレンジピール」
「御覧の通りプラムは使われておりません。それでもあなたはこのケーキをプラムケーキとおっしゃいますか?」「メゾン・ベニコのフルーツケーキはプラムケーキです」「あいつ、プラムを知らないんじゃないか!?」
「プラムケーキ、プラムケーキって言うけど、君はプラムを食べたことはあるのかい?」
Tartelette aux pruneaux
タルトレット・オー・プリュノー
プラムのタルトレット
315円
ルコント
「これはタルトレット型にサブレ生地を敷いて、クレームダマンドと一緒に入れて焼いたものだけど、プラムって、こういうものだよ「それはタルトレットだから、初心者にはわかりにくいかもしれない」
Pruneaux glacee
プリュノー・グラッセ
プラムグラッセ
3360円(8個入)
ルコント
「君、これを見たまえ」
プラムグラッセ
3360円(8個入)
ルコント
「これが本当のプラムというものだよ」
プラムグラッセ
ルコント
「これはフランスで一番高級な干しプラムといわれているアジャン産のプリュノー『Pruneau d'Agen』(プリュノー・ダジャン)を使った『Pruneaux Glacee』(プリュノー・グラッセ)だよ。プラムの中にアルマニャック酒を効かせたプラムのピュレを詰め、マロングラッセのように仕上げたものだ」
Agen
アジャン
262円
パティシエ・シマ
「フランス南部、ガロンヌ川河畔に位置するアキテーヌ地域圏の都市『アジャン』のプラムといえば有名だよね。プラムを使った特産品もいっぱいあるよ」
アジャン
パティシエ・シマ
「これはプリュノー・ダジャンをパン・ド・ジェーヌの中に詰めて焼いた、その名も『アジャン』という地方菓子さ」
Cake aux fruits
ケーク・オー・フリュイ
フルーツケーキ
ルコント
「ルコントのフルーツケーキには、御覧の通り、プラムが入っています」
Cake aux fruits
ケーク・オー・フリュイ
フルーツケーキ
パティシエ・シマ
「パティシエ・シマのフルーツケーキにもプラムが入っています」
「つまり、私たちの店のフルーツケーキにはプラムが入っているのでプラムケーキといえるのですが…」「君はプラムが入っていないフルーツケーキまでプラムケーキだと言うのか!」「世界中どこでも、その国特有のフルーツを入れ、お酒を使ったこの種のケーキがありますが、フルーツケーキは英国では元々の古い呼び名をプラムケーキといっていたのです」
プラムケーキ
メゾン・ベニコ
「これは何ということでしょう!プラムが入っていないメゾン・ベニコのフルーツケーキも、どうやらプラムケーキと呼んでも差し支えないようです。そもそもフルーツケーキとは何なのでしょうか?」
ルコント六本木店
1969年1月
「フルーツケーキの話を始めるならば、六本木にルコントがオープンした頃まで遡らなければなりません。1968年の秋から冬にかけて、東京の街角にはユニオンジャックがはためき、英国が日本への輸出振興をかけて開いた『英国フェア』が華やかに開催されていました。都内の各デパートでは、英国商品の特別売り出し合戦が始まり、一方では『伝統と発展の英国展』『人間チャーチル展』『オックスフォード、ケンブリッジ展』など、数多くの展覧会が催され、サッカーやラグビーの記念試合、競馬レースなども行われました。さらには赤い2階建てのロンドン名物のバスまで繰り出して、当時の東京の街角には英国の全てを紹介するという英国熱が漂っていました」
「その頃の東京で、フランス菓子店は他にどんな店があったのですか?」「ルコントの近くにはクローバーとランペルマイエがあったな」
クローバー六本木本店
港区六本木7-15-10
1968年 2007年
「クローバーも当時からフランス式の折りたたみパイを作っていました。アップルパイ、アーモンドパイなどのポピュラーなパイの他に、パイ皮とスポンジカステラと林檎が3層になった“編みパイ”(60円)があった。今にして考えればリンツァートルテの洋菓子版だったんだと思うけど、当時のはビスキュイ・ダマンドとは呼べない…スポンジ・カステラですね」
ランペルマイエ和泉家
1968年
港区西麻布1-7-5
「15年位前に廃業してしまいましたが、かつて麻布霞町にあった和菓子の名門 麻布和泉家の洋菓子部『ランペルマイエ和泉家』でもフランス菓子を作っていました。フランス式パイは、一般的に小麦粉の持つグルテンを出し切るのですが、ランペルマイエのは時間をかけながらグルテンを出さない折りたたみ式のパイを作っていましたね。アップルパイ、チーズパイ、バルケットなんかがあったなぁ」
ドンク東京店
1968年
渋谷区神宮前5-51
ドンク青山店
1973年
港区北青山3-6
「ドンクは本格派のフランスパンの店として、当時から東京の人にもおなじみでした。パイ皮にチーズ、魚、肉などを組み合わせたパテというパイ料理も1人前100円で売ってましたよ。クレーム・ダマンドを用いたパイではピチビエ、コンベルサッシオン、ジャルジーが既にありました。1個60円〜80円位だったかな」
「ええと…何の話をしていたんでしたっけ?…ああフルーツケーキと1968年に東京で開かれた英国フェアか…歴史の古さと共に、愛される王室、スコッチウィスキー、ウール、確立された議会制度と社会保障の国など、英国という国が充分理解されたところで、英国の人たちが育ててきた代表的なお菓子『フルーツケーキ』も紹介されたのです。当時からプラムケーキは日本ではフルーツケーキといって親しまれ、洋菓子屋さんでも細長いものをセロファンでくるんで、リボンをかけて売っていました」
フルーツケーキ
パティシエ・シマ
「プラムは日本では西洋すももと訳されていますが、梅酒のこともプラムワインといって売っているように、たいへん広範囲に使われています」
フルーツケーキ
メゾン・ベニコ
「古くは干し葡萄のこともプラムといったらしく、プラムケーキといった場合は、中に入れる果物の総称のように使われたのでしょうか」「なるほど。ラムレーズンもプラムというわけか」
フルーツケーキ
ルコント
「洋菓子の歴史を辿っていきますと、お菓子は昔は祝祭日に神前に供えるために作られたとあります。旧約聖書にも、これに関した記事があり、一番初めのお菓子は、乾燥して糖化した果物類を練り合わせ、黒い蜂蜜や卵を加えて作っていたようです。当時は1年間にできるそれぞれのフルーツを12種類集めたともいわれています」「1年間にできるフルーツを12種類集めたですって!?(゚O゚)\」
フルーツケーキ
ルコント
「ルコントのフルーツケーキには12種類以上のフルーツが入っていたことは確実です!(゚O゚)\」
フルーツケーキ
ルコント
「プラムケーキに配合される果物はマラガレーズン、サルタナレーズン、カラント(いずれも英国に産する)などの葡萄類の他、アーモンド、オレンジピール、レモンピール、チェリーなどが加わります。普通はこれにラム酒が入りますが、スペインの有名な大辞典『エスパサ』には、コニャックやキルシュも配合されたとあります。これらのことから考え合わせますと、果実酒は古代から僧院で造られ普及したものですから、プラムケーキも僧院などの祝い菓子だったことも頷けましょう」
「またケーキという言葉は、16世紀にオランダ語のケック(kek)が英国に入り、ケーク(cake)に変わってできたと言われていますから、プラムケーキも昔からあったフルーツのお菓子がだんだんに変化改良され、この頃からケークの形に近いものになったのではないでしょうか」
「洗練された料理と、数々の美味しいお菓子を自慢にしている隣国のフランス人は、自国のお菓子を他の国に紹介することはあっても、他の国のお菓子が逆にフランスに入ってきて広まったものはないといわれるほど自信を持っていました」
フルーツケーキ
パティシエ・シマ
「ところがプラムケーキだけは例外でした。フランス人はプリュムケック(plum cake)をたいへん好み、ケックアングレーズ(イギリス風ケーキ)、または単にケックといえばプラムケーキのことを指し、喫茶店のテーブル上には、他のケーキはなくても、プラムケーキが一切れずつセロファンで包まれ、きれいに篭に盛って置かれています。ここではたいていチェリーがまるごと入っていて、切り口に見える赤いチェリーが印象的です。美食でならしたフランス人も、このお菓子だけは、その古い伝統と共に、高い価値を認めざるをえなかったのでしょう」
「プラムケーキは先に述べたような色々な果物を細かく刻んで、2〜3種類の良質の洋酒に10日から長くは2〜3ヶ月漬け込んだものを、バター、砂糖、卵、小麦粉などと合わせて型に入れて焼き上げます」
「果物がたくさん入るので生地がたいへん重く焼きにくいのですが、時間をかけて焼いているうちに、果物から滲み出た成分が、ぶどう糖や果糖の消化しやすい糖分と良質のリキュールのようになり、ハチミツにも似てたいへん美味しくなります」
「焼き上げてから2〜3日経つと、風味がさらに加わって格別です」
スペシャル・チョコレート・ケーキ
パティシエ・シマ
「私がショコラショーを飲みながら食べていたパティシエ・シマのスペシャル・チョコレート・ケーキはプラムケーキなのでしょうか?」
Cake au chocolat special
スペシャルチョコレートケーキ
3150円
パティシエ・シマ
「あれはチョコレートとお酒の香りが半端じゃありません! 〜〜(゚Q゚)\「パティシエ・シマのスペシャル・チョコレート・ケーキはプラムケーキのチョコレート版です」
Cake aux fruits
フルーツケーキ
262円(カット)
パティシエ・シマ
Cake au chocolat special
スペシャルチョコレートケーキ
262円(カット)
パティシエ・シマ
「フルーツケーキはドライフルーツをネグリタラム酒に、スペシャル・チョコレート・ケーキはドライフルーツをグランマルニエに漬け込んでいます」「フルーツケーキは、赤や緑のドレンチェリーが目立ちますが、スペシャル・チョコレート・ケーキにドレンチェリーは入っていないようです(゚-゚)\
Cake au chocolat special
スペシャルチョコレートケーキ
262円(カット)
パティシエ・シマ
「これはオレンジピール、レーズン、ドライポム(リンゴ)、ドライフィグ(イチジク)が入ったグランマルニエ風味のチョコレートプラムケーキです」「やはり、プラムが入っていなくてもプラムケーキなのか。しかもプラムケーキのショコラ版まで存在するとは凄い!(゚O゚)\

「英国では結婚式やクリスマス、誕生日のお祝いにプラムケーキを最上のものとして食べる習慣があります」
クリスマス・プディング
ルコント
英国大使館特注品
「英国大使館のご夫人たちのお話によりますと、本国では毎年11月から12月の初めになると、クリスマスの用意にこのケーキを作ります。クリスマスプレゼントには、これを切って、銀紙にくるんでリボンをかけて持って行きます」「25種類を超える材料を6種類の最高級リキュールに数年漬け込んだですって!(゚O゚)\
クリスマス・プディング
ルコント
「各家ごとに、中に入れるものや焼き方の違いから味には特徴があり、ミセスは自分の腕前を披露します。美味しいかどうか心配になったり…自信を持ったり…。もちろん町では既製のものを売っていますから、忙しい人は間に合わせることもできますが、何と言っても市販のケーキは工場生産ですから、味が一般的です。買って間に合わせるのは恥ずかしいとばかり、特別美味しい自家製のケーキ作りに精を出します」
クリスマス・プディング
ルコント
「ブルーの炎が!」「これがクリスマス・プディングのフランベか…」「綺麗だねぇ…」
クリスマス・プディング
ルコント
「この時のプラムケーキはリッチフルーツケーキと呼ばれるくらい、ミックスフルーツの量が粉の目方の4倍近くも入っていて、卵と粉はフルーツ類のつなぎ程度にしか入っていません。それに赤砂糖とブランデー、ミックススパイス類が入り、ケーキの生地の色もダークブラウンで、いかにも重くずっしりと目が詰んでいます。焼き上げるのにも、ゆっくりと2時間ぐらいはかかり、ちょうど日本のういろうのように、ねっとりとした感じになります。焼き上げてからブランデーを表面に振り、アルミ箔に包んで半月から1ヶ月ほど寝かしておきます。その間に、中の果物が熟成発酵して、日と共に風味が増してきます。1ヶ月も経つと、くどくない良質のリキュールのようになって、爽やかな味わいとなるのです」
マジパン・コーティング・フルーツ・ケーキ
パティシエ・シマ
特注品
製作 島田進
フォンダン・アイシング・フルーツ・ケーキ
パティシエ・シマ
特注品
製作 島田進
「プラムケーキはまた、ウェディングケーキにも使われます。日本で結婚式をなさった英国大使館員のご夫人は、英国の友人にその日のプラムケーキを小さな箱に入れて送られたそうです」
続く

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