フランス菓子 Maison Wenikoの四季

2012年水戸聖霊降臨祭菓子祭

Festival des gâteaux de Mito pour la fête de la Pentecôte Jeudi 31 mai 2012 au “T's Garden”

「こんにちは、私がワンダフルハウスです。私にとって聖霊降臨祭といえばコロンビエというフランス菓子とグスタフ・マーラーの交響曲第8番『千人の交響曲』を思い浮かべます。マーラーの『第8交響曲』は1919年9月12日ミュンヘンにて初演されました。9世紀初頭のラテン語の精霊降臨祭の賛歌『来たれ創造の主たる聖霊よ』をテキストとした神への賛歌である第1部と、ゲーテのドイツ語の戯曲『ファウスト』の最終場面から人間救済を歌った第2部が併置されているマーラー最大の作品です。一方、コロンビエというフランス菓子ですが、私が昨年Maison Wenikoにオーダーしたコロンビエ・ア・ラ・リュバルブにはWenikoさんの師匠であるクリスティーヌ・フェルベール氏の影響が色濃く見受けられました。クリスティーヌ・フェルベール氏のコンフィチュールや菓子には、20世紀初頭にドイツで生まれた芸術運動である『ドイツ表現主義』の特徴が見られます。感情を作品中に反映させて、デモーニッシュと言えるほど人間の内面性を強く打ち出してくる表現主義は、音楽、絵画、文学、心理学、映像、建築など様々な芸術分野において、外観を描写するフランスの印象主義へのアンチテーゼとしてドイツとオーストリアで発展しました。表現主義の全盛期にドイツに占領されていたアルザスから、1世紀も経った現在、コンフィチュールと菓子の分野で表現主義的なものが復活してきたのは興味深い現象です。私はこれを『アルザス表現主義』と名付け、今後の推移を見守っていくことにしました」

2012年5月第5週

わんだふるはうす、聖霊降臨祭から4日後のメゾン・ベニコへ行く

今年の聖霊降臨祭は5月27日。5月中旬からWenikoシェフが関西方面へ出かけていたので休業明けの初日にコロンビエを予約しました…「おお!やってる!やってる!(^O^)\」
「これはこれはワンダフルハウス様…Café allongéをどうぞ。本日はコロンビエを2台とロゼ・ドゥ・ノエルを御予約でございましたね。ロゼ・ドゥ・ノエルを御存知の日本人がいらっしゃるとは…恐れ入ることでございます」
「私は今まで様々なタイプのブッシュ・ド・ノエルを食べてきました。デザイン的に一番印象に残っているのはルノートルのカジノをブッシュ仕立にしたものです。しかし、今日Wenkoシェフに作ってもらうフェルベール流ローズ・ド・ノエルは、それを超えてしまうと思います」
「おおっ! あれは!?(^O^)\」
「プレツェルン? 焼き菓子の新作を発見しました!(^O^)\」
Bretzel
ブレッツェル
157円
「クグロフと並んでアルザス表現主義派を代表するお菓子『ブレッツェル』です。これはサブレ生地で、ゆで卵の黄身を練り込んでサクサク感を出し、国産レモン果汁と茨城県産ピーナッツを使っているそうです」
「昨年の革命記念日に限定発売されたタルト・リンツァーが定番商品に格上げされています!(^O^)\」
Tartelette Linzer
タルトレット・リンゼール
420円
「オーストリア銘菓『リンツァー・トルテ』。これもまたアルザス表現主義派を代表するお菓子です。リンツァー・トルテが種入りフランボワーズのコンフィチュール(Confiture de framboises avec pépins)を使うのに対し、今日作ってもらうローズ・ド・ノエルは種無しフランボワーズのジュレ(Gelée de framboises sans pépins)を使います。フェルベールさんの話によると、意外なことにリンツァー・トルテはフランボワーズの旬の初夏に作るものではなく、秋冬に作るお菓子とか。フレッシュなフルーツの時期を通り越してしまった時にこそ、作り置きしたコンフィチュールが活躍するからだそうです。ローズ・ド・ノエルも本来はノエルに作るお菓子ということになります。では、フランボワーズの旬の時期に作るフェルベール流タルトとはどのようなものなのか? それは、これから訪れるT's Gardenさんの庭のフレッシュ・フランボワーズを使って来月作ってもらいましょう」
Charity brownie au chocolat
チャリティー・ブラウニー・オ・ショコラ
300円
「売り上げの100%を茨城県災害対策被害本部に寄付してしまうとは凄い!(゚O゚)\」
コンフィチュール
大 1050円
「5月のコンフィチュールは苺の赤と柑橘の黄色…見事に二分されています!(゚O゚)\」
ビターキャラメル キウイ
「左端はビターキャラメルとキウイの指定席。一年を通して置いてある定番商品です」
ネーブルといちご ネーブルといちごとエピス
「和歌山県産ネーブルオレンジに茨城県産の苺を合わせた新作が登場しました」
いちごとパッション いちごとキウイ
「『いちごとパッション』は去年もありましたが、『いちごとキウイ』は新作です」
いちごとスパイスと水戸のはちみつ いちごとミントと黒胡椒 いちご
「『いちごとスパイスと水戸のはちみつ』はWenikoシェフの自信作とのこと」
ネーブル 金柑と花梨とハチミツ 日向夏とハチミツ
「左が新作の『ネーブル』です!」
いちご ネーブル
「『いちご』と『ネーブル』がマリアージュして、『ネーブルといちご』と『ネーブルといちご エピス風味』が誕生したわけですね」
はるかと水戸のハチミツ はるかと柚子 たんかん
「愛媛県産のはるかとはるみと清見オレンジとデコポンと伊予柑、高知県産の文旦、鹿児島県屋久島産のたんかん等等…国産の柑橘類のコンフィチュールが単一品種でこれほど豊富に揃っているのはメゾン・ベニコだけでしょう」
はるみと猿島の紅茶 清見オレンジ 清見オレンジとカルダモン
「私は茨城県産猿島(さしま)の紅茶を使った『はるみと猿島の紅茶』のコンフィチュールに衝撃を受けて、今年のポワソン・ダブリルはネーブルオレンジと猿島の紅茶を使って作ってもらいました」
「おおっ!? 小瓶のコンフィチュールをお立ち台にした白いふたのコンフィチュールは!?(゚O゚)\」
Confiture d'Orange navel de Wakayama et au chocolat bio et aux épices
コンフィチュール・ドランジュ・ネーブル・ドゥ・ワカヤマ・エ・オ・ショコラ・ビオ・エ・オゼピス
和歌山県産ネーブルオレンジとオーガニック・ショコラのコンフィチュール エピス風味
2100円
「『ネーブルオレンジ エピス風味』のコンフィチュールにオーガニック・チョコレートを加えたスペシャル・コンフィチュールです!(゚O゚)\」
三色マカロン
(フランボワーズ、ショコラ、パッション)
735円
「3色マカロンの新作はパッションフルーツですか(^-^)\」
文旦チョコレート トリュフ
(パッション、フレーズ)
「パッションとフレーズのトリュフは新作です! 文旦チョコレートは、私が先月のパックに特注した文旦とアニスとカルダモンのアニョー・パスカルに使った高知県産の文旦を自家製でピールにしたものにミルクチョコレートをかけたものです」
コンフィチュール
小 630円
「小瓶のコンフィチュールが増殖して、棚まで占領してきました!(゚O゚)\」
たんかん たんかんとパッション
「最近では小瓶でしか作らない新作もあるので、小さいコンフィチュールも見逃せないのです」
ネーブルとたんかんと文旦
「小サイズ限定の新作を発見しました! 『ネーブル、たんかん、文旦』…和歌山、鹿児島、高知の柑橘連合軍です!(゚O゚)\」
Gateau basque aux hoshiimo
ガトー・バスク・オー・ほしいも
3675円
「スペシャリテのガトー・バスク・オー・干し芋も健在ですね(^-^)\」
「しかし、メゾン・ベニコの神髄は、カウンターの上の日替わり菓子のコーナーにある、と言っても過言ではないでしょう」
ベイクドチーズケーキ
420円
「昨年の4月に発売されたベイクドチーズケーキ。2種類のクリームチーズとサワークリームをブレンドして、しっとり濃厚に仕上げてあります」
ベイクドチーズケーキ
420円
2011年4月
「チーズケーキにしては珍しく、オレンジリキュールなど3種類ものお酒を使ってあります」
「私は今まで様々なタイプのチーズケーキを食べてきました。一番美味しかったチーズケーキは、日本で初めてフロマージュ・ブランを使ったガストン・ルノートルのシュース・オー・フリュイ・ルージュでした。しかし、歴史的に見て、“世界最高のチーズケーキ”と呼べるものは、レストラン・ドゥ・ラ・ピラミッドでアーガー・ハーン3世やジャン・コクトーのようなフェルナン・ポワンとマダム・ポワンの特別な客だけが食べることができたタルト・オ・フロマージュただ一つでしょう。これもフロマージュ・ブランを使ったものでしたが…」ワンダフルハウス様、フロマージュ・ブランを使ったタルト・オ・フロマージュの新作がございます」
Tarte au fromage blanc alsacienne
タルト・オ・フロマージュ・ブラン・アルザシエンヌ
420円
フロマージュ・アルザシエンヌでございます」「おお!ルノートルのシュース・フリュイのように種入りフランボワーズ・コンフィチュールの層がある!(゚O゚)\」
「ワンダフルハウス様、Wenikoシェフが来月Schuss aux fruits rouges de Lenôtreをお作りしますと申しておりますが…」「それは素晴らしい! ただし、オーボンヴュータンの河田勝彦シェフが『古くて新しいフランス菓子』で見せてくれた1970年代のガストン・ルノートルのルセットを守ること…いいですか、底がパータ・シュクレでコンフィチュール・ド・フランボワーズの下にショコラ・ノワールの層がある’80年代のルセットではダメなんですよ…そして表面には苺ではなく、季節の赤いフレッシュ・フルーツを使うこと」
Panna cotta à la vanille avec gelée de melon d'Ibaraki
茨城県産メロンゼリーとパンナコッタ
472円
Gelée de nada orange et vin blanc
灘オレンジと白ワインゼリー
472円
「さらに対比をとるためにアントルメをもう1台…クリスティーヌ・フェルベールのフロマージュ・ブランとフランボワーズのタルトをキルシュ風味で…T's Gardenさんの庭のフランボワーズを使って作ってもらいましょう!(^O^)/」

ローズ・ド・ノエルに合わせるソースを作ろう

Confiture de coings à la rose
コンフィチュール・ドゥ・コワン・ア・ラ・ロゼ
花梨 バラ風味のコンフィチュール
1050円
2011年12月発売
「実は今日のために温存しておいた『花梨 バラ風味のコンフィチュール』を持って来たのですが、このコンフィチュールを洋酒で溶いてローズ・ド・ノエル用のソースを作ってもらいたいのです」「本日で賞味期限切れでございますね。かしこまりました」
Soirée de Noël le Dimanche 25 Décembre 2011 au “T's Garden”
「『花梨 バラ風味のコンフィチュール』は、T's Gardenさん邸で開催されたソワレ・ド・ノエル2011で、メゾン・フェルベールで同時期に修業したLe fruit de l'auroreの筒井桃子さんのコンフィチュールと共にMaison Wenikoの12月の新作コンフィチュールとして紹介されたものです」
花梨 花梨 エピス風味 花梨 バラ風味
「『花梨』と『花梨 エピス風味』のコンフィチュールは濃い紫色なのに、『花梨 バラ風味』のコンフィチュールだけローズ色なのは不思議ですね(゚-゚)\」
花梨 バラ風味のコンフィチュール
「果肉の入らない液体状のコンフィチュールはローズ・ド・ノエルのソースにピッタリです!(^O^)\」
「ワンダフルハウス様、ロゼ・ドゥ・ノエル用のソースが完成しました」「おおっ!? ラベルにバラの花の絵が描かれたあの洋酒は!?(゚O゚)\」
「ジルベール・ミクロ社のバラの花びらから抽出したエキスをベースにした、色鮮やかなリキュール・ド・ロゼでございます」
「製造元のジルベール・ミクロ社は、アルザス地方オー・ラン県、ヴォージュ山麓のラプートロア村にある小さな蒸留業者でございます。家内工業的規模で職人気質に徹しており、手造りといっていい生産を行っています」
リキュール・ド・ローズは、バラの花びらから抽出したエキスをベースに、魅惑のローズカラーを実現したリキュールです。高貴な芳香と深紅のバラ色を特徴とし、ローズの女王と証されるフランス最高の魅惑のリキュールです。その高貴な風味と気品は、カクテルとして、製菓用として魅惑の世界へ誘う不思議なリキュールです。
続く

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