もてる女

売れないぼくの服を夢中でほめてくれたやさしさにホレました。

そりゃ、会った時、感じのいい人っていうのが一番いいですよ。愛嬌があって、明るい感じの人。見ていてこちらがホッとなごむ感じがするでしょう。ブスッとしている人、これ、イヤですねえ。でも、ぼくの場合、昨日、イヤと思っても、ふっと好きになっちゃうことありますよ。仕事をがんばってやっている姿なんか見ちゃうとね。他人を意識しないで、何かに打ち込んでる姿って、すごくステキにみえるでしょ。それにぼくは、一度、その人がよく見えると、少々のことじゃくずれないって自信があるのね。「私は美人よ」と思わないことも大事だよ。そういう人って顔が生意気になってくるんだ。いつも謙虚な気持をもってるってことは、その人を美しくみせてくれるものだね。
ユリと知りあった20年も前は、ぼくなんか全然売れてなかったんだけど、彼女はぼくの服をすごくほめてくれたんだよね。うれしかったですよ。偉い人に認めてもらううれしさ以上に、1人の売れないモデルに認めてもらったことは、ぼくの心の励みになった。平凡だけど、そんな女のやさしさって、いつまでも忘れないね。

アンアン1984年5月25日号「もてるためのHOW TO  男にもてない理由。」より

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