アンアン1982・4・23(No.329)
金子功 パリでいいものみつけた

表紙は金子さんとケンゾーさんの2ショット。PART1はケンゾーさんの家を訪ねて対談のあと、金子さんはパリの街へ――。次々とお気に入りの店を紹介。PART2はパリでみつけた服とピンクハウスの服をコーディネート。圧倒的な写真と文章の量は金子ファンにとっては1000号を超えるアンアンのバックナンバーの中で最大のものだろう。その内容の濃さは「金子功のパリ絵本」といってもいい。なお、「金子功のパリでいいものみつけた」は1984年版も作られた(アンアン1984・12・28/1985・1・4合併号 No.460)。

PART1 素敵なブチック、レストラン、人たち
撮影ARMADILLO
12ページ
データはすべて1982年当時のものです 
店名 住所 電話番号 金子さんのミニ・コメント
KENZO 高田賢三の太陽のような笑い顔はパリで出会える最高に”いいもの”である。
蚤の市 蚤の市に行って感激する度合が他人(ひと)より大きいかもしれない。 若かった時代、映画や写真でしか西洋骨董を見られなかった、あの憧れがあまりに強烈だった。
FITZGERALD 9 RUE DU CYGNE 75001 PARIS 236−1392 男もののいい店が、とても気になるし、よく目につく。 パリは女の買いものの街、と言われたのはひと昔まえの話だ。
OPOX RAPAX 12 RUE DE LA FERRONNERIE 75001 PARIS 261−9076 レ・ア―ルの手編みセーター屋。英国やオーストリアから仕入れる素朴ないいもの。
HEMISPHERES 22 AV DELA GRANDE ARMEE 75017 PARIS 755−6186 新しくデザインされたものは置いていない。品のいいオーソドックスなおしゃれなのだが、あの”ニュートラ”とは決定的にちがう。なぜこんなにもエミスフェ―ルが好きなんだろう。
MONSIEUR RENARD 6 RUE DE L’ECHAUDE 75006 PARIS 325−7072 シャネルの前の時代の大御所、ポール・ポワレの、あるいはそのもっとずっと昔の―――綾絹(タフタ)とレースの裾長の服。人形屋に、おしゃれの歴史がある。
AUX MUSES D’EUROPE  64 RUE DE SEINE 75006 PARIS 326−8963 パリのアンチック屋ほど心の躍る場所はない。古い服、装身具(アクセサリー)、色褪せた造花まで買いたくなる。
SORELLE ART DECO 12 RUE DE L’ECHAUDE 75006 PARIS 633−5941 黒しか着ないような大人の女。年季の入った完璧なおしゃれをごく無造作にしてのける、そんな女が行くアクセサリー屋。
PULCINELLA 10 RUE VIGNON 75009 PARIS 742−5723 プチネラも、蚤の市と同じにパリへ行ったら必ず訪ねる所。カウンターにいる、いかにもフランス女的なマダムが好きだ。
花屋 サンジェルマンの市場の隣に花屋がある。ハッとするような色の大輪の花が咲き誇っている。
LE SOUK DE BUCI 5 RUE DE BUCI 75006 PARIS 329−3350 カゴ、貝、海綿、インドなどのスカーフ。下町の近くの、ごちゃごちゃに売る店なのだが……。
DUTHILLEUL&MINART 14 RUE DE TURBIGO 233−4436 レ・アール界隈はもと市場だった、その名残でいまも面白い店がある。そこでナプキンを買う。
LE RELAIS DE VENISE 271 BOUL PEREIRE 574−2797 7時に開く店だが、毎日6時半頃から行列ができる。延々と待って美味いものを食べる、この意欲。この店のステーキはとびきりおいしい、焼き方はセニョン(レア)に限る。
カフェ・ドゥ・フロール
カフェ・ドゥ・マゴ
2軒並んだ大きな有名なカフェ。どちらに入るか迷うのも楽しみのひとつ。俳優が来てるかな?(金子さんはカフェ・ドゥ・マゴのほうが好き)
CHANEL 31 RUE CAMBON−75001 PARIS 261−5455 ガブリエル・シャネルがここで生きて、ここであの素晴らしいデザインを創った。彼女は恐らく自分自身にいちばん似合う服をデザインした。服も生き方もパリ一番に魅力的であろうとした。パリにはシャネルがいた。いまも、いてほしい。
ブチックの店員
SONIA RYKIEL…HELLEN
AGNES B…DAIDO
BLITZ…CHRISTIANNE
いい服を売っている店にはやっぱりいい女が働いている。店にぴたりの粒選りの女たち。ひとりひとりが個性的な魅力を持っていて、生き生きと忙しそうな瞬間がとくに美しい。
公園 サンジェルマン・デ・プレの市場の近く、カフェ・ド・フロールの裏のほうに小っちゃなまるでロータリーくらいの公園がある。涙が出るほど好きな場所だ。
PART2 パリでいい服みつけた
構成・金子功 撮影・ARMADILLO モデル・くればやし美子 ヘア・CATHERINE(Mod’s Hair)
9ページ
データはすべて1982年当時のものです 
店名 住所 電話番号 金子さんのミニ・コメント
手編みのセーター FREEGO 61 RUE DAUPHINE 75006 PARIS 354−9854 サンジェルマン・デプレの裏通りで、木綿の少しやぼなセーターを見つけた。海のある田舎に行きたくなった。
蚤の市のセーラー(古着) 蚤の市CLIGNANCOURT 小生意気な若い水兵の着た古いセーラー服を、現代女が粋に着ている。
胸あてのジーンズ Billy Bonny 3 RUE DE BUCI 75006 PARIS 326−8882 だぼだぼのデニムのパンツで気楽人間たちがパリを歩き回る。ドタドタと”ぶす”に見えたりはしないのが偉い。
カラフルなジャンパー BLITZ 18 RUE DU FOUR 75006 PARIS 354−5997 晴れた夏の海の色をジャンパーにしてある。強い赤は照りつける太陽か、または熱烈なおしゃれ精神の象徴?
モロッコのカゴ y’atout 30 RUE DE BUCI 75006 PARIS 326−9698 気のむくままに出鱈目に色を合わせたような原始的なカゴ。その中に暖かな陽光がいっぱい詰まっている。
ルビーのアクセサリー REMINISCENCE 22 RUE DE FOUR 75006 PARIS 633−3261 血の色のルビーと青い海は嘘のようによく似合っていた。パリのニセ宝石、遠い国の民芸調スカート……。
ケンゾーのフリル JAP 3 PLACE DES VICTOIRES 75001 PARIS 236−5686 彼をコットンの魔術師と命名するパリの感覚もやはり鋭いと思う。
アンチックのブラウス AUX MUSES D’EUROPE 64 64 RUE DE SEINE 75006 PARIS 326−8963 こういうものがある店に入ると、パリに来てよかった、と思う。こういうものを大切に着るパリ女が好きだ。
ハゲハゲの革ジャンパー BLITZ 結局のところパリ人は流行に弱いのだ。が、流行を自分式にこなす。

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