わんだふるはうす、パティシエ・シマに行く

カジノ(フロンビエール)

フランスの古典菓子「カジノ」。聞き慣れない名前のお菓子です。カジノで使われるルーレットの台をイメージしたユニークなデザインのケーキ。ルコントでは「フロンビエール」という商品名で、昔から販売していましたが、2003年頃を最後に生産終了になるなど、国内の老舗フランス菓子店から次々と姿を消し、現在では絶滅が危惧されています。2007年6月のある日、フランスの伝統菓子を大切にし、その技術を伝えるパティシエ・島田進さんのお店「パティシエ・シマ」をワンダフルハウスが訪ね、「カジノ Casino」を古典的なスタイルで創っていただきました。

ここは「日テレ通り」。この写真では見えませんが、右手に地下鉄有楽町線・麹町駅の出入口があります。あの信号を右折すると… 前方に「ラトリエ・ド・シマ」が見えました(^O^)\ おっ!「パティシエ・シマ」はトラックの陰に隠れてしまいましたね。
パティシエ・シマに到着しました。「こんにちは!(^O^)/ ケーキをください!」
おっ、クラフティ・スリーズがありますね。6月はサクランボの季節。「クラフティ・スリーズをラトリエで食べていきます!(^Q^)/」 ブランシュ? これは初めて見ました(^O^)\ 「これもください!」
それからリコッタと紅茶のムースも。
おおっ! こっ、これは…(^O^)\ ゲゲゲの鬼太郎の目玉おやじです!\(^○^)/ カジノもください! ラトリエ・ド・シマに注文したケーキが運ばれてきました。
「カジノ Casino」(420円)この渦巻き模様は、「なると」にも「年輪」にも見えますが、どちらでもありません。カジノとはフランスの古典菓子で、基本的には黒すぐり(カシス)ジャムを巻いたスポンジをカットしてババロアに乗せたものです。島田シェフは形をドーム型のプチガトーにしたことで、鬼太郎のお父さんのような可愛いケーキが出来上がりました。
おっ! よく見たら、後ろの方にも小さな渦巻きが…上下左右に角度を変えても表情が変わっていてとても素敵です。
中身はクラシックにバニラのババロアでしょうか? キルシュが効いたババロアの中にパッションフルーツが入っていました。
紅茶のムースをアイスダージリンティーを飲みながらいただきます。 「アイスダージリンティー」(420円)ヒマラヤ山系の高地で作られたインドのダージリン紅茶。スリランカのウバ紅茶、中国のキームン(祁門)紅茶と共に世界三大紅茶の一つです。高貴で洗練された香り、後味にキレがあります(^Q^)
「紅茶のムース」(420円)アールグレイの香りが漂ってきました〜(^Q^) 数ある紅茶の中でもアールグレーは香りに耐久力があるので、ケーキの中に封じ込めても香りが持続するそうです。
「アールグレイ Earl Grey」は、紅茶の産地の名前ではありません。「Earl」は「伯爵」、「Grey」は人の名前で、「グレイ伯爵」という意味なのです。 中国やセイロンなどのタンニンの少ない茶葉にベルガモットで香り付けしたもので、古典的なフレーバーティーの一つです。1830年代、中国に外交使節として滞在していたイングランドのグレイ伯爵が、中国で聞いた紅茶に着香する製法をロンドンの紅茶商ジャクソン社に教えたことから始まりました。ジャクソン社は研究に研究を重ね、アールグレイを発売したところ大ブレーク。当時「香りにおいて並ぶものなき絶品」とまで高い評価を受けました。イギリス王室をはじめ、デンマーク、オランダ、スウェーデンの王室からも用命を受け、ジャクソン社は、このアールグレイの発売によって一気に紅茶商としての地位を確立したのでした。
紅茶のムースが見えました。アールグレイの葉っぱを熱した牛乳に入れて色を出し、シノワで漉して、溶きほぐした卵黄、ゼラチン、生クリーム、イタリアンメレンゲを順番に混ぜ合わせて作ったものです。ミルクティーをイメージして、紅茶ムースの真ん中には無糖のシャンティを詰めてあります。底と側面のゼノワーズにも紅茶のシロップが塗ってあります。淹れたてのアールグレイにグラニュー糖を溶かし込み、粗熱を取ってからドイツ製の紅茶リキュールTiffinを加えたものです。 アールグレイの香りづけに使われるベルガモットの精油は、小さなオレンジに似た実から抽出します。柑橘系の中でもデリケートで温かみがあり、爽快感をややフローラルにした甘い香りで、アロマテラピー効果もあります。清々しい気分で次のケーキをいただきましょう。
「ブランシュ Blanche」(420円)Blancheは、フランス語で”白”を意味します。その名の通りの白く美しいケーキ。オクタゴン(八角形)の上にドームが乗った個性的な形ですね。風水で八角形(オクタゴン)は中間の形。八角形は8つの方向に広がる形…つまり宇宙の形であると言われています。八方位に気を配り、エネルギーを引き寄せ、守りを置いて身を守ることができると言われています。日本でも昔から八は末広がりで縁起がよいと言われてきました。キリスト教の教義では、8は霊魂の再生、復活を表す数字とされてきます。いずれの場合も、8という数字は古今東西を問わず縁起が良い数字のようです。
”宇宙”の中は、どうなっているのでしょうか? 「クレーム・アングレーズ Creme Anglaise」(カスタードクリーム)の中に五穀米が!(゚0゚)\
五穀とは米・麦・豆・あわ・きび(または、ひえ)をさし、日本人が昔から主要穀物としたもので、「五穀豊穣」の「五穀」でもあります。普通の精白米に比べ、現代では不足しがちな各種ビタミン・ミネラル・食物繊維等がたっぷりと含まれた穀物達なのです。精白していない穀物は噛めば噛むほど独特の甘味、モチモチの食感、香りが楽しめる上、歯と顎の健康にも貢献してくれます。昔ながらの智恵「医食同源」を実現してくれる五穀米は、美味しく食べながら健康にも良い、理想の食材なのです(^Q^)
さらに食べ進むとアプリコットの果肉入りクーリーが(^Q^) 「クーリー」は、日本ではあまり見かけませんが、フランスで使われている「加糖されていないピューレ」です。 「ダージリン」(420円)を今度はホットでいただきましょう。
「リコッタ Ricotta」(420円)リコッタは、南イタリア原産のフレッシュチーズ。「ri」は「再び」、「cotta」は「煮る」=「2度煮る」 という意味で、チーズ製造時にでるホエー(乳精)を再度加熱して作るフレッシュチーズです。
外側には胡麻が貼りついていて和風な雰囲気ですね。 リコッタのムースの中にラムレーズンが!
リコッタは、イタリアのお菓子作りや料理に欠かせないフレッシュチーズ。木綿豆腐をくずしたような食感です。そのままで食べると、砂糖も加えないのに、ほんのりした甘みが…。この独特のやさしい風味は、ほかのフレッシュチーズではちょっと味わえません。リコッタの作り方は少し特殊です。普通チーズ作りでは、ミルクを温めて乳酸菌などで豆腐状に固め、水分(ホエー)を排出させます。ここで取り出される固形分がチーズのもとで、ホエーは捨てられてしまいます。でも、このホエーの中には乳糖、たんぱく質やミネラルなど、栄養分がかなり残っています。これを利用してもう一度チーズを作ろう!ということでできたのがリコッタ。ホエーに牛乳を加え、もう一度加熱すると、ふわふわのおぼろ豆腐状のものができてきます。これをすくって少し水分を切ったらリコッタの出来上がり。
「クラフティ・オ・スリーズ Clafoutis aux Cerises」(367円)6月の今が旬の「さくらんぼのクラフティ」の登場です。スリーズは「さくらんぼ」、クラフティは「詰め込む」から由来しています。クラフティは、もともとはフランスのリムーザン地方の伝統的な家庭菓子。田舎のおばあちゃんが庭にできた季節の果物を材料に、孫たちのお茶の時間のために焼くといった、もったいぶらない、でも、心あたたまるお菓子なのです。一般的にはタルト生地の中に、旬の桜桃などを並べ卵、牛乳、生クリーム、砂糖を混ぜたものを加えて焼き上げた家庭的で素朴なお菓子です。
おおっ! 飾りのゼリーがけしたチェリーが綺麗です!\(^○^)/
中には2種類のチェリーが入っていますね(^O^)\ この赤い小粒のチェリーは、サワーチェリーです。
外側の紫色の大粒のチェリーは、グリオットチェリーです。これらのチェリーは甘酸っぱい味と豊かな香りを存分に堪能できるようにお酒(キルシュワッサー)に漬け込み、気品ある大人の味わいに引き上げています(^Q^) 「ワンダフルハウス様、こちら、チーフ(島田シェフ)から(のプレゼント)でございます」「おおっ! これは何でしょう?(^O^)\」
こっ、これは…フランスの地方菓子「ヌガー・ド・モンテリマール Nougats de Montelimar」です!\(^O^)/ ローヌ・アルプ地方の南西部に位置する町モンテリマールの銘菓です。モンテリマールのヌガーは、卵白に煮詰めたシロップとハチミツ、そして南仏らしくたっぷりの木の実やドライフルーツを加えたコンフィズリー。白いメレンゲの中に、ナッツやドライフルーツが散りばめられた姿は、素朴ながら宝石の原石を見つめているような感覚になります。 17世紀にモンテリマールでアーモンドの栽培が推奨されたことから、ナッツをたっぷり使ったヌガーの名産地となりました。 モンテリマールのヌガーと名乗るには規定があり、全体量に対し28%以上のアーモンドと2%以上のピスタチオ、25%以上のハチミツを含まなければいけません φ(..)メモメモ モンテリマール近郊はラベンダーの名産地でもあるため、ラベンダーのハチミツを使うのが特徴です。
ラトリエ・ド・シマ パティシエ・シマ
これがヌガー・モンテリマールですね。 そういえば、パティシエ・シマにケーキがあったような気が…
急遽、パティシエ・シマから「モンテリマール」(420円)が運ばれて来ました。 見た感じは豆腐っぽいですね(^O^)\
「モンテリマ」は、先ほどいただいた南フランス名産のヌガー菓子「ヌガー・モンテリマ」を、島田シェフが独自にアレンジしたケーキ。「ヌガー・モンテリマ」は、蜂蜜と卵白をベースに作りますが、「モンテリマ」は、蜂蜜と卵黄で作ったムースの中にドライフルーツをちりばめ、ビスキュイに乗せる形にアレンジしてあります。具の色がカラフルで楽しいケーキです。赤と緑のドレンチェリー、オレンジピール、乾燥プルーン、干しあんずなどを粗くみじん切りにしたものが入っています。

お待たせしました。島田進シェフがWONDERFUL HOUSEのために創ってくださったフランスの古典菓子「カジノ(またの名をフロンビエール)」を公開いたします(^O^)/□ おおっ! す…素晴らしい!\(^○^)/ ナルトに似た渦巻きが規則正しい配列で実に美しい(^O^)\…おっ…見ているうちに目が回ってしまいました/(@_@)\ 中央の四角い部分に島田シェフの高度なテクニックを感じさせます。
「カジノ・ド・パリ Casino de Paris」(特注品)カジノで使われるルーレットの台をイメージしたユニークなデザインのフランスの古典菓子です。フランボワーズジャム(またはカシスジャム)を巻いた細いロールケーキをスライスして、型の底と側面に並べます。ムースを流し、ビスキュイで蓋をしてひっくり返せば…ぐるぐるうずまきが可愛いらしいケーキの出来上がりです。
ワンダフルハウスがまだ若かった頃、六本木のルコントや渋谷西武デパート地下にあったルノートルでカジノのアントルメを買ったことがあります。ルコントでは「フロンビエール」という商品名で、中身はバニラのムースに赤と緑のドレンチェリー。ルノートルのカジノの中身はバニラのムースだけでした。
格調高いグラン・カジノの中で、静かにゲームを楽しんでいる気分になります(^-^)/¥¥¥ カットして中を見てみましょう。おっ! あれはドライフルーツ?
赤、緑、黄色にオレンジ…中身はババロワにドライフルーツ…おーっ! 懐かしい! ルコントのフロンビエールはこんな感じでした。
元々は、ルノートルに代表されるパリのグラン・メゾンに並ぶ高級菓子だった「カジノ」。しかし、現在のフランス菓子の流行からは、最も程遠い位置にあり、絶滅が危惧されているお菓子です。
見たところ、具は赤と緑のドレンチェリーとアプリコット、プルーンが確認できますね。昔のケーキなので、洋酒が効いています。サッパリしていてとても美味。懐かしい味です(^Q^) 島田シェフ、ありがとうございました。 

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