わんだふるはうす、パティシエ・シマに行く

コロンビエ

復活祭(イースター)から数えて50日目が聖霊降臨祭(ペンテコステ=ギリシャ語で「第50番目」を意味する)にあたります。イエスの復活の主日からちょうど50日目に、エルサレムの家に集まって祈っていた使徒たちの上に、神からの聖霊が降った出来事を記念するキリスト教の祝祭日です。2007年の聖霊降臨祭は5月27日(日)。フランスの伝統菓子を大切にし、その技術を伝えるパティシエ・島田進さんのお店「パティシエ・シマ」をワンダフルハウスが訪ね、聖霊降臨祭のための創作スイーツ「コロンビエ Colombier」を創っていただきました。

皇居、千鳥ヶ淵、英国大使館、アイルランド大使館、ポルトガル大使館、イスラエル大使館、ベルギー大使館…などが近くにある都心の超一等地に構える店舗は、周囲の環境になじんだ、落ち着いた静かな佇まいです。「こんにちは!(^O^)/ 予約していたケーキを受け取りに来ました」「ワンダフルハウス様、コロンビエのアントルメはご用意してあります
「おおっ! こ…これは…トロピックバナナの大型版ですか?(^O^)\」「さようでございます。こちらのプチガトーをアントルメにしたものです」
「トロピックバナナ」(420円)といえば、ワンダフルハウスの大好物でもあります(^Q^) 「トロピックバナナのアントルメもください!」
「それから、スコーンも!」 「スコーン」(210円)島田シェフオリジナルレシピのカレンツ入りスコーン。カレンツとは、山ぶどうから作られた酸味の効いた小粒のドライフルーツ。温めたスコーンにたっぷりのジャムを添えていただきましょう。う〜ん、何のジャムを合わせるか迷いますね。
トロピックバナナのアントルメを先にいただきましょう。
「トロピック・バナーヌ Tropique Banane」(2625円)小型のアントルメです。トロピックとは「異国の地」という意味で、フランスではあまり食べないバナナを使ったお菓子。日本ではバナナのお菓子は多くても、本格的なフランス菓子店では珍しいですね。美味しいのはわかっていても、高級感が無いので敬遠されがちなのです。島田シェフは、ラム酒を使うことで、バナナのケーキを華麗に変身させてくれました。
とろみのある上がけは、アプリコットジャムを水で薄めてジュレにしたものです。 側面には、ココアのゼノワーズとチョコレートの飾りを交互に貼り付けてあります。
カットして中身を拝見。バナナのムースとチョコレートのゼノワーズ、チョコレートクリーム、すりつぶしたバナナも発見しました(^0_0^)\ 
底と中央に、ラム酒のシロップをたっぷりしみ込ませたチョコレートのジェノワーズ。その中に、クレームシャンティショコラとムースバナナ。トロピカルな組み合わせで超美味です(^Q^) 大衆的なイメージのバナナなので高級感を出すのが課題だったそうです。ラム酒で印象づけるのは効果的な方法ですね。
島田進シェフ「さとうきびを原料としたラム酒は私にとって欠かすことのできないほど重要な存在です。お酒を加えることによって生まれる洋菓子の芳醇な香りは菓子全体のグレードをより高め、食べた後にも余韻を残してくれます。私は年間を通して約25種の洋酒類を使い分けています。中でも最も使用量の多いのがラム酒です。ラム酒にもいろいろな種類があり、フランス領カリブ海諸島で産するカラメル色に色づけられたダーク系のミディアム・タイプ BARDINET社のNEGRITA(ネグリタ)が私のイメージするフランス菓子には最適なのです」
バーディネー社は、1857年南フランスの陶器の町リモージュで創設されました。1895年にボルドーに移転し現在に至っています。同社は現在、コーデラン、パリ郊外イヴリなどに工場をもち、ラムのほかに各種リキュール、フレンチ・ブランデーなどを生産する一大酒類総合メーカーとなっています。ネグリタとは「黒人の少女」の意味。ネグリタ・ラムの原酒は、西インド諸島中のマルティニク島など、フランス領カリブ海諸島から送られてきます。それをボルドーで熟成した後、ブレンドして各種ラムに仕上げています。酒質は、ホワイト系統がミディアム・ライト、その他はミディアム・タイプに属しています。ホワイト38度は柔らかな味にブレンドしたもの。ホワイト40度はネグリタ・ラムの伝統的な香味を残した品。ネグリタの44度は同社ラムのメイン・アイテム。アロマチックなミディアム・ラムで、香味高い製菓好適品。トロピックバナナで使われているものです。
決めた! スコーンには、ロミユニコンフィチュールの「タルティネ・バナーヌ・ラム」(750円)を合わせましょう。バナナ・チョコレート・ラム酒の組み合わせは、トロピックバナナと全く同じです。

チョコとラム酒とシナモンの香りがふわ〜っと香り(^Q^)大人な雰囲気。アフタヌーンティーにぴったりの組合せです。
トロピックバナナのアントルメの次は、島田進シェフが聖霊降臨祭の日のために創作したケーキをお見せしましょう。「コロンビエ」でございます(^O^)/□ 「ケーキの上に白い鳩! 素晴らしい!\(^○^)/」
「コロンビエ Colombier」(特注品)。コロンビエは、「鳩小屋」という意味で、聖霊降臨祭(復活祭後7回目の日曜日)に食べるお祝いのお菓子です。島田シェフが1971年、フランスで最初に修業されたお店「ブッタ」で覚えたのが、丸く焼いたパン・ド・ジェンヌにフォンダン(糖衣)をかけ、白い鳩とピンクのアーモンドダイスを飾ったコロンビエでした。ブッタは教会の目の前にある菓子店で、宗教的行事の度にお菓子が登場し、日本人である島田さんには目新しいものばかりだったそうです。
飾り用の白い鳩は、聖霊を象徴しています。ゼラチンを溶かし込んだ湯を粉砂糖に少しづつ混ぜて、練りやすい状態にしながら鳩の形に整えた、非常に手の込んだ作品です。 表面にフォンダンを塗って、周囲をピンクに彩色したアーモンドダイスで飾ります。
カットして中身を拝見。「おーっ! これは日持ちしそうな焼き菓子だ! パウンドケーキのフランス版です。」
アーモンド生地のざっくりとした素朴な食感の中に、フランス菓子らしいエスプリを感じさせます。コロンビエは、日本ではめったに見られない珍しいお菓子。ワンダフルハウスは、フランスの行事菓子の伝統の奥深さに感動しました。

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