わんだふるはうす、パティシエ・シマに行く

ドーム・ポロネーズ(ズコット)

「ドーム・ポロネーズ」。聞きなれない名前のお菓子です。日本ではマイナーなドーム型のケーキ。イタリアでは聖職者がかぶる丸い帽子に似ていることから「ズコット」と呼ばれています。「ポロネーズ」は、ポーランド人の意味。ポーランド人の肌の白さをメレンゲで表現したお菓子です。つまり、「ドーム・ポロネーズ」とは「白いズコット」。2007年5月26日、フランスの伝統菓子を大切にし、その技術を伝えるパティシエ・島田進さんのお店「パティシエ・シマ」をワンダフルハウスが訪ね、創作スイーツ「ドーム・ポロネーズ Dome polonais」を創っていただきました。

皇居、千鳥ヶ淵、英国大使館、アイルランド大使館、ポルトガル大使館、イスラエル大使館、ベルギー大使館…などが近くにある都心の超一等地に構える店舗は、周囲の環境になじんだ、落ち着いた静かな佇まいです。「こんにちは!(^O^)/ 予約していたケーキを受け取りに来ました」「ワンダフルハウス様、ドーム・ポロネーズのアントルメはご用意してあります
おっ! 青りんごにマンゴー…夏のフルーツを使ったケーキがお目見えしました(^-^)\ ポンム・ベールとエキゾチックをラトリエでいただいていきましょう。
「おっ、いつの間にかパリブレストの形が変わっている。パリブレストもください!」 「おおっ! こ…これは…小型ですが、シャルロット・ポワールの豪華版です!\(^O^)/ これもください!」
ラトリエ・ド・シマでケーキをいただきましょう。おや?何かのポスターが貼ってありますね。なになに…アペリティフ?(^-^)\
「こんにちは! ケーキをいただきに来ました。おっ、このポスターは?」 6月7日(木)、六本木ヒルズでイベントをやるみたいですね。
フランス農水省は2004年から、世界各国で毎年6月第1木曜日を「アペリティフの日」と提唱しています。フランス人は、ライフスタイルを大切にし、バカンスだけでなく日々の生活の中にさえ、ゆとりのひと時を求めます。そのひとつとして、なくてはならないのは、「アペリティフ」を楽しむ習慣。食に至上の喜びを求めるフランス人とって、食卓について食事を始める前に、飲み物とつまみで友人たちとおしゃべりを楽しむ「アペリティフ」は欠かせません。日本においてもスローライフが問われる昨今、「アペリティフ」を美味しい習慣として定着させることを目的に、フランス食品振興会が全国で様々な活動を展開します。
おっ、島田シェフも出展するのか(^-^)\ ルコントやキャンティの客である服部先生のトークショーもあるみたいです。 とりあえずパンフレットをいただいて、後で見せていただきましょう。
2007年の「アペリティフの日」は、6月7日(木)。東京では、六本木ヒルズアリーナにおいて、フランス農事功労章受勲の都内トップホテル・レストランの料理人がブース形式で来場者に食(アミューズ・ブーシュ)を提供します。出展シェフは、「パティシエ・シマ」の島田進さんの他に、「青柳」の小山裕久さん、「オテル・ドゥ・ミクニ」の三國清三さん、「クイーン・アリス」の石鍋裕さんなど超豪華。
なるほど、なるほど。さすがに日本のトップパティシエの店。いや〜実に勉強になりますφ(..)メモメモ
ケーキとアイスコーヒーがサーブされていました。コースターとナプキンもアペリティフ柄ですね。 「ポンム・ベール Pomme Verte」(472円)ポンム・ヴェールとは、フランス語で「青リンゴ」のこと。島田シェフが考案した、暑い夏でも食べたい気持を湧かせる清涼感たっぷりの青リンゴのケーキ。フランス産の青りんごのピュレを使っています。
う…美しい!\(^O^)/ このように、形や色に凝るのもフランス菓子の重要な部分なのです。中も青リンゴのムースでしょうか? これは意外! 中身はカシスのムースでした。
「アイスコーヒー Cafe Glace」(525円)で口直しをしてから… 「エキゾチック」(420円)をいただきましょう。これも美しいケーキですね。
黒い粒は、パフにチョコレートをコーティングしたものでした。中身はココナッツ、マンゴー、パッションフルーツの3つの味のハーモニー♪(^Q^) 実は、パッションフルーツを日本で初めて本格的に使ったのは島田シェフなのです。1980年代のある日、築地に入荷したニュージーランドのキウイの中に、パッションフルーツの箱が間違えて混じっていたことがあり、築地から「なんだかわからない果物があるから見てくれないか」と連絡が入りました。島田シェフは、フランスですでに見知っていたので、受け取ってすぐにピュレにして、シャーベットやケーキに使って店で出しました。何かしら新しい素材に出会うことで、新しいものを作り出す。天才パティシエは、そんなことを40年近く続けているのです。
パッションフルーツを「情熱の果物」とイメージする人が多いようですが、実は「受難の実」というのが正解です。「passion」という単語には「情熱」の他に「(キリスト)受難」の意味があります。 パッションフルーツの花とキリスト受難の関係は、16世紀に南米に渡ったイエズス会士がトケイソウの花を見て、かつてアッシジの聖フランチェスコが夢に見たと伝える「十字架上の花」と信じ、「受難の花( Passiflora )」と呼んだことに由来します。  一方、日本では、花の形は「時計」に見立てられ「トケイソウ」となりましたった。そのうち果実がつくものは「クダモノトケイソウ」になったわけです。
シュー生地を使ったフランス菓子の傑作「パリブレスト」(420円。しっかりとカリカリに焼き上げた固めのシュー生地を横2等分して、間にボリュームのあるプラリネクリームをはさんだお菓子です。島田シェフの師匠であるアンドレ・ルコント氏が、日本で最初に紹介しました。現在では、生クリーム+苺など、店によって様々なヴァリエーションが存在しますが、パティシエ・シマのようなプラリネクリームを挟んだタイプが本格的なものなのです。パリ・ブレストは、2007年にフランス料理アカデミー日本支部が主催した第2回アンドレ・ルコント杯コンクールの課題にもなりました。
上のシュー生地を外してみましょう。茶色いのがプラリネ・クリームです。プラリネ・ペーストに無塩バター、裏漉ししたカスタードクリーム、生クリームを混ぜ合わせたものです。しっかりとカリカリに焼き上げた固めのシュー生地の間に、ボリュームのあるプラリネクリーム。プラリネの苦味を白い生クリームが中和して、虜になる美味さです(^Q^)
リング状のシューの形は自転車の車輪がモチーフ。パリ=ブレスト間の有名な自転車レースにちなんで名付けられました。フランス人は自転車レースがとても好きです。毎年7月に行われるフランス最大の自転車レース「Tour de France (ツール・ド・フランス)」は、20数日間にも及び、全行程を区間に分けて、タイムを競います。その存在は単なる自転車競技の枠にとどまらず、オリンピック、サッカーのワールドカップと共に世界3大スポーツイベントの1つに数えられています。 ツール・ド・フランスの第1回開催は1903年。その12年前の1891年、第1回パリ=ブレスト間の自転車レースが行われ、これを記念して作られたのが「パリ・ブレスト」なのです。沿道のメゾン「ラフィット」の職人、ルイ・デュランの作とされ、自転車の車輪を連想して、大きなリング型のシュー生地にプラリネクリーム、表面にはスライスアーモンドという形で出来上がりました。ところで、ツール・ド・フランスにはもう一つの意味があります。直訳すれば「フランス1周」で、昔の職人の全国武者修業の旅を指していました。職人達はある程度の基礎を習得すると、親方の元を離れ、各地で修行します。パティシエも例外ではないのです。
パリブレスト(旧タイプ) パリブレスト(新タイプ)
パティシエ・シマのパリブレストは、以前は、左のようなアントルメをカットしたものでした。「島田さん、なぜプチ・ガトーサイズに変更したのですか(?_?)」「ショーケースに並べるお菓子に宝石のような美しさが要求される現在では、アントルメをカットしたお菓子は、断面によほど個性がないかぎり、1個づつ仕込むプチ・ガトーに比べて、どうしても見劣りがしてしまうのです」「なるほど、こうして見比べてみると、一目瞭然。右の写真の方が綺麗に見えますね(^O^)\」
先ほどのパンフレットを拝見しましょう。『一口(ブーシュ)のお楽しみ(アミューズ)という意味のアミューズ・ブーシュは、アペリティフに欠かせません。本格的な食事の前の一品ですので、カナッペやタルト、オリーブ、チーズなど簡単な手作りのものが少量あればよいのです。一方、レストランでは、シェフにとって最初の一口のスタートとなる重要な一品です。日本を代表するシェフたちの自慢のアミューズ・ブーシュを、まずは目でご堪能ください』
「ほぅ、島田シェフは、クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワの代表としてマカロンを出展するのか」 「ワンダフルハウス様、チーフ(島田シェフ)からのプレゼントでございます」「ん? おおっ! これがシマのマカロンです! しかもできたてのほやほや! これは黄色いからレモンですね。美味い!\(^Q^)/」
現在でこそマカロン大ブーム。あちこちのお菓子屋さんでマカロンを作っています。ピンクや黄色などカラフルで、一口大の可愛い形が女性たちの心をつかんだようです。箱詰めにすれば、ちょっとしたプレゼントになるのも魅力ですね。しかし、以前は何軒ものフランス菓子店が、日本人にマカロンの美味しさを知ってもらいたいと願って売り出しましたが、全く売れず、日本人受けがしないと思われていた時代が長かったのでした。ルコントでは1970年頃から売り始めたそうですが、あまりにも売れずに途中でやめた時期もあったそうです。
ここで、島田シェフのマカロンの中で、最も豪華なマカロンを紹介しましょう。チョコマカロンの間にフランボワーズとガナッシュをサンドした「マカフラ」(577円)です。
「S」は、もちろん「Patissier Shima」の頭文字。 ”具”が多そうですね。 
カスタードクリームも入っていて、とっても美味です)^Q^(
ワンダフルハウスは、マカロンを買って帰ることにしました。
「ラトリエ・ド・シマ」は「パティシエ・シマ」のショコラトリー(チョコレート専門店)として誕生。店内はチョコレートやマカロンで一杯です。
どれどれ(^-^)\…ラトリエ・ド・シマのマカロンは、フランボワーズ、レモン、ショコラ、カフェ、ピスタチオの5種類ありますね。お値段は1個210円、3個630円、5個1050円、8個1890円ですか…「全種類食べたいから5個入をください!」
上段左からショコラ、カフェ。下段左からフランボワーズ、ピスタチオ、レモン。 フランボワーズには、バタークリームを混ぜたフランボワーズ風味のマジパンをサンドしてあります。
マカロンは、フランス人がこよなく愛する代表的なフール・セック(焼き菓子)。大変由緒ある伝統的なお菓子で、16世紀にイタリアから伝わってきたといわれています。その後、フランス各地方へ広がり、様々な種類が誕生しました。ラトリエ・ド・シマのマカロンは、洗練された「マカロン・パリジェンヌ」。柔らかくしっとりしているのが特徴。「フランスでは、パーティーの最後に濃いコーヒーと一緒に食べる大人のお菓子です」と島田シェフ。アーモンドパウダーに粉砂糖、泡立てた卵白を混ぜ、丸い形に絞り出してオーブンで焼いて作ります。バタークリームを挟むことが多く、表面はカリッとした食感ですが、中は軟らかく、甘みが強いです。デリケートなお菓子で、綺麗に仕上げるには高い技術が必要だといわれています。
マカロン・パリジェンヌに続きましては、シャルロット・オ・ポワールの登場です。
「シャルロット・オ・ポワール Charlotte aux poires」(2730円)じっくりと御鑑賞ください。こちらが、日本人パティシエで、ただ1人だけシュヴァリエ(フランス共和国農事功労章)を受勲致しました島田進シェフの特製シャルロット・オ・ポワールでございます。
洋梨のコンポートをスライスして、バーナーで焼き色をつけ、フランボワーズと苺を周りに添えてあります。 側面の生地をご覧ください。これこそビスキュイ・ア・ラ・キュイエール…おっ! リボンで隠れてしまいました。
洋梨のコンポートを飾った特製シャルロット・オ・ポワールは、島田さんが現在最も注目しているという新潟産のル・レクチェという品種を使用しています。ラ・フランスに比べると、果肉が柔らかく生食向き。しかし、収穫したては特有の渋みがあるので、収穫後40日間かけてじっくり熟成させ、甘味を引き出したものをケーキに使っているそうです。ル・レクチェならではの繊細な風味や味わいを引き立たせるために、コンポートを洋梨のリキュール「ウィリアムポワール」に一晩漬けておくなど、とても手がかかったケーキなのです。
ルコント パティシエ・シマ
ところで、シャルロット・オ・ポワールの基本的な形とはどのようなものなのでしょうか? これはルコントのものですが、このように上に粉砂糖をふったビスキュイをかぶせてあるのが基本といえます。帽子をかぶったような、あるいは白い花が咲いたような…とても美しいですね。 パティシエ・シマにも定番のシャルロット・オ・ポワールがあり、こちらでも買えます。
「シャルロット」という名前は、婦人用の帽子に由来します。ビスキュイの形が縁に襞飾りの付いたシャルロットという帽子に似ているので、この名が付いたという説があります。フランスでは、18世紀末に天才菓子職人アントナン・カレームによって創造された古いお菓子で、当時はババロワの最も豪華な食べ方として、もてはやされました。
カットして中身を拝見(^O^)\ 中の洋梨は、フランス・ガスコーニュ地方のシロップ煮缶詰を使い、ババロワには洋梨のオー・ド・ヴィー「ウィリアムポワール」を効かせているそうです。ドイツで果実の宝庫といわれている、シュヴァルツヴァルトのタンネン社で生産する、ウィリアム種の洋梨を蒸留したフルーツブランデーです。ソフトな味と洋梨のデリケートな香りが特徴。ヨーロッパではキルシュワッサーと並んで、カクテルや洋菓子造りに欠かせないパートナーです。「オー・ド・ヴィー eau de vie」とは、フランス語で「命の水」という意味で、果実を発酵もしくは浸漬させたものを蒸留したフルーツのブランデーを意味します。
先ほどはリボンで隠れていた「ビスキュイ・ア・ラ・キュイエール biscuit a la cuillere」が姿を現しました。卵を攪拌する時に、卵白と卵黄に分けて泡立てて混ぜる方法の生地です。「bis」はラテン語で「二度」、「cuit」はフランス語で「焼く」、「cuillere」は「スプーン」という意味。昔、まだ絞り袋が無かった時代には、生地をスプーンですくって焼いていたことから、「スプーンで作るビスキュイ」と名づけられたそうです。
フランボワーズソースは、ケーキの上からかけるのでしょうか? それともケーキの下に敷くのでしょうか?
ワンダフルハウスは、パティシエ・シマに戻ってシャルロットポワール(472円)を注文しました。 ラトリエ・ド・シマにケーキが運ばれてきました。なるほど! フランボワーズソースは下に敷くのか。しかもケーキは縦置きでなくて、横に寝かせるのですねφ(..)メモメモ

シャルロット・オ・ポワールに続きましては、非常に珍しいケーキ「ドームポロネーズ」の登場です。
「ドーム・ポロネーズ Dome polonais」(特注品) ドーム・ポロネーズ? 聞き慣れない名前のお菓子です。日本では少数派のドーム型のケーキ。イタリアでは聖職者がかぶる円形の帽子に似ていることから「ズコット zuccotto」と呼ばれているトスカーナ地方の伝統菓子です。「ポロネーズ」は、「ポーランド人」の意味。ポーランド人の肌の白さをメレンゲで表現したお菓子です。つまり、「ドーム・ポロネーズ」とは「白いズコット」。
ナッツの生地の表面にイタリアンメレンゲを塗って、その上に粉砂糖をふりかけてあります。
2種類のナッツの粉(アーモンドプードルとヘーゼルナッツプードル)で作ったチョコレートのビスキュイの中にチョコレートクリーム、ホイップクリームを重ねて、周りにはメレンゲを塗って白いドームに仕立ててあります。アルコールは効いてないので、お子様でもOKです(^Q^)

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