わんだふるはうす、パティシエ・シマに行く

エクレール・オ・ショコラ・ノワール

細長い上品なフォルムに艶やかなフォンダン。フランス菓子の中でも定番中の定番といえるエクレアは、長く人々に愛されてきました。パリでも一般の菓子店で売られているのは大ぶりで値段も手頃。日本の肉屋のコロッケのように紙に包んで歩きながら気軽に食べるそうです。それとは一線を画すのがラ・メゾン・デュ・ショコラのような高級ショコラティエのエクレア。小ぶりなサイズで、材料も値段もワンランク上。ビターなクーベルチュールチョコレートをふんだんに使い、真っ黒いフォンダンをかけています。2009年8月、フランス菓子造りの名人 島田進さんのお店「パティシエ・シマ」のショコラティエ「ラトリエ・ド・シマ」をワンダフルハウスが訪ね、カスタードクリームとガナッシュの比率を逆転させたショコラティエのエクレア「エクレール・オ・ショコラ・ノワール」を作っていただきました。

「ワンダフルハウスさん、先ずこれを食べてみてください。火曜日限定で出しているエクレール・ショコラです」
Eclair au chocolat
エクレール・オ・ショコラ
315円
火曜日限定商品
「こ…これは…午前中で売り切れてしまうという幻の『火曜日限定エクレール・ショコラ』です!(゚O゚)\」
毎週火曜日だけ、それもパティシエ・シマが10時に開店してから、あっという間に完売してしまう、限定10個程度の、見たことがある人がほとんどいない幻のエクレアの登場です。
「エクレアはあくまでもおやつです。しかし、たかがエクレアと軽んじてはいけません。菓子店の技術を測るバロメーターにもなる恐い菓子がエクレアなのです」と語る島田シェフ。エクレアを作るのは若手の仕事なので、エクレアを見れば店全体の指導力や品質管理の度合、ひいては技術の高さを察することができるそうです。ちなみに、これは島田シェフが作ったのではなく、スーシェフの女性パティシエールが作ったそうです。
「綺麗に出来ています。島田シェフが作ったのと見分けがつきません(^-^)\」
「日本の洋菓子店やスーパーやコンビニで売っているエクレアのフニャフニャのシュー皮とは違います。皮は硬めでパリッとしています(^-^)\」
エクレア用のシュー生地は、普通のシュー生地より低温で長めに焼き上げた香ばしい生地なのです。
フランスのエクレアには必ず、シロップで伸ばしたコーヒー味やチョコレート味のフォンダンが塗られています。日本のスーパーやコンビニで売っているチョコレートエクレアの大半はフォンダンではなくて「グラサージュ・ショコラ」という固まるチョコレートを使っています。これはフォンダンとはまったくの別物。フォンダンは砂糖を再結晶化させた糖液で、エクレアやケーキの上掛けに使うのですが、温度と湿度にとても敏感なのです。このデリケートなフォンダンの艶を失わないように、ピカッと仕上げるのが大変なのです。
美しい光沢があり、輝いています。凹凸のあるシュー生地の表面になめらかに伸ばしてあります。
エクレール・オ・ショコラがカットされました。
「濃厚なショコラカスタードクリームがギッシリ詰まっています!(^O^)\」
中に詰まっているチョコレートクリームは、細かく刻んだクーベルチュールチョコレートを湯煎で溶かして、クレーム・パティシェール(カスタードクリーム)に混ぜ合わせ、しっかり泡立てたクレーム・シャンティ(生クリーム)を加えて混ぜ合わせたものです。
クレーム・パティシェールとクレーム・シャンティの比率は7:3だそうです。
「サクサクしたシュー生地の中に濃厚なチョコレートクリームが相まってとにかく美味です! 火曜日しか売っていないのは残念ですね(^Q^)」
「ワンダフルハウスさん、次はヴァローナのクーベルチュールをテイスティングしてみてください」「おっ、カカオ豆を模したフェーブタイプのクーベルチュールです。最も溶けにくい中心部分に窪みをつけて薄くすることで、均一に溶かしやすくしているのですね(^-^)\」「この2つのうち1つはP125というカカオ125%の新商品。もう1つはカカオ68%のニアンボです」「カカオ125%!?…100%以上のカカオがあったとは!(゚O゚)\」
カカオそのものの組成を変えてしまった革命的なクーベルチュールチョコレート「P125」の登場です。カカオは54%の油脂分と46%の固形分でできていますが、この比率をヴァローナ社が6年もの歳月を費やして開発した新しいテクノロジーによって、逆転させることに成功しました。その結果、34%の油脂分と66%の固形分という、これまでにない配合のカカオが完成したのです。油脂分と固形分が逆転した結果、カカオの風味に影響する固形分効率が、従来のカカオマスに比べて25%増しになったというわけで、カカオ分125%といえる商品が誕生したのです。
P125 Coeur de guanaja
カカオ125%
VALRHONA
2009年9月発売
NYANGBO
カカオ68%
VALRHONA
「こちらは白っぽい粉のようなものが付着しています。一度溶けたチョコを再び固めたような感じがします(゚-゚)\」 「黒くて光っていて見るからにビターな感じ…わかった!…こちらがP125です!(^O^)\」
NYANGBO
カカオ68%
VALRHONA
「ワンダフルハウスさん、そっちはカカオ68%のニアンボですよ」
Charlotte au chocolat noir
シャルロット・オ・ショコラ・ノワール
特注品
「ヴァローナのニアンボを使ったガトーといえば、先日作っていただいたシャルロット・オ・ショコラ・ノワールです(^-^)\」「あれは、上の渦巻きチョコレートと外側のビスキュイは私が作り、中のババロワは徹が作りました。渦巻きのチョコレートは鉄板を冷やして、その上で瞬間テンパリングしたのです」
NYANGBO
カカオ68%
VALRHONA
ガーナ産の「ニアンボ」(カカオ68%)は、ヴァローナのカカオ産地指定のクーベルチュールシリーズの一つです。
「それでは、ニアンボをテイスティングしてみましょう…強いスパイシーな香り(-Q-)…アタック(最初に舌が感じる味)は優しい味…ほのかな酸味に続き、温かみのある柔らかな苦味が(-Q-)…70%近いカカオ分の割りには上品な味わいです(^Q^)」
P125 クール・ド・グアナラ
カカオ125%
VALRHONA
2009年9月発売
例えば、エクレアに詰めるクレーム・パティシエール・ショコラを作る時、味を強くしようとしてチョコレートの量を増やすと、硬くて重いものになってしまいまいます。そんな時にP125を使えば、カカオの風味を強くしつつ、食感の柔らかさや滑らかさも出すことができるようになったのです。
「ねっとりとした食感…インパクトが強く…凄く濃い…これは濃縮チョコレートです!(>Q<)」
Eclair au chocolat noir
エクレール・オ・ショコラ・ノワール
特注品
「ワンダフルハウスさん、次はこれを食べてみてください。これは私が作りました」
「こ…このエクレアは!?(゚O゚)\」
「フォンダンが真っ黒です!(゚O゚)\」
この真っ黒いエクレアは「エクレール・オ・ショコラ・ノワール」と名付けましょう。
Eclair au chocolat noir
エクレール・オ・ショコラ・ノワール
特注品
Eclair au chocolat
エクレール・オ・ショコラ
315円
火曜日限定商品
「フォンダンの質感が明らかに違います!(゚O゚)\」
Eclair au chocolat noir
エクレール・オ・ショコラ・ノワール
特注品
Eclair au chocolat
エクレール・オ・ショコラ
315円
火曜日限定商品
「光沢がありません…艶消しになっているのです!(゚O゚)\」
「これはパティスリーのエクレアではありません。ショコラティエのエクレアです!(゚O゚)\」
フォンダンが黒いだけではなく、中に詰まっているチョコレートクリームの材料と製法まで違うのです。
普通のは、細かく刻んだクーベルチュールチョコレートを湯煎で溶かして、カスタードクリームに混ぜ合わせ、しっかり泡立てた生クリームを加えて混ぜ合わせて作ります。ノワールは、フェーブタイプのクーベルチュールチョコレートを湯煎で溶かして、しっかり泡立てた生クリームを加えて混ぜ合わせてガナッシュを作ります。そのガナッシュにカスタードクリームを混ぜ合わせるのですが…
「ガナッシュとカスタードクリームの比率は7:3…つまり配合を逆転させたのです!(゚O゚)\」
その恐るべきクリームは、この3つの穴から入れられたようです。
エクレール・オ・ショコラ・ノワールがカットされました。
「クリームの色は真っ黒くはありません!(゚O゚)\」
「強烈なカカオの香りがプ〜ンと漂っています(^Q^)」
「パリの高級ショコラティエのエクレアを超えるエクレアが日本に誕生しました!(゚O゚)\」
Eclair au chocolat noir
エクレール・オ・ショコラ・ノワール
特注品
Eclair au chocolat
エクレール・オ・ショコラ
315円
火曜日限定商品
フォンダンの厚さが全然違います。
Eclair au chocolat noir
エクレール・オ・ショコラ・ノワール
特注品
Eclair au chocolat
エクレール・オ・ショコラ
315円
火曜日限定商品
クリームの色は、やや黒い程度ですね。
「分厚いフォンダンのねっとりとした食感…カスタードクリームよりカカオのインパクトが強い…これは濃縮チョコレートエクレアです!(^Q^)」

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