わんだふるはうす パティシエ・シマに行く

Galette de Rois au Chocolat Noir a la Palet Or
Galette de Rois au Chocolat Lactee a la Palet Argent

「ショコラは調香の世界である」…これは、フランスのあるトップ・ショコラティエによる名言です。考えられないほど多くの香りを混ぜ合わせ、一つの香りへと集約していく香水作りの作業は、チョコレートを調整する工程と非常に似ていて、共に高度な技術を要する職業として称賛されています。パリには「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ」というチョコレート愛好会があるほど贅沢で高度なお菓子としてチョコレートが君臨しているのです。かつてミルクチョコレートが主流だった日本でも時代の流れと共に嗜好が変化し、いつしか苦味の強いビター系の味が注目されるようになりました。フランスでも1970年代に苦いチョコレートが流行したことがあり、ベルナションがその震源地だったようです。ベルナションのトリュフやパレ・ドールは周りの皮膜が驚くほど苦く、大評判を呼んだのでした。1980年代に流行したのは柔らかさでした。例えばトリュフの皮膜を可能なかぎり薄く付けてガナッシュの口当たりを損なわないように注意が払われたり、ガナッシュだけの(表面コーティング無しの)ショコラが作られました。1990年代に入ると、パリで酸味がブームになり、チョコレート独自の苦味に酸味をプラスした複雑な味が好まれました。そして2000年代、シングルビーンズのチョコレートが増えると共に、ショコラがカカオの産地や品種で語られるようになったのです。「フランスではクリスマスケーキの販売台数を超えるほど浸透しているガレット・デ・ロワをショコラ味で作ってください!(^O^)/」。ガレット・デ・ロワの伝統を正しく伝え、日本で一人でも多くのパティシエ・ブーランジェに作ってもらうための啓蒙活動を目的にした会「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」会長 島田進さんのお店「パティシエ・シマ」をワンダフルハウスが訪れ、フランス語で“金の円盤”“銀の円盤”を意味する「ガレット・デ・ロワ・パレ・オール」「ガレット・デ・ロワ・パレ・アルジャン」を作っていただきました。

2009年1月6日(火)エピファニー(公現節)の当日、南麻布のフランス大使館の中にあるフランス大使公邸において、第6回「サロン・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」が開催されました。
2009年1月6日
フランス大使公邸で開催された
第6回サロン・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワに出品した
3種の変わりガレット・デ・ロワ
(パティシエ・シマ)
フィリップ・フォール大使へ献上した直径1メートルのガレット・デ・ロワは、2008年のコンクール優勝者、ガトー・ド・ボワの中野心悟さんと師匠である林雅彦シェフが製作し、奈良県より車で8時間をかけて大使館に運び込まれたものでした。その他にもクラブ会員によるガレット・デ・ロワが展示され、各理事はトラディショナルなクレームダマンドのガレット・デ・ロワに加えて、ショコラやピスターシュなどのアレンジ版も用意して、合わせて100台を超えるガレット・デ・ロワが集結しました。
フィリップ・フォール大使は「フェーヴは芽生え、生命の象徴。おめでたいガレット・デ・ロワを皆さんと共に楽しめることを嬉しく思います。本国フランスでもまさに今日、パレスチナから帰国したサルコジ大統領がエリゼ宮で同じようなガレット・デ・ロワを贈られているでしょう。ガレット・デ・ロワを日本でリアルタイムで楽しめる環境ができたのも、クラブの活動のおかげと感謝いたします(^-^)」と述べられました。
これを受けた島田進会長は「昨年のエピファニーの集いを日仏友好150周年記念の最初の行事として行い、今年も同様に祝えることはクラブとしても大変喜ばしいことです。ご理解頂いた大使に改めて御礼申し上げ、伝統菓子の普及=幸せを分かち合うこととして、よりよい一年になることを願います(^-^)」と返礼。
ガレット・デ・ロワ
グリオット・ピスターシュ
今年は島田会長が初めて変わりガレット・デ・ロワを作ったので会場がざわめく中、三枝シェフが島田会長に声をかけました…
ガレット・デ・ロワ
アナナス・バナーヌ
ガレット・デ・ロワ
プラリーヌ・オランジュ
三枝シェフ「島田さん、ショコラのガレット・デ・ロワは作らないんですか?」
島田会長「ショコラのガレット・デ・ロワはまだ早いんじゃないかな…」
cuisine francaise JJ
三枝シェフ「…と島田さんは言ってました」
ワンダフルハウス「なるほど、そうでしたか(^-^)\ 実は私は御覧の通り、変わりガレット・デ・ロワをコレクションしているのです。これは洋梨の赤ワイン煮込みと白ワイン煮込みを詰めたヴォロヴァン風のガレット・デ・ロワで、パティシエ・シマとメゾン・フェルベールで修業した宮本亜希子シェフに作ってもらいました。私自身もパティシエ・シマの客ですので、島田シェフにショコラのガレット・デ・ロワの製作を依頼してみましょう。作ってもらえたらパレ・ド・オールに持って行きますよ(^-^)/」
L'ATELIER DE SHIMA
そしてついに、ショコラのガレット・デ・ロワは作られたのです…「こんにちは! ショコラのガレット・デ・ロワを受け取りに来ました!(^O^)/」
「ワンダフルハウス様、こちらがショコラのガレット・デ・ロワでございます」「では、拝見させていただきます」
「おおーっ!? こ…これは!?
「着物とエッフェル塔柄です!(゚O゚)\」
「これは、日仏交流150周年のロゴマークです!」
昨年(2008年)は、日仏間の外交関係が開設されて150年という節目の年に当たりました。この150周年を広く両国民に周知し、各種記念事業への一層の参加を得るため、日仏両国外務省が共通ロゴマークの一般公募を行って、716点の応募の中から、このロゴマークに決まりました。これは、真ん中の青を見るとエッフェル塔、白い方を見ると日本の着物というデザインです。作者はパリ在住のフランス人女性 クレール・ポメさんで、着物と日の丸、エッフェル塔をモチーフとし、色彩はフランス国旗の青、白、赤を使ったもの、日本の日の丸の赤も使ったものとなっています。開催された記念事業は、パリにおいて国立ケー・ブランリー美術館における「日本民芸展」、国立ギメ東洋美術館における「金刀比羅宮・円山応挙展」など。日本においても多くのフランス関連文化事業が開催されました。150周年記念イベントを通じて、日仏間の相互理解が一層深まったのです。
着物とエッフェル塔柄ガレット・デ・ロワですが、実は2008年11月に島田会長が作っていて、今回は2回目なのです。ガレット・デ・ロワを乗せてある台はエーグルドゥースの寺井則彦シェフが製作したもので、これもお菓子で出来ています。ガレット・デ・ロワの柄は、この写真では見えにくいですが、ブレッド・ジャーナリスト清水美穂子さんのブログ「ガレット・デ・ロワの夜」で見れます。
左の写真、左から大森由紀子さん、フィリップ・ビゴ氏、島田進会長、藤森二郎氏、林雅彦氏、寺井則彦氏、西原金蔵氏、フィリップ・フォール駐日フランス大使。
ガレット・デ・ロワにナイフを入れるフィリップ・フォール駐日フランス大使。 黒い服の女性はフランソワーズ・モレシャンさんとルコント靖子さん。赤い服の女性は大使夫人でしょうか?
1台目 2台目&3台目
(1台はワンダフルハウス用)
(もう1台は三枝シェフへの手土産用)
「1台目は、オーソドックスなクレーム・フランジパーヌでしたが、こちらは最先端のショコラ…このガレット・デ・ロワは貴重です!(゚O゚)\
クレーム・フランジパーヌとは、クレーム・ダマンド(アーモンドクリーム)とクレーム・パティシエール(カスタードクリーム)を混ぜ合わせたもので、ガレット・デ・ロワに詰める基本のクリームです。
Galette des Rois au Chocolat Noir
“SHUNSUKE SAEGUSA”
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ノワール
三枝俊介モデル
(パティシエ・シマ 特注品)
日本のトップ・パティシエが日本のトップ・ショコラティエに向けて作ったショコラのガレット・デ・ロワ。本国フランスのショコラティエが作るガレット・デ・ロワさえ一瞬のうちに抜き去ってしまった、“5年先のガレット・デ・ロワ”の登場です。
普通のガレット・デ・ロワ ガレット・デ・ロワ・ショコラ・ノワール
SHUNSUKE SAEGUSA
「あまりにも黒い! ここまで黒いと、ショコラ・ノワールと呼ばなくてはなりません!(゚O゚)\」
モーリス・ベルナシオン氏と三枝俊介氏
クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワの島田進会長が初めて作ったショコラのガレット・デ・ロワ…それは、BERNACHONの創業者 モーリス・ベルナッション氏の薫陶を受けた三枝俊介氏への手土産として誕生しました。
この瞬間、日本のガレット・デ・ロワが本国フランスのものを越えてしまったのです。
「おーっ! 中も見事に真っ黒です!(゚O゚)\
「予想していた以上にガナッシュが分厚い!(゚O゚)\
「ガナッシュの下に、真っ黒なクレーム・ダマンド(正式にはクレーム・フランジパーヌ・ショコラ)の層があります!(゚O゚)\」
「香りと色合いから判断すると、フィユタージュ、ガナッシュ、クレーム・ダマンド…全てのパーツに高カカオ分のショコラが使われているようです…たった今、パティシエ・シマのガレット・デ・ロワが、ラ・メゾン・デュ・ショコラやジャン・ポール・エヴァンのガレット・デ・ロワを超えました」
島田進会長「ガレット・デ・ロワは、フィユタージュを2枚重ねて丸く切り取り、中にクレーム・ダマンドが入ります。クリームは最近はピスターシュ風味のものなどを詰めることもあるようです。クリームにチョコレートを入れたりするのは、本来のガレット・デ・ロワというものを理解した上で作られるのでしたら良いとは思いますが…」
本来のガレット・デ・ロワというものを最も理解している島田会長が作った、現在(2009年1月)の時点で世界最高のショコラのガレット・デ・ロワ。5年先を行く衝撃的なガレット・デ・ロワの登場です。
島田進会長「ワンダフルハウスさん、もう一つショコラのガレット・デ・ロワをどうぞ」
Galette des Rois au Chocolat Individuel
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・アンディヴィデュエル
(特注品)
「これはショコラの一人用ガレット・デ・ロワ…ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・アンディヴィデュエルです」「アンディヴィデュエル?(゚O゚)\」「個人的な、という意味です
「これもフィユタージュが上下に分かれていて、ガナッシュがサンドされています!(゚O゚)\
食べる直前にオーブンで温めると中のガナッシュがトロリと溶けて、サクサクのフィユタージュと絶妙に絡み合うそうです。焼くとガナッシュが溶けて、上のフィユタージュが下がってくるので隙間は無くなります。
「おっ? 餡子のようなソフトなガナッシュですね(゚O゚)\」(これはオーブンで温めていません)
クレーム・ダマンドの層はありません。フィユタージュ・ナチュール&ガナッシュのミルフォイユ的なガレット・デ・ロワです!(゚O゚)\
Galette des Rois au Chocolat Individuel
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・アンディヴィデュエル
Galette des Rois au Chocolat Noir
“SHUNSUKE SAEGUSA”
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ノワール
三枝俊介モデル
「カカオ分の低い軽い味わいのガナッシュとサクサクのフィユタージュが絶妙に絡み合います(^Q^) ビターなシュンスケ・サエグサ・モデルとは全く違うタイプのショコラのガレット・デ・ロワでした」
「パティシエ・シマのスペシャリテになれるような(実際にお店で販売できるような)ショコラのガレット・デ・ロワを焼いてください!(^Q^)/」
「ワンダフルハウス様、たった今、焼き上がりました」
「真っ黒で光っています! これは何ですか?(゚O゚)\
「ワンダフルハウスさん、それはガレット・デ・ロワ・パレ・オールとガレット・デ・ロワ・パレ・アルジャンです」
PALET OR と PALET ARGENT
(2007年に撮影。現在は廃番)
「パレ・オール(金の円盤)とパレ・アルジャン(銀の円盤)といえば、かつてはラトリエ・ドゥ・シマの人気商品でありながら、いつの間にか店頭から消えてしまった幻のボンボン・ショコラです(゚O゚)\
Galette des Rois au Chocolat Noir a la Palet Or
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ノワール・ア・ラ・パレ・オール
(特注品)
Galette des Rois au Chocolat Lactee a la Palet Argent
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ラクテ・ア・ラ・パレ・アルジャン
(特注品)
「あのボンボン・ショコラをガレット・デ・ロワにしてしまうとは…これは凄過ぎる!(゚O゚)\
「島田会長、クーベルチュールは何を使ったのですか?(^O^)/」
「ヴァローナです。ガレット・デ・ロワ・パレ・オールにはカライブ(カカオ分66%)とグアナラ(70%)」
カライブとはフランス語で「カリブ地域」という意味で、カリブ地域産のカカオ豆から生まれたチョコレートです。カライブは味に丸みと格別なフルーティさを与えるカリブ海産のトリニタリオ種を使用。ふくらみのあるまろやかな香り。ドライフルーツ、プルーン、フレッシュなタバコ、焼き立てのパンの風味が特徴。
グアナラはクリオロ種とトリニタリオ種のカカオ豆のブレンドが持つ豊かなはっきりとした風味がほとばしり、南米地方特有の長く口の中に残る酸味と強く立ち上るアロマが、力強いカカオの風味の秘密です。
「ガレット・デ・ロワ・パレ・アルジャンはタナリヴァ・ラクテ(33%)と…」
「…タイノリ(64%)です」
タナリヴァ・ラクテは、マダガスカル島の首都「アンタナナリボ」から名付けられた純マダガスカル産のクリオロ種とトリニタリオ種で作られたチョコレートです。マダガスカル産の豆の芳しさが引き立ち、砂糖の甘さは控えめです。
タイノリは、良質なカカオ豆を産出する原産地にこだわり個性あるクーベルチュールを提案するヴァローナ社の新シリーズ「グラン・クリュ・テロワール」の中の一品。ドミニカ共和国産トリニタリオ種カカオを使用していて、フレッシュな酸味とローストアーモンドのような芳ばしさを併せ持つブラック・チョコレートです。
Grands Crus Dominos CHUAO
(BONNAT)
「ワンダフルハウスさん、これを食べてみてください」「このショコラは?(゚O゚)\」「フランスのヴォアロンにあるボナの『グラン・クリュ・ドミノ』というシングル・ビーンズ・チョコレートです。それは、チュアオ(Chuao)というベネズエラ産のカカオ豆を使ったものです」
ボナの『グラン・クリュ』は全部で8種類。チュアオ(Chuao)の他にはコートジボアール(Cote d’lvoire)、マダガスカル(Madagascar)、セイロン(Ceylan)、トリニテ(Trinite)、エクアドル(Equateur)、プエルトカベーロ(Puerto Cabello)、ハシエンダ・エル・ロザリオ(Hacienda el Rosario)があります。
「強めのスッキリした酸味とタバコの香り(-Q-)…酸味苦味共に強い味の濃さを感じます(-Q-)…これは厳選されたカカオだけが持つ最高峰の味わいです!\(^Q^)/」「ボナはベルナションと同じようにカカオからチョコレートを作っているのです。広尾に店がありますよ」
1種類のカカオ豆だけを使うシングル・ビーンズ・チョコレートは、本当に良質のカカオでしか作れないといわれています。 ボナ社は1904年に世界で初めてシングル・ビーンズ・チョコレートの製造に成功しました。そして、創業100周年を迎えた1983年に新たに「グラン・クリュ」の名でカカオの産地別に7種類のシングルビーンズチョコレートを発表。以来このグランクリュシリーズは、世界中のチョコレートファンを魅了し続けています。
ここで、子供の頃からアンドレ・ルコント氏の薫陶を受け、ローラン・デュシェーヌ氏とピエール・エルメ氏の薫陶も受けた島田徹シェフが登場…「ワンダフルハウスさん、これは僕の新作でクロコダイル・ニョンボ(ニアンボ)とアンヴィです」
クロコダイル・ニョンボ
472円
「ニョンボ?(゚O゚)\」「ヴァローナのカカオ産地指定のクーベルチュールの中からガーナ産の『ニアンボ』(カカオ68%)を使いました」
「これは面白い! ドーム型のチョコレートケーキの周りにブラックチョコとホワイトチョコを貼り付けてあります」
「おっ、ワニ革のショコラです!(^O^)\ ホワイトチョコレートはヴァローナのイヴォワールですね」
「それでは、ニアンボをテイスティングしてみましょう…強いスパイシーな香り(-Q-)…アタック(最初に舌が感じる味)は優しい味…ほのかな酸味に続き、温かみのある柔らかな苦味が(-Q-)…70%近いカカオ分の割りには上品な味わいです(^Q^)」
「中はムース・ショコラとビスキュイ・ダマンド・ショコラですね(^-^)\」「ニアンボは外側と中のムースに使っています」「どうしてビスキュイには使わないのですか?(゚O゚)\」「ビスキュイにはニアンボのようなシングルオリジンの高級なクーベルチュールは適さないのです。オーブンで焼いた時にチョコレートの繊細な風味が損なわれてしまうから意味がありません。クーベルチュールをお菓子にした時の風味の変化を知ることはパティシエの基本なのです」
アンヴィ
525円
「envie アンヴィ」…「欲望」という意味を持つプティ・ガトーの登場です。
「おっ、これもワニ革のショコラです(^O^)\ クーベルチュールはヴァローナのイボワールですね」
円いショコラの上に銀箔…これはパレ・アルジャンのホワイトチョコレート版&プティ・ガトー版といったところでしょうか
「イヴォワール(カカオ分35%)で出来たクロコダイル柄ショコラをテイスティングしてみましょう…強烈な天然バニラの香り(-Q-)…非常にクリーミーでコクがあります(-Q-)…ホワイトチョコレートというより、フレッシュバターを味わっているかのような印象を受けました(^Q^)」
「バニラ風味のマスカルポーネクリームの中に赤いジュレとダックワーズを砕いたような層が…野バラと苺を組み合わせた、香り高い優雅な味わいです(^Q^)」
「ワンダフルハウスさん、チョコレート菓子の50%は原料のクーベルチュールで決まります。しかし、高品質なクーベルチュールを使えば美味しくできるわけではありませんよ。大切なのはコンポジションとコンビネーションです。コンポジションは、どれくらいの比率でチョコレートを使うか。コンビネーションは、何と組み合わせるか。この2点を基に、名前より味をみて、最適なクーベルチュールを選ぶ能力を磨くのです。まずは、チョコレートをよくテイスティングすること。また材料の知識をしっかり持つことは、自由な発想の助けになります。年々チョコレートが多様化する今日、日頃の勉強がますます大切になるのです」「私もチョコレート自体の味わいの豊かな幅と、応用範囲の広さにすっかり魅せられたようです…それでは、金と銀のガレット・デ・ロワをいただきましょう(^Q^)/」
Galette des Rois au Chocolat Noir a la Palet Or
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ノワール・ア・ラ・パレ・オール
(特注品)
「ついにパティシエ・シマに新しいスペシャリテが誕生しました!\(^○^)/」
Galette des Rois au Chocolat Noir a la Palet Or Le palet d'or
(BERNACHON)
「ついにベルナションのパレ・ドールに匹敵するガレット・デ・ロワが完成したのです!\(^O^)/」
1999年に亡くなられた先代のオーナー モーリス・ベルナション氏が、1952年の創業当時から造っていたパレ・ドールと呼ばれる薄い円筒型をしたこのボンボン・ショコラは、1947年に開発されたスイス・トイスチャー社のシャンパントリュフに次いで歴史のあるボンボン・ショコラです。
「それにしても黒い! シュンスケ・サエグサ・モデルより黒いです…(゚O゚)\
「フィユタージュにカカオパウダーを混ぜただけでは、ここまで黒くならないはず…島田会長は何か秘密の色粉を使ったようです」
「おおっ!? このクープ(模様)は…(゚O゚)\
「カカオポッド柄です!(゚O゚:)\
「こ…これは“神々の食べ物”という意味です!(゚O゚:)\
「神々の食べ物」という意味を持つ、学名「テオブロマ・カカオ Theobroma cacao」柄のガレット・デ・ロワの誕生です。
カカオの実は、「カカオポッド」といわれます。 始めは緑色ですが、やがて黄色味を帯び、最後には赤褐色の立派なカカオポッドになります。 大きさは長さ12〜25cm、直径15cmほど。
その形は、まさにラグビーボール。 これがカカオの樹の幹にも枝にも、びっしりとぶら下がるように実ります。
カカオ豆は、このカカオポッドの中にあります。豆は白いパルプに覆われていて、カカオポッド1個に20〜40粒入っています。カカオ豆は白いパルプごと実からはがされ、発酵・乾燥という過程を経て、ようやくチョコレートの原料となるカカオ豆となるのです。
「金箔と金粉でキラキラ光っています」
「これは金箔スプレーを吹きかけてあるのです」
「こうして見ると、ベルナションのパレ・ドールのようでもあり、ダロワイヨのオペラのようでもあります(^-^)\」
「このフィユタージュは不思議です。上面は真っ黒なのに、側面は普通の色ですよ?(゚O゚)\
ガレット・デ・ロワ
パレ・オール
ガレット・デ・ロワ
パレ・アルジャン
「考えられることは、フィユタージュ生地を作る時点では、黒い色粉は投入していないのです。なぜ黒いのかは謎です」
「ガナッシュが見えました(^-^)\」
「表から見ると、フィユタージュとガナッシュだけで、クレーム・ダマンドの層は無さそうな感じです」
Galette des Rois au Chocolat Lactee a la Palet Argent
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ラクテ・ア・ラ・パレ・アルジャン
(特注品)
「ここまで来ると、フランスの伝統菓子や宗教菓子の領域を超えて、宇宙を感じさせます(゚O゚:)\
「銀の円盤」という意味を持つ、ガレット・デ・ロワの誕生です。
「これも“シュンスケ・サエグサ・ガレット”より黒い!」
「そして、これもカカオポッド柄。細く繊細な線で彫られています」
「銀箔と銀粉でキラキラ光っています」
「これは銀箔スプレーを吹きかけてあるのです」
「銀箔は金箔よりコストが安いのでしょうか?…大量に貼り付けてあります」
「これもガナッシュがサンドされているようです」
「こちらは、クーベルチュールにミルクタイプの『タナリヴァ・ラクテ』を使用しているので、ガナッシュの色は薄いはず…」
ガレット・デ・ロワ・パレ・オールとパレ・アルジャンがカットされました。
ガレット・デ・ロワ
パレ・オール
「中は真っ黒ではないですよ(゚O゚)\
クレーム・ダマンドの層はありません! フィユタージュとガナッシュだけです!(゚O゚)\
ガレット・デ・ロワ
パレ・アルジャン
「パレ・アルジャンはラクテタイプなのでガナッシュの色が薄いですね(^-^)\」
「パレ・アルジャンもフィユタージュとガナッシュだけです」
ガレット・デ・ロワ
パレ・オール
ガレット・デ・ロワ
パレ・アルジャン
「ノワールとラクテ…クーベルチュールが違うと、ここまで色が違ってくるのです」
ガレット・デ・ロワ
パレ・オール
ガレット・デ・ロワ・ショコラ・ノワール
SHUNSUKE SAEGUSA
「どう見ても、シュンスケ・サエグサ・モデルの方が格が上です!(゚O゚)\」
ガレット・デ・ロワ
パレ・アルジャン
ガレット・デ・ロワ・ショコラ・ノワール
SHUNSUKE SAEGUSA
「ガナッシュが端まで詰まっていて、作り方が非常に丁寧な感じ…そして、クレーム・フランジパーヌ・ショコラの層があるので、全体的にしっとり感があるのです。やはり、これは5年先のガレット・デ・ロワです」
ガレット・デ・ロワ
パレ・オール
ガレット・デ・ロワ・ショコラ・ノワール
SHUNSUKE SAEGUSA
「島田会長! 三枝シェフ用に作ったショコラのガレット・デ・ロワですが、クーベルチュールは何を使ったのですか?(^O^)/」
「ヴァローナのカライブと…」
Macaron Sao Thome
マカロン・サントメ
630円(3個入)
Coeur Sao Thome
クール・サントメ
1050円
(2009年ヴァレンタイン限定商品)
「サントメです」「おお…アフリカにおける初めてのカカオの植林地で、20世紀初頭には世界一のカカオ生産国でありながら、1975年にポルトガルから独立して以降は生産が急激に落ち込み、近年まで忘れ去られていたサントメ・プリンシペ共和国産の超希少なカカオを使っていたとは…道理で重くて力強いカカオの味がしたはずです!(゚O゚)\
Galette des Rois au Chocolat Noir Origine Sao Thome
“SHUNSUKE SAEGUSA”
三枝俊介氏のためのガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ノワール・オリジーヌ・サントメ
(パティシエ・シマ 特注品)
日本のトップ・パティシエから日本のトップ・ショコラティエに向けて作られたショコラのガレット・デ・ロワは、アフリカ・ギニア湾に浮かぶ赤道直下にあるサントメ島の最高級トリニタリオ種カカオを使ったものだったのです
ガレット・デ・ロワ
パレ・オール
「カットされたので、“金の円盤”ではなくなってしまいましたね(^-^ゞ」
「おおっ!? よく見ると、ガナッシュの上下に極薄いクレーム・フランジパーヌ・ショコラの層が存在しています!(゚O゚)\
「ちょっと前回とは変えてみたのです」「どうして変えたのですか?(^O^)/」「自分自身の味の好みとお客様の味の好み…それが合わさって店のお菓子の味が作られていくのですから、複数の種類のショコラのガレット・デ・ロワを作るなら、それぞれに異なった素材の選び方、異なった作り方が必要。このことをまず第一に理解していただきたいと思います。俗に言う“スペシャリテ”とは、お客様と共に時を重ねて育て上げていくもの。お客様の声を聞いて味を強めたり弱めたりしながら、お互いに納得のいく味となって出来上がっていくお菓子がスペシャリテなのです」
「ところでワンダフルハウスさん、ガレット・デ・ロワを食べる前にクーベルチュールをテイスティングしてみてください」「ガレット・デ・ロワ・パレ・オールは、カライブとグアナラでしたね(^-^)\」
カライブ カカオ分66%
(ヴァローナ)
「まず色を見てみましょう…マホガニー色です(^-^)\…次に香りを…ドライフルーツ、プルーン、ローストしたアーモンド、焼き立てのパン、森の香り、高級葉巻タバコを思わせる芳香(-Q-)…」「カライブは酸味を伴わず、コーヒーのような心地良い苦味と香りを持ち、他の材料と合わせた時に絶妙なバランスを発揮してくれます。このチョコレートに出会って、私のチョコレート菓子に対する考え方が変わったほど惚れ込んでいます。カリブ海諸国で収穫したカカオ豆をブレンドして作られ、カカオ分の含有率は66%です」
カライブ
パキッ!…おっ?割った時に鋭い音がしました(゚O゚)\」「それは、正しい温度と時間でテンパリングしてあるからです。テンパリングを怠ると、割った時に鈍い音がしたり、チョコレートの風味が落ちたり、口当たりの滑らかさが失われ、表面に白い皮膜が張ったようになってしまうのです」「それでは、小さい方の欠片を口に含み、細かく噛み砕いてから舌の上でゆっくり溶かします…ちょっと苦味があって、ほのかにヴァニラとコーヒーのような味を感じます(-Q-)…後口に豊かなショコラの風味とフルーツの香りに富んだバランスのとれたまろやかさが残ります(^Q^)…私もヴァローナのカライブに出会ったことで、ショコラに対する考え方が変わりました!\(^○^)/」
グアナラ カカオ分70%
(ヴァローナ)
「グアナラは濃い褐色です!(゚O゚)\…強いローストをかけたような焼き焦げた香り(-Q-)…」
グアナラ
非常にチョコレートらしい豊かなはっきりした苦味…これは、カライブよりももう少し苦味を強調した感じです(-Q-)…そして強い酸味…チョコレート特有の力強く持続性のある風味がほとばしります(-Q-)…南米地方特有の長く口の中に残る酸味…アフターには力強くアロマが立ち上ります!↑(^Q^)↑」
「生クリームを沸騰させ、細かく刻んだカライブとグアナラを入れて、滑らかになるまで混ぜ合わせたものが、このガナッシュなのです」
「このようなガレット・デ・ロワを味わうには、チョコレートへの深い知識と感性が必要なようです(^0_0^)」
「表面が“焦げている”と言っていいほど黒い謎のフィユタージュ」
「ガナッシュの上下にある薄いクレーム・フランジパーヌ・ショコラの層を、ついに発掘しました!\(^O^)/」
「おおっ!? ガナッシュが大トロに見えますよ?(゚O゚)\
ガレット・デ・ロワ
パレ・オール
Le palet d'or
(BERNACHON)
「んんっ!…これは?…ベルナションのパレ・ドールを彷彿とさせる味わいです(^Q^)」
ガレット・デ・ロワ
パレ・オール
パレ・ド・オール・ノワール
(パレ・ド・オール)
ガナッシュ・ノワールとフィユタージュがショコラ好きを唸らせるコクと深みを奏でております(^Q^)…三枝シェフのパレ・ド・オール・ノワールのようにです」
ガレット・デ・ロワ
パレ・アルジャン
「カットされたので、“銀の円盤”ではなくなってしまいましたね(^-^ゞ」
「おおっ!? よく見ると、ガレット・デ・ロワ・パレ・オールと同じように、ガナッシュの上下に極薄いクレーム・フランジパーヌ・ショコラの層が存在しています!(゚O゚)\
「パレ・アルジャンのガナッシュはラクテタイプなので、クーベルチュールにミルクチョコレートが使われています…タナリヴァ・ラクテとタイノリでしたね」
タナリヴァ・ラクテ カカオ分33%
(ヴァローナ)
タナリヴァ・ラクテは、希少価値の高いマダガスカル産クリオロ種のカカオ豆を使用しています…おっ!ショコラ・ラクテ(ミルクチョコレート)らしいブロンズを思わせる明るい色合いです(^-^)\…クンクン(-Q-)…ミルクキャラメルと天然バニラの香りがします…
タナリヴァ・ラクテ
「ミルクのコク、キャラメルの深い香りと、ほのかな酸味を感じます(-Q-)…しっかりと甘く、濃厚な牛乳の風味…日本人に広く受け入れられそうな味わいです!\(^Q^)/」「ワンダフルハウスさん、最近はメーカーやマスコミから多くのチョコレート情報が流されていますが、それにただ流されるようなことはあってはいけません。自分の舌でテイスティングしてみることです。値段が安くてもそれなりに美味しいチョコレートもあるし、それほど知られていなくても自分の好みに合うチョコレートが見つかるかもしれませんよ」
タイノリ カカオ分64%
(ヴァローナ)
「タイノリはドミニカ共和国トリニタリオ種カカオ豆を使用…おっ!こちらはショコラ・ノワール(ブラックチョコレート)ですね(゚O゚)\…色は濃い褐色…ローストアーモンドや焼きたてパンのような香り(-Q-)…」
タイノリ
「これは意外です…ショコラ・ノワールなのに苦味よりも甘酸っぱいフルーティな酸味を感じるのです(-Q-)…フレッシュなフルーツのような爽やかな酸味が長く口の中に残ります(^Q^)」
「生クリームを沸騰させ、細かく刻んだタナリヴァ・ラクテとタイノリを入れて、滑らかになるまで混ぜ合わせたものが、このガナッシュなのです」
「ラクテタイプのガナッシュを挟んだガレット・デ・ロワは、これが世界初登場ですね(^-^)\」
「ここ数年、ガレット・デ・ロワをあちこちのパティスリーで見かけるようになりました。マカロンもそうですが、アーモンドたっぷりの濃いフランス菓子が、日本でも売れるようになったのです。そして、新年にガレット・デ・ロワを楽しむ習慣が浸透してきたとも言えます。このようなタイプのガレット・デ・ロワが1年でも早く日本に普及することを願って、一足お先にワンダフルハウスが試食させていただきます(^Q^)」
「ガナッシュの上下にあるクレーム・フランジパーヌ・ショコラの層を発掘しました!」
「このガナッシュは大トロには見えませんね(^-^)\ 色が薄いので、クーベルチュールのブレンド比率はタナリヴァ・ラクテの方がタイノリよりも圧倒的に多いようです」
「んんっ?…これは?…ラクテタイプと言ってもミルクチョコレートのようなまろやかさは少なく、限りなくノワールに近い風味です。見ための色合いよりもタイノリのブレンド比率が高いようです。あるいは、少し塩を加えているのかもしれません。パリのショコラ愛好会『クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ』のメンバーに食べさせてあげたい高度な味わいです(^Q^)」
ガレット・デ・ロワ
パレ・アルジャン
パレ・ド・オール・ラクテ
(パレ・ド・オール)
「そして、三枝シェフのパレ・ド・オール・ラクテをも彷彿とさせる味わいです!(^Q^)」
「それでは、島田会長に実験的に作っていただいた4台のガレット・デ・ロワ・オ・ショコラを総括してみたいと思います。まず最初に作られた三枝俊介氏のためのガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ノワール・オリジーヌ・サントメ。最もコストが高く、先進的な作品。結局これが一番美味でした(^Q^) これを超えることは、東京はもちろんのこと、パリでも5年は無理だと思います。職人が職人に向けて作った作品なので、一般客に売られる商品とはレベルが違うのです
「次に作られた一人用ガレット・デ・ロワは、フィユタージュとガナッシュのみの構造。このアンコのようなドロドロしたガナッシュは生クリームの分量が多いのだと思います。島田会長はわざと構造と味を弱めて様子を見たようです」
「パティシエ・シマのスペシャリテにするべく作られた作品。現実に店で売られるとしたら、これに一番近いタイプだと予想されます。ガナッシュとフィユタージュの間に極薄のクレーム・フランジパーヌ・ショコラの層を挟んで、微調整を加えてきました。島田会長自身が美味しいと感じる味に出来るだけ近づけてきたのです」
「ところで島田会長!パティシエ・シマでは2010年1月のシーズンにショコラのガレット・デ・ロワをいよいよ発売するのですか?(^O^)/」「常に微調整の日々。これが菓子屋の仕事です」と話題をはぐらかす島田会長。素材を知り、選び、使いこなし、微調整を加えることで、本当に自分の求める味を再現でき、さらにその品質を自分の手で一定に管理することが出来る。これが40年もの経験に裏打ちされたテクニックです。これこそが本当に基本的な職人のテクニックと言えます。

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