わんだふるはうす、パティシエ・シマに行く

ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ
ヴァローナP125 et 新宿花園万頭ぬれ甘なつと

カカオは54%の油脂分と46%の固形分でできていますが、この比率をヴァローナ社が6年もの歳月を費やして開発した新しいテクノロジーによって、逆転させることに成功しました。その結果、42.5%の油脂分と57.5%の固形分という、これまでにない配合のカカオ「P125 クール・ド・グアナラ」が完成。油脂分と固形分が逆転した結果、カカオの風味に影響する固形分効率が、従来のカカオマスに比べて25%増しになったというわけで、カカオ分125%といえる商品が誕生したというのです。カカオの油脂分は無味無臭で、味・香り・色は固形分によるものです。固形分が多いということは、たとえばガナッシュを作る場合、今までのクーベルチュールチョコレートよりもP125を使った方が味・香り・色…全て濃くなるわけです。2009年9月、クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ会長 島田進さんのお店「パティシエ・シマ」をワンダフルハウスが訪ね、P125を使ったショコラのガレット・デ・ロワを作っていただきました。

2009年8月

「ワンダフルハウスさん、ヴァローナのクーベルチュールをテイスティングしてみてください」
「おっ、カカオ豆を模したフェーブタイプのクーベルチュールです。最も溶けにくい中心部分に窪みをつけて薄くすることで、均一に溶かしやすくしているのですね(^-^)\」「この2つのうち1つはP125というカカオ125%の新商品。もう1つはカカオ68%のニアンボです」「カカオ125%!?…100%以上のカカオがあったとは!(゚O゚)\」
カカオそのものの組成を変えてしまった革命的なクーベルチュールチョコレート「P125」の登場です。
カカオは54%の油脂分と46%の固形分でできていますが、この比率をヴァローナ社が6年もの歳月を費やして開発した新しいテクノロジーによって、逆転させることに成功しました。
その結果、42%の油脂分と58%の固形分という、これまでにない配合のカカオが完成したのです。油脂分と固形分が逆転した結果、カカオの風味に影響する固形分効率が、従来のカカオマスに比べて25%増しになったというわけで、カカオ分125%といえる商品が誕生したのです。
P125 Coeur de guanaja
カカオ125%
VALRHONA
NYANGBO
カカオ68%
VALRHONA
「こちらは白っぽい粉のようなものが付着しています。一度溶けたチョコを再び固めたような感じがします(゚-゚)\」 「黒くて光っていて見るからにビターな感じ…わかった!…こちらがP125です!(^O^)\」
NYANGBO
カカオ68%
VALRHONA
「ワンダフルハウスさん、そっちはカカオ68%のニアンボですよ」
Charlotte au chocolat noir
シャルロット・オ・ショコラ・ノワール
特注品
「ヴァローナのニアンボを使ったガトーといえば、先日作っていただいたシャルロット・オ・ショコラ・ノワールです(^-^)\」「あれは、上の渦巻きチョコレートと外側のビスキュイは私が作り、中のババロワは徹が作りました。渦巻きのチョコレートは鉄板を冷やして、その上で瞬間テンパリングしたのです」
NYANGBO
カカオ68%
VALRHONA
ガーナ産の「ニアンボ」(カカオ68%)は、ヴァローナのカカオ産地指定のクーベルチュールシリーズの一つです。
「それでは、ニアンボをテイスティングしてみましょう…強いスパイシーな香り(-Q-)…アタック(最初に舌が感じる味)は優しい味…ほのかな酸味に続き、温かみのある柔らかな苦味が(-Q-)…70%近いカカオ分の割りには上品な味わいです(^Q^)」
P125 クール・ド・グアナラ
カカオ125%
VALRHONA
2009年9月発売
例えば、エクレアに詰めるクレーム・パティシエール・ショコラを作る時、味を強くしようとしてチョコレートの量を増やすと、硬くて重いものになってしまいまいます。そんな時にP125を使えば、カカオの風味を強くしつつ、食感の柔らかさや滑らかさも出すことができるようになったのです。
「ねっとりとした食感…インパクトが強く…凄く濃い…これは濃縮チョコレートです!(>Q<)」
チョコレートの歴史上、初めてカカオ100%を超えたP125。発売前に世界中の著名なパティシエ・ショコラティエのアトリエに届けられ、現在はP125を使った様々なチョコレート商品の試作が重ねられている段階なのです。

2009年9月

「おおっ!? これは!?」
「9月なのにガレット・デ・ロワ?(゚O゚)\」
島田会長がチョコレートを散らして完成しました。
「おっ、カカオ豆を模したフェーブタイプのクーベルチュールです!(゚O゚)\」
「こ…これは…ヴァローナのP125です!(゚O゚)\」
「クーベルチュールにP125だけを使ったショコラのガレット・デ・ロワは、クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ会長 島田進氏(パティシエ・シマ)の手によって,、たった今(9月初旬)完成しました。
Galette des rois au chocolat P125 Coeur de guanaja
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ P125 クール・ド・グアナラ
特注品
クーベルチュールにヴァローナのP125だけを使用した世界初のガレット・デ・ロワの登場です。
「世界中でまだ誰も食べたことがないガレット・デ・ロワ…こ…これは凄い!(゚O゚:)\」
Galette des Rois au Chocolat Noir
“SHUNSUKE SAEGUSA”
パレ・ド・オール 三枝俊介氏に贈った
ガレット・デ・ロワ・ショコラ・ノワール
(特注品)
Galette des Rois au Chocolat Individuel
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・アンディヴィデュエル
一人用ガレット・デ・ロワ・ショコラ
(特注品)
ここで今までに島田会長が作った4種類のショコラのガレット・デ・ロワを振り返ってみましょう。4種類全てのパイ生地にカカオパウダーを入れたフィユタージュ・オ・ショコラ…つまり黒いパイ生地でした。
Galette des Rois au Chocolat Noir a la Palet Or
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ノワール・ア・ラ・パレ・オール
ブラックチョコレートのガレット・デ・ロワ
金の円盤風
(特注品)
Galette des Rois au Chocolat Lactee a la Palet Argent
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ラクテ・ア・ラ・パレ・アルジャン
ミルクチョコレートのガレット・デ・ロワ
銀の円盤風
(特注品)
「P125」は、扱い方が通常のチョコレートとは全く異なるので、今までのルセットは使えなくなってしまいました。世界中の著名なパティシエ・ショコラティエの方々は、現在P125を使用したお菓子を開発中なのですが…
「日本のガレット・デ・ロワ作りの第一人者である島田進会長が、P125を使ったガレット・デ・ロワを世界に先駆けて見せてくれたのです!(゚O゚)\」
「フィユタージュは黒くありません。カカオパウダーは入っていないナチュールです…おおっ!? このガレット・デ・ロワは、真ん中にガナッシュをはさんだタイプではありませんよ!(゚O゚)\」
「中身を詰めてからオーブンで焼いたものです!(゚O゚)\」
Galette des Rois au Chocolat Noir
“SHUNSUKE SAEGUSA”
パレ・ド・オール 三枝俊介氏に贈った
ガレット・デ・ロワ・ショコラ・ノワール
(特注品)
Galette des Rois au Chocolat Individuel
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・アンディヴィデュエル
一人用ガレット・デ・ロワ・ショコラ
(特注品)
今までのチョコレートのガレット・デ・ロワは、焼き上げた後、横2つにスライスしてガナッシュをサンドしてありました。
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ノワール・ア・ラ・パレ・オール ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ラクテ・ア・ラ・パレ・アルジャン
そのために、フィユタージュ(折り込みパイ生地)が上下に別れていて、隙間からガナッシュが見えていたのです。
「P125は、この中にどのような形で詰まっているのでしょうか!?(゚O゚)\」
オーブンに入れる前にナイフの先っちょで上面に十数ヶ所穴を開けて空気穴を作るのです。
「空気穴から覗いてみましょう…来年のガレット・デ・ロワのトレンドが見えるかもしれません(^-^)\」
「ショコラというよりも餡子のような色合いですよ?(゚O゚)\」
「ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・P125がカットされました。
「中は真っ黒ですね」
パレ・ド・オール 三枝俊介氏に贈った
ガレット・デ・ロワ・ショコラ・ノワール
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・アンディヴィデュエル
今までのチョコレートのガレット・デ・ロワの断面を見てみましょう。
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ノワール・ア・ラ・パレ・オール ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ・ラクテ・ア・ラ・パレ・アルジャン
全てガナッシュがサンドしてありました。
「このザラザラした素材感は?…これはクレーム・フランジパーヌ・ショコラかクレーム・ダマンド・ショコラです!(゚O゚)\」
「粒状の白っぽい断面が見えております…小豆のような…(゚O゚)\」
「これは甘納豆です!(゚O゚)\」
Galette des rois au chocolat
P125 Coeur de guanaja et “Nure-Amanatto”
ガレット・デ・ロワ・オ・ショコラ
P125 クール・ド・グアナラ&ぬれ甘なつと
特注品
フランス・ヴァローナ社のP125を使った世界初のガレット・デ・ロワは、日本のお正月にしっくりと馴染む、和素材仕立てのガレット・デ・ロワとなりました。
パティスリーの世界は、日本からフランスへ情報を発信しなければならない時代。創作菓子ではなく、基本に則した形での日本独自のフランス菓子として、抹茶や小豆、胡麻、栗、白味噌、サツマイモを使った「和」のガレット・デ・ロワは既に珍しくはありません。
「こ…これは凄い! 島田会長が全てにおいて新しいガレット・デ・ロワを提案してきました!(゚O゚)\」
「フランス・ヴァローナ社のP125を使ったクレーム・ダマンド・ショコラに、東京新宿花園万頭の『ぬれ甘なつと』を合わせてきたのです!(゚O゚:)\」
「『ぬれ甘なつと』が入っているおかげでチョコレートには見えません。ガレット・デ・ロワに餡子が詰まっているように見えませんか?(゚-゚)\」
クレーム・パティシエール(カスタードクリーム)は使っていないそうです。したがって、クレーム・フランジパーヌ・ショコラではなく、クレーム・ダマンド・ショコラでした。
「ところで、『ぬれ甘なつと』とは何でしょう?(゚O゚)\」
ぬれ甘なつと
東京新宿花園万頭
210円〜
「ほぅ、これが『ぬれ甘なつと』ですか…普通の甘納豆とは違う…小粒で濡れています!(゚O゚)\」

東京新宿花園万頭は1834(天保5)年に加賀百万石の城下町、現在の石川県金沢市で「石川屋本舗」として創業した歴史ある和菓子店。明治末期東京に進出し、1916(昭和5)年に新宿へ移転して、近隣にある新宿の鎮守花園神社の名にちなみ、店名も「花園万頭」に。職人技が光る「ぬれ甘なつと」や上質な素材を使った「花園万頭」など伝統に培われた和菓子のほか、一口サイズの最中がセットになった「ぬれ甘なつと 壹(いつ)」といった、和菓子の枠にとらわれないユニークな商品も人気です。また、隣接する甘味処「花園茶寮」では四季折々の和菓子が楽しめます。甘雨亭という茶室もあり、「花園万頭とお抹茶」など裏千家の方のお手前で上質なひと時を過ごすこともできます。

「今朝採れたばかりのブルーベリーやカシスのようなみずみずしさがありますね(^-^)\」
北海道産の粒選り大納言の姿を崩すことなく外皮をやわらかく煮上げ、見た目にもしっとりと美しい艶を出し、豆芯までほどよい上品な甘味をよく含ませた舌にとろけるような甘納豆です。
「どんなものか一口いただいてみましょう…しっとりとした舌触りの後にほのかな甘みが…これは一口では済みません…スプーンでパクパクいけます!\(^Q^)/」
「ぬれ甘なつと」はマロングラッセに似ていますね。
ぬれ甘なつと
東京新宿花園万頭
210円〜
マロングラッセ
パティシエ・シマ
315円
甘納豆は和菓子という日本の伝統文化の中に昔からあった日本のコンフィズリーだったのです。フランスでは豆といえば塩味。料理に使うものなので、フランス人に甘納豆を食べさせるとちょっと不思議そうな顔をするかもしれませんが、今回のようにクレームダマンドショコラに混ぜて、ガレット・デ・ロワの中に詰めてしまえば、フランス人も食べられそうな感じはします。
6年かけてP125を開発したヴァローナ社の開発チームもこれを見たらビックリするでしょう。世界初のカカオ分125%ショコラを使ったクレーム・ダマンド・ショコラに、北海道産大納言小豆とグラニュー糖のみで作られた日本の超高級ブランド甘納豆が混ぜ合わされたのです。
ガレット・デ・ロワを進化させるとなると、パイ生地は基本的には遊べないですから、クリームをアレンジするということになります。
アーモンドクリームにカカオ125%チョコレートを混ぜ合わせ…そしてさらにワンステップ上げて、甘納豆という日本独自のものを混ぜ込んだのが、今回の試作品の正体なのです。
「おーっ!? 予想していたほどショコラ感は強くありませんが、今までに食べたガレット・デ・ロワの中では最高に美味です!\(^Q^)/ P125の強烈過ぎるすぎるカカオ感が、『ぬれ甘なつと』の甘みで中和されているのでしょうか?」
「それにしても、これは今までのガレット・デ・ロワの概念を超えています!(゚Q゚)\ クリームは、ヴァローナのP125を使ったクレームダマンドショコラと新宿花園万頭のぬれ甘納豆を粗くザックリと合わせたもので、軽さが出ています」
「このような素材感のクリームは初めて見ました。ショコラとアーモンドの味もする不思議な軽いあんこという感じなのです!(゚O゚)\」
「今までのガレット・デ・ロワに詰められていたクレーム・ダマンドやクレーム・フランジパーヌにはなかった素晴らしい口溶けです!(^Q^)」
「さすがにヴァローナ社。クリームが固くなることはなく、ショコラの味わいも香りも色も濃く出ています」
クレームダマンドショコラも美味しい、甘納豆も美味しい、両方一緒に食べても美味しいというように素材の存在感を別々に表現してあります。
クリームの水分が多いと生地が流れてきたり、サイドからはみ出したりする原因になります。かといって、水分を飛ばすために火を入れ過ぎると、甘納豆の粒の食感がなくなってしまいます。
今までの考え方では、「P125 クール・ド・グアナラ」の魅力を引き出すことはできないことがよくわかりました。島田会長のような一工夫が必要なようです。
「このガレット・デ・ロワの中に、パティスリーとショコラトリーの未来が見えました!(^O^)\」

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