パート・フィユテはとりわけ美味なパイ生地ですが、何人かの歴史家が言っているように、17世紀の有名な画家クロード・ジュレ(1600〜1682)によって発明されたのでしょうか? それとも他の書物の著者たちが主張するように、コンデ家の菓子係の頭であったフイエ(Feuillet)という職人によって発明されたのでしょうか? 残念ながらこの質問に答えるのは困難です。確かにパート・フィユテの発明は画家よりも菓子職人のものとした方が論理的と思われますが、しかしこの説を裏付ける確かな資料は何も無いからです。他方フィユタージュ(Feuilletage)の語がフイエから来たとするのもいささか子供じみています。フイエに関して言えば、彼は極めて偉大な菓子職人であり、料理人カレームはその著書「パリの王室菓子職人」でフイエを誉めていますが、菓子論集のどこにもフイエがフィユタージュの発明者であったとは言っていません。それに対して料理人ジョセフ・ファーヴル(1849〜1903)は「万有料理辞典」の中で「フイエがパート・フィユテの発明者であった」とはっきり言っています。ところで画家クロード・ジュレや菓子職人フイエが生きていた時代より、ずっと以前の資料を読めば、パート・フィユテが単に中世だけでなく、古代ギリシア人たちにも知られていたことが明らかです。アミアンの司教であったロベールは1311年の文書中でフィユタージュを使った菓子のことを記しています。画家クロード・ジュレは菓子製造の見習いになったことがあるといわれ、フィユタージュの菓子を好んでいたそうですから、これを彼の時代に再流行させたにすぎなかったのでしょう。画家を目指していた島田進さんが1968年に菓子製造の見習いとしてルコント六本木店に弟子入りしてから42年後の2010年4月1日、島田進さんのお店「パティシエ・シマ」で、師匠のアンドレ・ルコント氏が1981年に製作したパート・フィユテを使用した伝説の料理「Feuillete des mers du Japon」を菓子で再現していただきました。
ラトリエ・ド・シマ | |
「こんにちは! ポワソン・ダブリルはありますか?(^O^)/」 |
イースターエッグ 大 3150円 中 1050円 小 525円 |
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「ん?今年もニワトリや卵のチョコレートを飾ってありますね(^-^)\」 |
Le coq ニワトリ 大 3675円 小 840円 |
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イエス・キリストの復活を祝う復活祭、英語だとイースター、フランス語だとパック(パーク)ということになります。 |
ヨーロッパでは復活祭はクリスマスも超えるキリスト教の最重要行事とされています。多くの伝統的な教会が復活祭の40日ほど前から肉・卵・乳製品を節制する食事制限の期間を設けていて、復活祭の日にその禁が解かれ、肉料理や復活の象徴である卵を食べるのです。今年は4月4日がパックです。時季になると、ショコラティエ(チョコレート専門店)もパティスリー(菓子店)もブーランジュリー(パン店)も卵やニワトリやウサギのチョコレートを飾るのです。 |
Poisson en
Chocolat ポワッソン・アン・ショコラ 2100円 |
D'ecrevisses en
chocolat デクルヴィッス・アン・ショコラ 1575円 |
「魚とエクルヴィス(ザリガニ)のチョコレート…去年と同じだ…なぁんだ、つまらない!(^O^)\」「ワンダフルハウスさん、店の中を見回してごらんなさい」 |
「ん?(^-^)\」 |
「な…何だこれは!?(゚O゚:)\」 |
Tarte Poisson d'Avril du japon タルト・ポワッソン・ダブリル・デュ・ジャポン (特注品) |
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「こ…これは凄い!(゚O゚:)\」 |
Tarte Poisson d'Avril aux
Fraises タルト・ポワッソン・ダブリル・オー・フレーズ (特注品) |
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「それはアンドレ・ルコントさんが1981年に作ったポワソン・フィユテを島田進さんが菓子で再現したものなのです >・●)))彡」 |
Tarte Poisson d'Avril aux
Fraises タルト・ポワッソン・ダブリル・オー・フレーズ (特注品) |
Feuillete des Mers du Japon フィーユテ・デ・メール・デュ・ジャポン 製作 アンドレ・ルコント 1981年 |
「ルコントさんが29年前に作ったものは白身の魚介類(ムール貝、帆立貝、海老、イカ、牡蠣、、蟹、魚のクネル、舌平目のフィレ)を詰めたものでした」 |