リボン

by ユリさん

子供の頃からリボンが好きです。何かいいことのある日、いいとこへ行く日、となれば必ず髪にリボンを結んでた。色こそ、その頃の赤やピンクが大人になるにしたがって黒に変わりましたが、
「とにかくずうっとやってた。グログランのリボンが多いんです。表面がポコポコしてるのがやりやすいのね。サテンみたいなのはすべっちゃう」
リボンには、髪が前に落ちてこぬよう、実用的な意味も大いにあります。髪が顔にまつわりつくと、かゆくて気が散って、何をするにもよろしくない。ただ、少し前までは、大人がリボンするなんぞあきれかえる、という世の中でした。
「だから家にいる時だけやってました」
リボンを結んだまま堂々と、外へ出かけられるこの節、ほんと、喜ばしいかぎりです。大人の、何かいいことある日、いいとこ行く日なら、タフタなんかいいかもしれません。小さな髷に、ちょっと長めのリボンを結ぶ。
「でも私はぜんぜん持ってないの。グログランのを2本ぐらい。毎日、同じのを使ってるの。きったないね? もう結び目のクセがついちゃってる。でも、それじゃないとだめなの」

クロワッサン1985年12月10日号(No.194)
「リボンを結んで大人の優しい髪。」より

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