サファリ

サファリとは、アフリカでの狩猟旅行のことで、サファリルックとは、このときに着る狩猟服や旅行着のスタイルをいいます。サファリジャケットは、シャツカラー、エポーレット(肩章、肩飾り)付き、両胸と両脇にプリーツ入りのパッチ・アンド・フラップ・ポケットが付き、共地ベルトでウエストを締め、背中にはインパーデット・プリーツがとられています。素材はコットン、色は生成りで、前記のディテールのものが本格的ですが、これらのムードを感じさせるものもサファリジャケットと呼ぶようになりました。共地のパンツを付けた一式がサファリスーツと呼ばれています。1969年にイヴ・サンローランがサファリルックを発表して、1960年代後半から70年代前半にかけて大流行しました。

ワンダフルハウス私物
P0342FJ08 価格不明
(カールヘルム1994年夏物)
色はピンク、素材はレーヨンが35%入っています。金子功時代のカールヘルムの最終シーズンの服として、価値ある1着です。

サファリルックについては、1979年から1981年までananに連載された「金子功のいいものみつけた」の12回目(アンアン1979年9月11日号)「砂色を着る」で、金子さんが触れているので、それを紹介いたします。

砂の色、とひと口に言っても、影の部分や、濡れた砂やノルマンディーや鳥取や、さまざまな砂がある。サハラの砂はどんな色だろう。そんないろいろなベージュが集合。

昔――サファリ・スーツなどの流行るもっと前だったと思う。ジャルダン・デ・モード誌に、ベージュの服の特集が載った。その頃、日本ではベージュという色があまり注目されていなかったし、黄色い肌には似合わない色、という考え方が主流で。
そんな時代のジャルダンの、ベージュいっぱいページは、ほとんどショッキングなほどに新鮮だった。ベージュ、砂色、なんて素敵なんだろう、と思ったものだ。
ELLEでもヴォーグでも、砂色やキナリを見てドキドキした記憶がある。――今では日本のファッションも、この色を重要視する風潮にあるようだけれども。

砂色を楽しむ。もっともいい季節は今だと思う。まだ肌に日焼けが残る秋口、もっと深い秋ではなく、夏の続きの秋がいい。ベージュは何色にでも合う色だから、着こなしやすいと甘く見てしまうのだが――それは無難で面白味のないおしゃれにもつながりやすい考え方だ。
が、とにかく、たとえばグリーンも赤も合う、白も合う。そこで、敢えてベージュだけで統一してしまう着方を思いついた。ややグリーンがかった色と、ほんとうに砂の色と、上に着るシャツ、中のシャツ、パンツ、みんな似たりよったりの色。
赤や紫をもってこなくとも、秋口の日焼け肌で、全部ベージュに十分対抗できるのだ。
うすーいグリーンの庭か林を背景に立ったりすると映える。

NEW!

ちょっと茶の入ったスカーフを、のどの病みたいに巻く。シップスで買った男ものの靴下。小物で楽しめる装いだ。
たとえばベルト(これも色で選んだのだが)――ウエスタン調の合わせたりするより、なんでもない服にウエスタン風ベルト、という点がしゃれている。ヨーロッパ調のドレッシーな服にこのベルト、というのも、いま魅力的だ。
ウールの小物が恋しくなったら、砂色を楽しむ日が続くはず。

上のシャツ¥12000(スポーツトレイン)中に着てるシャツ¥3200、バッグ¥12800、ブーツ¥6900、パンツ8200(アウトポスト)商品・価格は全て1979年当時のものです。

PH・IB・KH1989年春夏コレクションのテーマは”サファリ”!

可愛いプリントや女の子らしいワンピースが主流の「ピンクハウス」に、ちょっとした異変が…。ショーの初めに登場したサファリシリーズに注目!
アフリカを舞台にした映画「愛と哀しみの果て(原題「アウト・オブ・アフリカ」)のロバート・レッドフォードとメリル・ストリープの洒落たサファリ・ファションを思わせるアイテムが勢揃い。サファリジャケット、乗馬パンツ、ショートパンツなどが初お目見え。
なぜ、この春サファリなのか!? デザイナーの金子功さんは、「イメージはパリのバカンス。夏休みにパリっ娘(こ)はモロッコやアフリカに出かけてくのね。そのときの格好がサファリ風。日本ではあんまりお馴染みじゃないけど、むこうでは定番的でね。これを自分なりにアレンジしたいと思って…。」
目指すは「ピンクハウス」風サファリ。乗馬パンツも赤、グリーン、ブルーとキュートな色を揃え、サファリジャケットにあえてレースのブラウスを合わせるコーディネートを提案。
「汗くさい兵隊ふうになってほしくない。大げさに言えば、サファリにコサージュを合わせるぐらい甘さがほしい。」

アンアン1989年2月10日号(662号)「おしゃれブランドの春の情報」より

ピンクハウスとカールヘルムのサファリ
左・ブラウス15,000円、ジャケット25,000円、パンツ14,500円、革ショルダーバッグ62,000円、綿ショルダーバッグ8,000円、サンダル31,000円、ソックス2,900円、雛菊コサージュ8,800円、菫(スミレ)コサージュ10,000円、バンダナ2,800円(ピンクハウス1989年春夏物)
右・パンサープリントシャツ(半袖)19,500円、ジャケット39,000円、コットンジョッパーズパンツ17,000円、ベスト29,000円、パンサー柄チョウタイ8,600円、ショルダーバッグ12,000円、ワークブーツとサファリハットは参考商品(カールヘルム1989年春夏物)
アンアン1989年2月3日号(No.661)広告「春の服、咲いた。」
カールヘルムのサファリ インゲボルグのサファリ
ハンティングハット9,800円、サファリジャケット、サファリベスト、象のプリントシャツ、牛革アフリカベルト24,000円、コットンワークブーツ12,000円、ナイロンリュック11,000円。全身砂色。これぞ、典型的サファリスタイル! メンズは、レースのブラウスの代わりに、ゼブラやパンサー、象などのアフリカの動物のプリントシャツを。
メンズノンノ1989年2月号(No.33)「Tokyo Men’s Collection Spring−Summer ’89」
サファリジャケット33,000円、コットンコート50,000円、コットン開襟シャツ16,000円、コットンスカート16,000円、レースブラウス47,000円、パンサープリントスカーフ17,000、ロゴ入りペンダント10,000円、ロゴ入りブローチ6,000円、牛革メッシュベルト15,000円、スエードブーツ43,000円。ジャケットとコートの裏地はパンサー柄です。
Fashion Yearbook おしゃれ年鑑’89春夏編 1989年3月15日発行

ワンダフルハウス私物

パンサープリントシャツ
P0392FB20
(カールヘルム1989年夏物)
ラクダプリントシャツ
7 KB−13
(カールヘルム1987年春物)
象プリントシャツ
P0391FB23
(カールヘルム1989年春物)
ジャケットは額縁、プリントシャツは絵にたとえてもいいでしょう。同じサファリジャケットでも、シャツの色や柄を替えることで、このように多彩な表情を見せることができるのです。
NEW!
麻でカバーオール、胸ポケットにゼブラ刺繍というのが素晴らしい。予約してやっと買えたベージュ。絵型には白と黒もあったので、全国で探してもらいましたが、生産してなかったのか、買えませんでした(^-^:)セットアップのパンツや同素材の靴やバッグも揃っていて、個人的には増田宏則さんデザインの最高傑作だと思います。
シマウマ刺繍麻ジャケット¥46000、サファリ柄アロハシャツ¥20000、麻パンツ¥22000(カールヘルム1996年春物)
セットアップのパンツもあるので、全身砂色のコーディネートの完成。普通のテーラードジャケットでも、シャツの柄でサファリテイストを表現することが可能になるのです。金子さんは上記の「いいものみつけた」で、砂色を楽しむには9月がいい、と言ってますが、私ワンダフルハウスは、今の時期(4月)のほうがベージュの気分なのですが、皆さんはどうでしょうか?
麻4つボタンシングルジャケット¥43000、麻パンツ¥19000(メンズカネコイサオ2001年春物)パンサープリントシャツ(カールヘルム1989年夏物)

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