セクシー


NEW!

スリットしたり、胸をだしたりするのは、決して、セクシーじゃない。動きやしぐさにあらわれるはずです。

ピンクハウスの服といえば、今までのアンアンでもお馴染(なじみ)のあの小公女スタイルや、女らしいワンピース。その独特のデザインを生みだしているのが、金子功さん。
「色っぽいっていうのと、同じではないでしょう。可愛くても、品が良いのも、セクシーじゃないかしら? まぁ、どっちかといえば、大人の服のほうがセクシーかもしれないけど……。ただ、スリットしたり、胸をだしたからって、けっして、セクシーじゃないね。シャネルスーツなんか最高でしょう。ココ・シャネル自身が着こなしたシャネルスーツ、もう永遠のものですよね。肌を全部、隠しても、セクシーはセクシーだから」
金子さんの作るロマンチックな服は、大人になりきれない女たちにとって、なくてはならないものとなっている。
「着物もいいですね。杉村春子や、若尾文子なんか、いいでしょう。舞妓さんが、ダラリの帯しめて、ポックリはいてるのを見ても、セクシーっていうイメージにつながります。隠しながら、チラッと素肌が見えるっていうのが着物でしょう。衿を抜いて、帯を低めに結ぶ、大人の着方が最高。着るのに、1本か2本のヒモしか使っていない感じでね。女の人に限らず、玉三郎なんかでも、そう。逆に、女よりも男のほうがセクシーさで勝っている例じゃないかな」
「動きっていうのが大事なんじゃないかな? アクセサリーの動きと音なんかね。カルメンのようなジャラジャラしたブレスレット。音は無いけれど、真珠、品もあっていい。着させたい人は、どっちかというと美人じゃないタイプ。ジャンヌ・モロー。もう少し若いと、シャーロット・ランプリング。エラが張っててソバカスのある顔がね」
セクシーな服が作れたら最高、と金子さん。
「どんな服でも、やっぱり着る人によるでしょう。女らしさっていうのか、その人のしぐさや動きにでるみたい、セクシーって、最高の誉め言葉ですよね」

アンアン1981年8月28日号(No.297)「この7人の男たちはSEXYな女を感じた」より


柔らかい布に包まれたからだが動く。
見え隠れする線(ライン)に感じるセクシィさ。

「色っぽさというのは、シック――上品で粋な、という言葉のジャンルに入るような気がするんですね。
ぼくは洋服のデザイナーだから、洋服で話をすると、セクシィな洋服、ていうのは、なるべく肌を出さない、肌の見えないものだと思います。
たとえばスカートは、ストンと膝下くらいまであって、首も大きく履く刳(えぐ)ってあけたりしないで、きっちりと隠してしまう。長袖で、手袋なんかもして、できれば黒いストッキングも穿(は)いちゃいたいですね。
全身を、シルクやトリコット、ジャージィという、包むのが得意な生地で覆いたい。こういった布は、着る人によっていろんな表情が出るのね。ちょっとトロンとしてて優しいから、からだからつかず、離れず、そういうまつわりつき具合がたまらなくいいと思う。着てる人が動いたときに、ウエストのくびれとか、腰の線とか、体型があらわでなく、ようやくわかるんです。そこのところに色気があるのね。静かに止まっているときではなくて、動きのなかに色っぽさって出てくるような気がします。
色気、セクシィっていうと、よく”寝たい”なんて、直接的なもののように言う人がいるけれど、ぼくはそうは思いません。寝たいってことが、即色気、セクシィということにならないのじゃないかしら。ぼくは、色気ってことにそういう直截(ちょくせつ)なイメージは持っていないんですよね」

クロワッサン1983年8月25日号(No.139) 「セクシィってなにサ」より


NEW!

アンチックに憧れて作ったワンピースは、陽性のセクシーが魅力。

レーヨンタイプのかわいいワンピースをずっと作り続けてる理由? やっぱりパンツや、ジャケットじゃ出ない、愛らしさにひかれるからでしょうね。
パンツは男がはいたほうが似合うけど、ワンピースは女性だけの特権服って気がします。どんな女の人にも似合うし、こんな服を着るだけで、女らしい気持になれると思うんですよ。柔らかい服に、気持が優しく染まっていく。そんなときの女の人が、いちばんかわいく見えるんじゃないでしょうか。
もともとアンチックドレスが好き。20〜30年代のものって、人絹のものが多くてね。シルク風なんだけど、古くなってペラペラで、シルクよりいいかんじになってる。これにとっても憧れて、「ピンクハウス」や「インゲボルグ」のワンピースを作ったんです。
でも、アンチックドレスでも、ガーッと胸の開いたのや、スリット入りは、魅力感じなかったですね。大胆に見せるより、包んで隠すほうが、セクシーな愛らしさって倍増すると思うんです。伝統的なお嬢さんタイプのかわいいお色気が、陽性のセクシーさという気がします。
ただ、これをパーティーのときに着るのは当り前。仕事のときにこそ、着てほしい。かわいいワンピースを着た、女らしい人が、実はすごく仕事ができる。なんて、意外性がとってもミスマッチで、素敵だと思いますね。

アンアン1985年4月5日号(No.473)より

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