チロリアン

カールヘルム１９８６年秋冬コレクションは”チロリアン”がテーマ。チロリアンは、このシーズン、メンズ・レディス共に、急にリバイバルしてきて、各デザイナーが競作していましたが、金子さんの作品は、他を寄せつけないほどレベルが高かったのです。

北はドイツのバイエルン州、西はスイス、南はイタリアと国境を接している、オーストリア西部に広がるチロル州。州都は四方をアルプスの山々に囲まれたインスブルック。チロルには現在でも、古くから伝わる独特の文化や習慣が色濃く残っており、訪れる人をタイムカプセルの中へと誘ってくれます。そのチロル地方の人々が着たり履いたりしているものをチロリアンといいます。冬には氷点下にまで気温が下がる土地柄で育まれたものとあって、ジャケット、パンツ、靴など、どのアイテムひとつをとっても、防寒性・保温性にすぐれているのが特徴。基本的にはチロリアン・ジャケットというのがあって、スタンドカラーのもの（１）と襟付きのもの（２）と、大きく分けて２つのタイプがあります。特徴としては、着丈が短く、ポケットにテープ飾りがついていて、ボタンはシルバーのメタルで大きめのものが多いようです。そのチロリアンジャケットを１枚ワードローブに加えるのが、チロリアン・ファッションへの一番の近道。ジーンズと組ませるのもいいのですが、本格的に迫るのなら、やはり、ザックリとした厚手のパンツ（ツイード、タータン、コーデュロイなど）が最適。その他、小物にも細心の注意を払いたい。足元を温めてくれるゲートルとビブラム・ソールのガッチリしたチロリアン・シューズは是非欲しいアイテム。チロリアン・シューズは、頑丈で重く、履くたびに自分の足にフィットしてくる感触がたまらなくいいのです。これに軽く柔らかなフェルト製のチロリアン・ハットを揃えれば、可愛らしくて温かいチロリアンが満喫できます。

個性的な各々のアイテムをいかに落ちつかせるかが着こなしのポイント。可愛らしさを主張したいならやはりチロリアン！
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チロリアン・ジャケット
￥５８，０００（ＫＨ’８６ＦＷ） 素材はウールの圧縮ニット	￥４５，０００（ＫＨ’８６ＦＷ） 素材はウールのニット
２着ともスイスやドイツ、オーストリアの本場物と同じ正統派のデザインですが、フロントのポップなワッペンで新鮮さがミックスされています。このエンブレムと四角いワッペンが交互についている商品は”８６年型ワッペンシリーズ”と呼ばれていて、１９８６年秋冬の１年のみ、かなりのパターンが作られました。
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ゲートル	チロリアン・シューズ
￥１０，０００（ＫＨ’８６ＦＷ）	￥５４，０００（ＫＨ’８６ＦＷ）
編みこみ（フェアアイル柄）超ロングニットソックス。同柄のセーターもありました。履き方は、パンツの裾をソックスの中へ入れ、膝下までソックスを引っ張って。このタイプのソックスは、カールヘルムでは、’８６年秋冬と’８７年秋冬の２年間だけ作られましたが、その後は絶滅してしまいました。	アッパーにアザラシの毛皮を使ったコンビ・タイプ。当時、エルメスの毛皮付きシューズがお洒落人間の間で人気を集め、その波が徐々に広がって、’８６年秋冬でドーンと飛び出してきた感じがしました。スニーカーじゃ軽過ぎるし、かといってローファー・タイプの革靴もはきたくない。そんな時は、ちょうど両者の中間に位置するチロリアン・シューズなら、ピタッとくるのではないでしょうか。
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チロリアン・ハット	ブランケット
￥２７，０００（ＫＨ’８６ＦＷ）	タータンブランケット￥２１０００、 無地ブランケット￥２７，０００ （ＫＨ’８６ＦＷ）
この商品には羽根とコード飾りに特徴があります。この商品には付いてませんが、羽根を付けると、より本格的になります。グリーンと茶が基本色で、登山やハイキングに用いられます。チロリアン・ジャケットにはぴったりですけれど、もっと普通の、たとえばステンカラーコートなんかにも合わせたいですね。	小さめのブランケットはストール替わりにもなります。

ワンダフルハウス私物 ５　ＫＪ−１　５８０００円 （カールヘルム１９８６年秋物）
ワンダフルハウスが長年に渡って秘蔵していたチロリアンジャケットを公開いたします。上の写真１と同じ物で、こちらは、当ホームページのお客様で、長沢節先生自筆のイラストをお持ちのセツモードセミナーＯＢの方から、何冊かの古いアンアンと共に譲っていただきました。この方は、堀内誠一さんが世田谷に住んでいた頃、同じマンションに住み、堀内さんの奥様やお嬢様とも交流をお持ちだった凄い人でした。その方も「洋服を沢山持っている、デザイナーの友人からいただいた」そうです（金子さんではないそうです）。いただいた時点で、エンブレムとワッペンは外されていたとのこと。たぶん、あまりにも派手で、着るのに抵抗があって外してしまったのでしょう。当時、カールヘルムの販売員をしていた人に見せたら、「オレンジなんて作ってたんですね！」と驚いていました。オレンジは生産数が少なかっらしく、現存している物は、これ１着と思われる大変貴重な服です。

ワンダフルハウス私物 ６　ＫＫ−１５　４５０００円 （カールヘルム１９８６年冬物）
上の写真２と色違いの赤。ヨーロッパのスタンダードアイテムとして、昔からアイビールック愛好者に人気が高かった、毛糸で編まれたチロリアンジャケット。年齢、性別、体型を問わずに誰もが似合う、まさにニットジャケットの王様のような代物です。
英国の軍隊の本格的なエンブレムと、おなじみタグ風ワッペンで可愛さ１００倍。	釦の御婦人は、ハプスブルク家きっての才女であり、オーストリアの歴史でたった1人の女帝であり、「ベルサイユのばら」にも出てくる、マリー・アントワネット（ドイツ語ではマリア・アントーニア）の母上、マリア・テレジアでございます。

ワンダフルハウス私物 ２７　ＰＪ−１９　４１０００円 （ピンクハウス１９８６年秋物）

１９８６年秋冬シーズンは、ピンクハウスでも同じようなチロリアンジャケットを作っていました。ピンクハウスならではの徹底した民族調おしゃれが楽しめそうな、ディテールに凝ったチロリアンジャケットです。女性のチロルものとしては、ブラウス、スカート、ベストなどの他に、チロリアンハットなどの小物もあるので、全身チロル調にするのではなく、どこか１点にスパイス的に使ってみるのも面白そうですね。

渋い色目です。カーキ色だと軍服っぽいマニッシュなイメージがありますが、シルバーの民族調の飾りボタン、胸元のワッペンなど手作りっぽい優しいものがプラスされているから、可愛らしいイメージで着こなせます。

ワンダフルハウス私物 Ｐ０３３３　ＫＡＬ　０４　３９０００円 （カールヘルム１９９３年秋物）

こちらは、７年後の１９９３年に発売されたニットのスタンドカラータイプのチロリアンジャケット。パイピングも黒なので、全体的に真っ黒。何にでもコーディネートできる、着こなしやすいジャケットです。ボタンは上の方で使われているものと同じマリア・テレジア柄。

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