アンアン1982年9月17日号(No.348)

デザイナーズ・ブランドの服は、ファッション・ショーのイメージが強烈。ショーで見せる着こなしや、メークは、よりデザイナーの考えを強く打ち出すため。そこで12人のデザイナーにショーとは違うコーディネーションをしてもらい、ごく日常的に着こなせる、ということを証明してもらった。アンアン読者代表という形でモデルの甲田益也子さんが12人のデザイナーに会い、話し、それぞれの服にトライ。服選びだけでなく、ヘアにもメークにも撮影場所にもデザイナーのメッセージが……。金子さんは表紙にも登場。

デザイナー(ブランド) タイトル
金子功(ピンクハウス) 生活感がないのがいいネ。女の子らしい夢のある服を、スッキリ着る。もう重ね着はしたくない。甲田さんはクラシックな服が似合いそう。
菊池武夫(ハーフムーン) その人の持ち味を生かした服が一番だが、一辺倒にきめつけないほうがいい。その日の気分で着分ける。意外性があったほうが楽しいし…、服だけでなく生活もそうしたいネ。
川久保玲(コム・デ・ギャルソン) 洋服の概念を取りのぞいてみたかった、直線裁ちの形になってないガバッとしたコート、その人なりに自由に着てくれていい。でも、ハードな服って予想以上にヤセている人に似合う。
花井幸子(マダム花井) スポーティーだけどフェミニンでセクシー、こんなカジュアルな服に力を注いでいます。今、私は第2の波に乗っているところ。
山本耀司(ワイズ) 本ばかり読んでいて、ごはん食べてない感じのメークにしたいネ、若いのに悩みが多そうな雰囲気。ショートケーキ食べてる感じはイヤだな!
稲葉賀恵(BIGI、MOGA) 服ができると、みんなに感想を聞いてまわるの。ワンパターンの服作りはイヤ。欲ばかりかもしれないけど、いろんな人に着てほしいから。甲田さんはストレートヘアがすごく似合うのネ。
鳥居ユキ(銀座トリヰ) 柄に柄をプラス、色に色をプラス、異質素材を組合せる。これが今シーズンのミキシング・アップ。プラス要素を徐々に増やしていくと、冒険ができます。
松田光弘(ニコル) 全般にわりとマニッシュ。オーソドックスなものから組合せで面白味を引出すのがこの秋冬物の狙いです。カッティングや分量で見せる服より、本来の洋服というものに戻ったところで。
コシノジュンコ(JUNKO NOW、JUNKO KOSHINO) 黒は好きだけど、それだけでは使わない。黒い髪があるから、口紅が引立つように。無彩色はご飯で、色はおかずなの。
やまもと寛斎(やまもと寛斎インターナショナル) グアテマラでは、みんなこういう色を着ているんです。お爺さんも、お婆さんも。世界中、あれほどに色が氾濫している国、ほかにないですよ。
吉田ヒロミ(クローブ・クローブス) 童謡の時代を経て、文学少女になって、そして……っていうのが好きみたい。自分でもやっと分ってきたの、自分の世界が。
三宅一生(ISSEY MIYAKE) ずっと前の服を着ている人を見るとすごくうれしくなる、気に入ってくれたんだな、と。へんな着かたの人に会うと、服が悪いのかな、と思ってしまう。

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