コサージュ

by ユリさん

古くて、色褪せていて、よれよれで、それでいて可愛いノミの市の造花。

私が造花を集めだしたのは、洋服に興味を覚えたのと、ほぼ同じくらいの時期でした。
なぜかというと、金子さんも私もずーっとプリントの服が好きだったし、なかでも花模様のプリントがとても好きだったんだけれど、そのころは、なかなかそういうものがなかったのです。
だから、そのかわりに造花をつけてみようかなと思って――。日本でも探したのですが、可愛いのがぜんぜん見つかりません。
パリのノミの市で、はじめてかわいい造花に出合ったときは、とてもうれしかった。ひなびた色で汚くて、古くて、よれよれで、それでいて可愛くて。それがパリのノミの市の造花のよさなのです。
それ以来、パリに出かけるごとにたくさん買ってきて。私が造花を好きなのを知ってるひとからもプレゼントされたりして、だんだんにいっぱいになりました。
いくらパリでも、新しく作って売っているのはちっともよくなくて、でも新しいもののなかでも、いかにも古めいた感じで作られているのは、それはそれでまたいいと思うけれど――。
たくさんたまったのを箱にしまっておいたら、押しつぶされてクシャッとなってしまって、それをたまにつけるときに出してみるとそれがまた可愛い。
以前、「マキシム」で「西の木」の栗崎さんのパーティーがあったときに、ノミの市で見つけた古着のシャツにパンツを合わせて造花をガバッとつけて行ったことがあります。
古い造花は、どれとどれを組合せてつけてもじゃまにならないのがいいと思っています。それと、色褪せた感じが大好きです。
いまは、昔みたいにたくさん買うことはなくなりました。パリで金子さんが買ってきた大きなリボンと一緒に大切にしまってあります。

ユリさんのコサージュ
撮影・大西公平

アンアン1982年6月18日号(No.336)「COLLECTION」より

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