「菜刀caidao」(いわゆる包丁)は、小型のまな板ほどの大きな包丁で、ずっしりと重く、食材をおさえる左手にとって、ちょっと不気味な存在。「菜刀」という名前を見ると、菜切り包丁のようだけれど「菜刀」の「菜」は、料理のこと(たとえば中華料理は「中国菜」という)で、肉・魚・野菜、大体それ一つで足りてしまう。
外見は迫力満点の菜刀だが、日本の包丁にない魅力がある。一つは、その重さ。刃先を軸にして固定し、手元のほうだけ上下させると、菜刀の重みだけでザクザク切れて、包丁全体を持ち上げるより疲れない。力を入れなくても、かぼちゃが豆腐のように切れる。手羽先も魚の骨も、殻つきの蟹だって楽々だ。もう一つの魅力は、包丁の幅。キャベツなど大きなものを切る時、包丁は大きく上下する。日本の包丁では、食材が大きいとおさえる左手からずれて包丁が動くので、ちょっと怖い。ところが菜刀は、幅が大きいから、丸ごとキャベツを切る時も、キャベツを支える左手にずっと添って安定している。菜刀と手が添いつづけて離れない限り、左手にとって、案外、菜刀は頼もしい存在だったりするのである。その上、切った後、材料を菜刀の上にのせて、一気に皿やなべに移動でき、一瞬でまな板がきれいになる。「菜刀」のこの爽快感は、たぶん世界一。とても実用的な包丁だ。 |
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