捏(ニィエ)/つまむ

 
 瑞々しい金魚、水面を行く水鳥、涼しそうな景色が蒸籠の中に広がる。小麦粉を使って細工された点心は和菓子のよう。餃子専門店で細工餃子を見た時の感激は今も忘れられない。
 このような点心を専門に扱うには国家資格があり、長い修業が必要だそうだ。中華料理は大きな鉄なべを扱うため腕力が必要で、男性のコックさんが多いそうだが、この点心を扱う専門家には女性も少なくないらしい。繊細な細工をする美的な感性、根気強さ、指先の器用さなどが求められ、必ずしも大きな鉄なべを長時間扱う必要がないからだという。
 素人にとっても、こんな作業は、粘土遊びのように楽しい。定番の餃子だけでなく、皮を縫い合わせるように内側に留めたり、円形のパイのように丸く留めたり、小籠包のようにヒダを作ったり、さまざまな形に挑戦して楽しめる。
 その留め方について説明する時、中国の友だちは、人差し指と親指を上手に使って「捏在一起niezaiyiqi」(つまんでくっつける)と繰り返しやって見せてくれた。「捏nie」は、2本の指でつまむことで、包子や小籠包の「ヒダを寄せていく」ことは「捏起来」という。以前、料理に失敗して、「鼻をつまんで(捏着鼻子)食べるしかない」と言われ、その友人の鼻が餃子のように見えて大笑いしてしまった。

〈浅山友貴〉