熱呼呼ロォフフ/熱々 |
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日本で、ある夏の日のこと、自販機の前で台湾の友だちが「冷たいお茶がある!」と声を上げた。私が不思議に思って、ほしいのかと聞くと「冷たいお茶を売るのか?」とあきれている。そういえば中国では、真夏に熱いお茶を椀に量り売りする屋台を見かけるし、台湾も暑い所なのに、お茶は冷やしておく習慣がほとんどないという。 日本では、おそば・冷やし中華(中国にはない)、お寿司など、温かくないご飯や麺もよく食べるが、中国の人は真夏でも、冷えたご飯や麺は食べないようだ。以前、おにぎりを食べる私に、来日間もない中国の人が大いに同情し、温かいものをあげる、と魔法瓶からスープをくれたことがあった。おにぎりはおいしいものなのだが、彼女にとってそれは「惨めな冷えたご飯」でしかなく、「こんなものは体に悪い。」とお説教されてしまった。 料理が少しでも冷めるのが耐え難いらしく「趁熱吃chenrechi(熱いうちに食べろ)。」という言葉は、中国語会話の本に必ず出てくる表現である。湯気が立ち上る料理は「熱呼呼rehuhu(熱々)」といって歓迎され、スープが冷めようものなら、夏の暑い時でも何度でも温め直すので、その神経の使いように驚かされる。しかしお茶やビールをはじめ、冷やすことには無頓着。唯一の例外はアイスクリームぐらいではないだろうか。 |
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〈浅山友貴〉 |