中国料理のスープといっても千差万別だが、北方のスープはあっさりした塩味で、家庭で作った場合、出汁の味が弱い。北京の学生の中には、うまみ調味料を小さじ1杯お湯に入れ、ネギなどを浮かべて、スープにしてしまう人もいたほどだ。ところが南方のスープは凝っている。骨付きの肉、野菜、様々な材料を煮出し、乾燥させた海産物の風味を漂わせ、深い味を追求する。スープを重視するので、時間のない学生でもうまみ調味料でスープを作ったりはしないだろう。香港の友だちに至っては「スープを上手に作れないと、結婚できない」と言って、いつも魔女みたいに何かぐつぐつ煮ていた。中には、干したナツメや、漢方薬のようなものも入っていたと思う。出汁の味がしっかりして、コクがあり、目が覚めるほどおいしかった。 彼女のおいしいスープを飲んだ時、中国の友だちが「很鮮
henxian!」と言ってほめていた。「很」は「とても」で、「鮮(1声)」は「おいしい」という意味。ただし「鮮」は、専らスープをほめる時に使い、料理に対しては使わないようだ。間違えやすいが、これは「新鮮、フレッシュ」ということではない。新しさでなく、コクがあり、スープの香りが鮮烈で、滋味豊かなことだ。「咸xian(2声)」とも発音が似ているが、これは「塩辛い」の意味。食べながらも、発音に気をつけないと、「おいしいね!」でなく「塩辛いよ!」になってしまう。 |
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