炒青菜(チャオチンツァイ)/青菜を炒める

 夕方になると、中国の自由市場は売る人、買う人の声が飛び交い、年末年始のアメ横のようなにぎわいだ。そんな市場で売っているター菜や空心菜・油菜などの青菜はとびきり新鮮で緑に輝いている。
 たっぷりと野菜を買いこむと、それを適当な大きさに切って、炒めてしまう。油をかなり入れても、野菜の水分もあって、さっぱりと仕上がる。こうすると、ビタミンを損ねることなく栄養をたっぷり取ることができるそうだ。生の野菜ジュースやサラダ・和え物もいいけれど、青菜系は炒めるのがいい。手早くおいしく、栄養がたっぷりで、しかも全く油っこくないのである。
 炒めることで一番印象深いのは、中国の友だちが、時折、なべ肌に水を垂らし、ジュッと湯気をあげながら炒めていたことだ。火が通りにくい材料や、なべにくっつきそうな時はもちろん、油を追加するのではなく、少し水分を垂らして蒸らす感じだった。そうすると、とてもみずみずしい仕上がりになり、余計な油もほどよく抜けてしまうのだそうだ。
 「炒chao」という調理法は、こってりした炒め物から、みずみずしい野菜の味が生きた鮮烈な風味の料理まで自由自在で、とても奥行きが深く、さまざまなワザがあるらしい。
 あの青菜の炒め物は、ほんの1、2分だっただろうか。緑の野菜の風味が香り、歯触りが心地よく、ほっとするような優しい味だった。

〈浅山友貴〉