兎は鳥?
学生に量詞を数える時よく、中国語の量詞が多くて覚えられないと言い張っている学生がいますが、日本語には中国語と同じように「冊」「枚」「匹」のような量詞が数多く存在しています。数え方も「音便」があり、なかなか複雑な体系だと思います。しかも、ウサギ「一羽」・蟹(一杯)・花(一輪)のようにわかりにくい量詞があり、外国人にとってとっつきにくい言語だと思います。
ところで、兎はなぜ「羽」と数えるのでしょうか。ある先生の説によると、日本の仏教にも、むろん獣肉を食べてはいけないとか、酒を飲んではいけないとか、それなりの戒律があり、大名が「肉は薬なんだ」と言い出せば、食べてもいいとか、兎を一羽、二羽と数えることで、兎は鳥だから食べていいとか、酒は般若湯だからいいとか、うまく抜道を用意しておくというところから来た言い方だそうです。日本人の外来文化に対する「まあいいじゃないか」という寛容心を持って、貪欲的に吸収する姿勢があったからこそ、今日の日本となっているのではないかという気がしてなりません。
これは日本語教師から聞いた実話ですが、数字の試験の時の出来事でした。
1から10までの数え方のテストですが、「ひとつ」、「ふたつ」、「みっつ」、「よっつ」までは順調滑り出したが、「ごつ」と殴られたような音が登場、「むっつ」で一瞬安心したかと思う間もなく、「なつ」、「はつ」、「くつ」、最後は「じゅず」で止まり、笑ったらいいか、泣いたらいいか分からない試験でした。
どんな言語もそれぞれの特徴があるとは言え、コミュニケーションの手段としての役割を果たしている以上、一定の共通点があるため、習得することは非常にプラスに働いていると思います。また、その相違点があるからこそ、それを通して、その言語を使っている人々の感じ方、考え方、風習などを学ぶことができ、自分の文化への反省を促すいいきっかけともなりますので、難しいと思われたところを楽しみながら、学んでいただきたいと思っています。