放送大学−40にしてに学生になる−

☆1997年4月、入学  興味深い講義がたくさんあったこと、車で通える範囲に地域学習センタ−があったことから、すぐに入学した。家庭と仕事と両立しようとしたら、他に選択肢はなかった。とりあえず、なんでもやってみよう、できなかったら考えようという方針は今も続いている。
放送大学は文部省認定の通信制大学で、ビデオ、ラジオで講義を受け、中間レポ−トと試験で単位がもらえる仕組み。ビデオ、ラジオは指定の時間でなくても、各地センタ−に置いてあるので、それを借りることができる。
(現在は衛星放送で受信できます) 自宅では、ゆっくり時間がとれないので、私は週に二回通って、センタ−で時間のある限りビデオを見、ラジオのテ−プは借りて帰って、自室にこもって聞いた。1科目、1回45分のテ−プを15回。
 心理学なんて何の知識もないので、まず、2科目選択。「心理学入門」、これはお約束でしょう。それと、「人格心理学」。
 初めての日、どんな内容だろうとわくわくしながら、ビデオを見つめる。しかし。。。「???」教授の言っていることが理解できない。「えっ、何を言いたいの?」。 テ−プなので、質問ができない、どんどん授業は進んでいってしまう。 不安が胸に広がる。
勇んで入学したけど、先が思い遣られるなあ。
考えてみれば当然で、授業と名前の付くものから離れて久しいし、元々理系の人間なので、話の持って行き方になじみがないうえ、心理学用語が全然分かっていないのだもの。え〜い、とにかく最後まで、勉強してみようと、分からないながら、どんどんとテ−プを見ていく内、話の流れがぼんやりと見えてきた。
 そうしているうちに、ポンと中間リポ−トが本部から送られてきた。これは、マ−クシ−ト方式の問題と、記述式の問題と科目によって違う。私の選択した2科目は両方とも、マ−クシ−ト方式の問題だった。
さあて、どのくらいできるかなあ、と問題に目を通すと、これが、まったく分からない。
とほほほほ。。。。これを送らないと試験を受けさせてもらえないので、教科書をひっくり返して、なんとか解答する。合ってるのかなあと不安に思いながら、締め切りぎりぎりに送付した。
そして、とにもかくにも、2科目のテ−プを見終え7月末の前期試験がやって来た!
放送大だもの、社会人向けだもの、ちゃんとテ−プを見ておけば分かる問題に違いない、そんなに難しいはずはないと、たかをくくって、試験会場へ行く。
久しぶりの試験に緊張して、解答用紙に名前を書く。でも、自分が学生で、試験を受けていることがおかしくて、にまっと笑ってしまう。
「では、始め」。試験官の声で一斉に皆が問題を広げる音がする。では、私も問題を。。。「ありゃ、なんだ、これは」難しい〜。ひねった問題なんです、「〜とは、いえないものを2つ選べ」 。「正しいものを一つ選べ」。ちょっとづつ、怪しいお答えが並んでいる。うんうん言って考えるが、きっちり覚えていないのだもの、できるわけが無い。
(いばって、どうする。)
最後はえんぴつを倒すという常套手段にでようかとも思ったが、それはやめておいた。がっくりしてしまった。できないじゃないか。まだ、二科目だぜ、おい。
案の定送られてきた試験結果はかろうじて「心理学入門」が最低の成績で受かっていたが、人格心理学はきっぱりと落としてしまった。
やっぱり、勉強しなきゃだめなんだ、そんなに甘くないんだと、ふか−く反省した。今度はちゃんと勉強するぞ−。 まだ、あきらめないんだからね。

後期
いやはや、なんという粗忽者か後期授業の申し込み締め切り日に、「あ、今日が締め切りだ」と気が付いた。あわてて、本部に連絡するが、これから送っても受つけません、と冷たく言われ意気消沈。
ま、敗者復活戦の人格心理学の試験だけ受けよう、しかたないさ、とあきらめる。
(一回だけ、再試験のチャンスがあるのです)
そして、後期試験の一週間ほど前から、試験勉強を始めた。家事の終わった夜更けに机に向かい、教科書を読みながら、ノ−トにまとめていく。
ペンの紙をすべる音。懐かしいなあこういうの、私、勉強してるんだあ、と妙に感心してしまう。そして、自分がしたい勉強をしていることがこんなに楽しいなんて。学生時代にいやいややっていた勉強と違っていた、錆付いていた頭が動き出す感じがした。
もし、これで試験を落としたら、私にはそれだけの能力が無いのだと考えてあきらめようと思っていた。
そして、試験。成績は?。 A だった。 かっかっかっ、やればできるじゃない、おぬし。
いけいけ、どんどん。はずみがついたぞう。

その頃、学習センタ−の掲示板に「認定心理士」の資格申請を放送大でできると書いてあるのを見つけた。大学において心理学の一定の科目を履修したとの、日本心理学会のお墨付きだ。これを、まず取ろう、その為に必要な授業を片っ端から履修してやろうと目論む。具体的な目的ができて、ますます、やる気満々。

閑話休題−心理学サ−クル−
さて、通信制とはいえ大学生になって一年、学習センタ−に通っても、クラスがある訳では無し、一言もしゃべらずに帰ってくるのに、なんとなく寂しさを感じていた。
孤独な勉強ではあるなあ、と。 そんな時、掲示板に「心理学サ−クル−認定心理士を目指す人、入会を。」という、ポスタ−を見つけた。放送大の仕組みも心理の世界も、もうひとつ理解していなかったので、情報が欲しくて早速入会した。
いろんな年代、いろんな職種、いろんな動機で学ぶ人達がいた。月に一度の例会に何度か顔を出す内に、知り合いが出来てきた。学習センタ−ですれ違っても、挨拶する人ができて、心軽く、楽しい。 他の場所で勉強していることの情報交換もでき、又、

試験の打ち上げと称して、居酒屋へ行ったり、ホ−ムパ−ティがあったりして、学生生活が広がってきた。 こうでなくっちゃね。 同じ目的を持つ者同志、話も合い、いい意味で張り合う気持ちも出て来て、入会は正解だった。

☆ 1998年 前・後期
(前期)なんとかなるかなと3科目選択した。・脳と生体統御・カウンセリング・児童の臨床心理。
「脳と生体統御」は医学部の教授が講義をする。脳内伝達物質とか、レセプタ−とか専門用語がぽんぽん飛び出す。 がんの本を読みまくっていなかったら、理解できなかったと思う。特に乳がんはホルモン依存性のがんで、エストロゲンが作用しているので、ここの講義はとても興味深かった。ほほう、こんなふうに受容体とひっつくわけね・・・。なんとまあ、精巧にできた仕組みであることよ、神の技を感じてしまう。

カウンセリングの講義は、実際に勉強していることと関連してよく理解できた。三科目とも良い成績だった。

(後期) 全科履修生・三年次編入
関東でしか受け入れていなかった、卒業を目指す全科履修生を地方のセンタ−でも受け入れることになった。早速、手続きをし、以前卒業した他大学の単位を認めてもらい3年次に編入した。卒業のゴ−ルが見えてきた。

三科目をわりと簡単にこなせたので、欲張って5科目選択。
心理学史・臨床心理学・言葉と教育・教育評価・発癌とその予防。
心理学の講義は、なんとなく道筋ができてきてすっと理解できるようになってきたが、教育関係の講義はまったく目新しく、少々、難儀をする。でも、単位とらなくちゃあ。
「発癌とその予防」は、これは自分のお勉強用です。これも医学部の教授の講義。
これも、がん関係の本を読み漁っていたおかげで基礎知識があり、とても興味深く、ビデオに食い入るように勉強した。一般向けの本ではあきたらなかった部分や疑問に思っていたことなどが理解できる。又、この教授は乳がんに関係するエストロゲンレセプタ−が御専門のようでちょくちょく、お話しが出てくる。面白かった。本当に自分の知りたい知識を得ることがこんなに楽しいなんて、想像もつかないことだった。
k先生、がん患者は先生の授業がとても役にたちました。

☆ 面接授業
 放送大には、ビデオ・ラジオの授業の他に、普通の大学のような形態の面接授業がある。卒業するには、この授業を一定単位、取得しなければならない。他、大学を卒業していれば、その単位をいれてもらえるので、放送大の面接授業をとらなくても卒業はできる。ただし、認定心理士の資格申請をするには、必ず、実際の「心理学・実験・実習」に関する面接授業を3単位取らなくてはならない。人気のある授業は取りたい人がたくさん申し込み、地方の学生は定員が一杯になってなかなか受けさせてもらえない。これが取れなくては、勉強している意味がない。困った、困った。
注:2000年度から、選択の優先順位が変わり、単位数の多い人から面接授業がとれるようになりました。これで、面接だけが取れなくて、卒業するにもできない、ということは無くなりました。

☆ 初めての面接授業−老年期と認知−
 実験実習の授業ではないが、教授に直に教えていただける授業とはどんなものかと当センタ−で開催された心理系の授業「老年期と認知」を受ける。 どのような科目を選択していても放送大の学生なら誰でも受けられる為、学生の知識がばらばらである。 ちょっと、興味があったから覗いてみました、という人から本気で心理の勉強をしている人まで、実に様々。その学生を相手に講義をするのだから、内容が散漫になるのは仕方がないといえよう。 でも、直に教授の話しを聞き、質問のできる面接授業は貴重な体験だった。半年の授業時間を2日間でやってしまうのだから、その2日間はべったり缶詰。学生もぼろぼろになるけど、先生も疲れるだろうなあ。

☆1999年 前期
 
卒業を目標にして、はりきって10単位選択。ん〜〜ん、無謀との声あり。
子供の発達と社会 文化・教育心理学・学習心理学・知覚心理学・精神分析学・認知心理学・児童心理学・老年期の心理と病理・動物の行動と社会・医療 社会 倫理・
 もう、時間との戦いとなり、ひっちゃかめっちゃかの有り様になってしまった。なんとかしてテ−プをこなさなくてはならない。センタ−へ少しの時間の余裕があれば飛んでいき、時間一杯テ−プを見、あとは貸し出しで借りてくる。自動車で移動する間もテ−プを聞いて、ぶちぶちいいながら運転をするはめになってしまった。これは、もう勉強というもんではないなあと反省した。詰め込み以外の何物でもない。試験勉強も必死でやり、試験中、8科目目で脂汗が出てしまった。頭が「もういや」、と言ったのである。ま、なんとかの頑張りで全科目、取得できた。やれやれ、あほかいな。
実は試験結果が送られてきたとき、喜びの余り、家族に見せまくって踊りを踊ってしまったのだった)

心理学とは関係ない、病気、医療関係の科目を少しずつ入れてあるのが、気分転換になって続いていくこつになっていたかな、と思う。今回の「医療・社会・倫理」もちょうど、臓器移植や遺伝子診断や告知の問題を考える上でとても勉強になった。普通では聞けないような、その世界の第一人者の講義を受けられるのだから、一方通行のテ−プだからなんてことは言っていられない。面白かった。

☆ 面接授業 −心理学研究法−
 
一杯、申請はしたけれど、優先順位で落とされ、東京での「心理学研究法」だけを受けられることになった。研究法は基礎知識だし、認定心理士の申請科目にも必要なので、新幹線に乗って授業を受けに行く。そこまでやるか、君は。大学の授業を受けているという実感があって楽しかった。

☆1999年 後期
 
前期の自分の力以上の勉強を反省し、又、実験実習の単位を取らなくては卒業するわけにはいかないので、単位数をセ−ブする。
発達心理学・臨床心理学概説・こころの健康科学・看護学概論。面接授業、心理学実験実習。初めてとれた実験実習は東京。勇んで出かけて行く。 看護学概論は患者としての想いを伝えることの一環で看護学校にお話しに行ったり、看護婦さんと知り合ったりしていたのでとても面白かった。現場と看護学のギャップが気にかかる。
 試験中に流行っていた風邪を引き込み、2科目試験を受けられなかった。残念。
この次に試験だけ受けよう。今回は余裕だわ。

☆ 2000年前期
 
4科目選択。社会心理学・生涯発達と生涯学習・人生の哲学・英語1。
英語は大学院の受験を考えて、すっかり忘れてしまったことを少しでも思い出そうと選択した。 優先順位が変わったことで、面接の実験関係の授業が二つ取れた。
あれ、これでいくともしかして、全部こなせば卒業単位満了になってしまうのか?

☆ 2000年後期
 

続く・・・

 

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