y−toku long interview
〜我進我道〜
脱獄者からのメッセージ



―――最後に、学生生活全般を振り返って話を聞いていこうと思います。ま
ず、この学生生活で得たもの、逆に失ったものは何?

「まあ全ての経験そのものが貴重やったし財産やけども、その中でも努力す
る姿勢、苦労すること、必死に食らいついていくことなんかはこの学生生活
で大きく変わったと思う。
逆に失ったものは、やっぱり恋愛についてかな。これから、学生時代に失っ
たもの・犠牲にしたことを取り返していかなくてはいけないし、とくに結婚
願望は強くある。やっぱり両親に孫の顔を見せてあげたいし、おじいちゃん
・おばあちゃんが健在なうちにひ孫の顔を見せてあげたいからね。でも、そ
んなに簡単に取り戻せるものでもないから、ゆっくりと、あせらずにいきた
い。」

画像その12
―――努力する姿勢については周囲の多くの人たちが認めていますが?

「確かにそう見てくれると嬉しいね。才能も特技も無いし、普通の人間より
ほんのちょっとだけ負けず嫌いで、ほんのちょっとだけ諦めが悪いだけなん
やけどね。でも確かに、ある意味これが自分の生命線。努力は隠すものでも
見せびらかすものでもないし、さりげなくするものやから。この姿勢はこれ
からもさりげなく続けていかなあかんと思う。俺には俺なりの意地があるし
ね。」

―――もし、もう一度人生をやり直せるとしたら、同じ人生か違う人生か、
どっちを歩みたい?

「スポーツ選手、アナウンサー、ジャーナリスト、ミュージシャン、など夢
はたくさんあっても一生のうちにこれら全部叶えるのは到底不可能。だから、
もう一度人生をやり直せるとしたら、こういった違う夢に挑戦してみたいの
も事実。けれども、もし生まれ変わって今と全く同じ人生を歩んだとしても、
それはそれで一つの道やから、それで後悔するなんてことはありえない。2
回サイコロを振って2回とも同じ目が出ることだってあるわけやし。人生っ
てそんな『偶然の産物』やからね。」

―――今はまだ人生を語らず、「偶然」を楽しむということ?

「まあそんな感じかな。確かに、今までの自分の人生を振り返って、本当に
これが正しい選択だったのかは分からない。それ以前に人生に正解を求める
のが野暮な話。けれども、自分の人生が間違いではないという事だけは見せ
てやりたい。そのためには、まだ立ち止まるわけにはいかない。」

画像その13
―――今までの苦労もこれから活かしていく、と。

「そういうこと。教育実習の後、いろいろ励ましのメールとかもらったけど、
『良い経験したと思う』とか『きれいさっぱり忘れて』っていう内容がほと
んどやった。やっぱり、同じ経験してないのに軽々しくこういうことは言っ
て欲しくない。本当に良い経験したかはこれから分かることやし、忘れてし
まうには痛すぎる記憶やから。これを記憶にとどめて、活かして、初めて良
い経験になるわけやからね。」

―――最後に、このインタビューをHPで見てくれている人たちにメッセー
ジを。

「このHPでこれを読んでくれた人たちみんなに、是非『頑張れ』と言いた
い。決して自分だけが特別扱いされているとは思わないし、僕と同じくらい、
それ以上苦労している人だっているのも事実。だから僕のことを知っている
人も知らない人も頑張って欲しい。その姿を見て、僕もまた頑張れるからね。
最近は安易に『頑張れ』という言葉を言わない方が良いみたいに捉えられて
いるけど、僕はあえて『頑張れ』という言葉を使いたい。こうやって『頑張
れ』って言ってもらえる人が周りにいない方がよっぽど辛いからね。」






―――今回、この男を少しでも裸にしようといろいろ聞いてみて、実際かな
りの本音の部分、素の部分が聞き出せたと思う。「だいぶ脱がせちゃったけ
ど、大丈夫?」

「そうだね。でも、そのうちにまた新しい衣を身にまとっているはずやから、
そう簡単には全部は見せないよ(笑)。」

―――常に進化を続ける孤高の戦士は次にどんな姿を、どんな人間ドラマを
我々の前に見せてくれるのであろうか。



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