大阪大学大学院理学研究科(数学専攻)受験記
〜アウェーでいかに闘うか〜
8月28日
いつものように試験開始3時間前に起床。受験必須アイテム(はちまき、ト
レカetc.)をしっかり持ったことをチェックし、少し早めに家を出る。
京大の試験の時と違い、電車で1時間、徒歩で20分程度移動しなければな
らないのだが、移動中は開き直りにも近い落ち着きがあった。心の中に、京
大の大学院にたぶん合格しているだろうという気持ちがあったからかもしれ
ない。
しかし、その落ち着きも試験会場に入ると同時に緊張に変わった。大学院は
その直轄の大学からストレートで上がるというのが一般の規定路線であり、
他大学から受験する人間はいわば「横から割り込みして座席を奪う」人間な
のである。完全に雰囲気がアウェーということで自然と緊張が高まってきた。
(ひょっとしたら大阪大学の人たちはそんな気持ちで外部生を見てはいない
かもしれないが。)
そして、基礎科目の試験開始となったが、問題を解いていくうちに徐々に緊
張も無くなっていった。問題が大幅に易化したことでスイスイと解けていく
のである。いつもの細かいところを突いてくる大阪大学らしい嫌らしい問題
が全く無かったので、特にあせることもなく出来も予想外の素晴らしいもの
であった。
続いての専門科目も易化しており、しかも順当に解きやすい問題を選択した
こともあって、試験終了の30分前には完答して答えのチェックに入ること
が出来た。さすがに4回目の大学院入試ともなると慣れが大きな武器になる、
と実感しながら無事に1日目の試験終了となった。確かにアウェーでの闘い
は問題の傾向などを十分に把握できなかったりして不利であることには違い
ない。もし全く同じ点数の内部生と外部生いたら内部生の方を優先して採る
ことも事実である。ただ、一問でも解いて自分のリズムをつかみさえすれば、
あとは周囲は関係なく自分のテンポで行けばいいのである。
8月29日
この日は前日より一時間遅く試験開始。まずは英語の試験なのだが、ここで
も易化傾向を引きずっており、特に悩むことなく難なく解ける。その後、一
次試験の合格発表があり、無事合格していたのでそのまま即日面接に臨む。
筆記試験の出来がまずまず納得のいくものであったから問題に関する質問は
無いだろうと思っていたが、一応空き時間にザッとチェックしておく。
そして、いよいよ面接。今回は面接官は5人だったのでこちらも気楽に面接
を受けることができた。質問をする方も特に聞くことが無いみたいで、面接
中は面接官の人たちがやたらいろんな資料をチェックしていたので、おそら
く筆記試験の出来はほぼ完璧だったのだろうと安心する。とりあえず幾何学
を専攻するということで、幾何に関する大まかな知識と受験願と同時に提出
したレポートについて幅広く尋ねられる。レポートのコピーを残しておかな
かったのは失敗だったが、聞かれたことに対しては8割以上完璧に答えるこ
とが出来た。途中で面接官が面接の残り時間を「あと5分です。」などと教
えてくれるのはありがたかったが、逆にこちらにあせりも与えてくれた。が、
面接官の人たちも善良的で接しやすかったように思う。全部終了したときに
は本当に全ての試験が終わった解放感と、最後に有終の美を飾ることができ
た嬉しさでいっぱいであった。
結果
定員:47人
志願者数:65人
一次試験合格者:63人
二次試験合格者:47人
判定:一次合格、二次合格
問題講評
基礎
@:この問題自体を定理として覚えている人も多いはずである。条件より、
点(a,b)で極値をとることは分かる。また、(1,1)、(2,2)成
分が正になることも分かる。(行列が正定値⇔固有値が正)これだけでも良
いが、x軸方向、y軸方向で極小をとることを一言つけ加えておくと完璧で
ある。
A:易問。(1)は和とスカラー倍を保つことを示すだけ。(2)は場合分
けして考えるとわかりやすい。(rankAの値で場合分け)
B:(1)は三次方程式の解の公式又はルーシェの定理を用いると分かる。
(2)はf(z)の零点をα、β、γとおき、留数定理より根性計算するのみ
である。もっと一般にg(z)を曲を持たない関数、f(z)を任意の関数、c
をf(z)の零点を全て含む経路とすると∫c g(z)/f(z) dz=0となる。
C:(1)は微分積分の基本である。ε−δ論法を用いる。(2)は背理法
を用いる。∀xに対しf(x)≠xとすると、min{φ(x)}>0であるが、
これは条件に矛盾する。一意性は、x、yという二つの不動点が存在すると
してx=yをいう。
D:(1)は計算するのみである。(2)は(1)を用いれば容易。帰納的
に考えていく。
専門
@:(1)は計算するのみである。(2)は自己同型写像を定義し、群演算
を入れることができるものをしらみつぶしにピックアップするより他にない。
E:(1)は定義に従い確かめるだけである。(2)は埋め込みをどう定義
するかで解答は難しくなったり易しくなったりするが、「1対1のはめ込み」
を埋め込みと解釈した方が楽である。
G:座標をとってベクトル場をφで引き戻してチェックすればよい。適当に
極座標をとるなどするとC∞級であることも分かる。
I:(1)と(2)は位相幾何学の入門書を見ればたいていの本に載ってい
る易問。(3)は背理法で示すと良い。
英語
いくつかの基本的な数学用語を英語でどう言うかをチェックしておきさえす
れば特に難しい問題はない。英文自体も難関大学入試レベルと考えておけば
よい。
面接
筆記試験の出来に関わらず面接時間は一人30分ときっちり決められている。
筆記試験の出来が悪いと基礎問題から幾つか質問されるが、そこそこできて
いると、数学全般の基本問題チェックする質問になる。あと、提出したレポ
ートについては必ず聞かれるので、レポートのコピーは残しておいた方が良
い。
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